内容
世界中で大ベストセラー『20歳のときに知っておきたかったこと』
著者による待望の最新刊!
情熱なんて、なくていい――それは、あとからついてくる。
アイデアも、創造力も、解決策も。
ひらめきを生んで実現するのは、才能ではなく、スキルです。
起業家育成のエキスパートが見つけた、
だれでも思いどおりに自分の明日を切り拓くことができる
《夢へのロードマップ》。
いつだって選択肢は無数にあります。
どれを選ぶかは自分次第。
あなたの人生に革新を起こせるのは、
あなた自身だけなのです。
人生においてなにか意味のあることをしたいと思っている人は多くいますが、頭の中にあるアイデアを形にできる人は、そう多くはありません。自分がもつリソースをうまく使って、その目標を達成する道筋を示すのが、本書の役割です。
想像力、クリエイティビティ、イノベーション、起業家精神をはっきりと区別・定義し、それらが互いにどう作用するか、ひらめきをどう実現させるかを伝えます。
スタンフォード大学で長年ベンチャー教育を率いてきた著者が、「自分の手で人生を切り拓く方法」をだれもが実践できるフレームワークとして組み立て、豊富なエピソードを交えながら伝授する集中講義です。
想像力がクリエイティビティを生み、
クリエイティビティがイノベーションにつながり、
イノベーションが起業家精神を呼び起こす。
そして、起業家精神が新たな想像力を刺激する――
読者への手紙
何年か前のこと。『20歳のときに知っておきたかったこと』を出版した直後に連絡をくれた幼なじみの手紙を探そうと、古い箱に入った封筒の束をガサガサやっていると、自分宛てに書いた手紙が出てきました。それは三〇年ほど前、二〇歳の誕生日の直前に書いたものでした。罫線の入ったノートに綴られた文字を目にすると、当時のことが蘇ってきました。大きな夢をもっていたけれど、それを実現する方法がわからず、不安の方が大きかったあの頃。
手紙には、自分の可能性を伸ばして夢を実現するのがいかにむずかしいか、切実な思いが綴られていました。でも、うれしい驚きだったのは、世界に自分の居場所をつくるための講義をまとめた『20歳……』の内容が、まさに私自身が二〇歳のときに知っておきたかったことだったと確認できたことでした。手紙には、こんなことを書いていました。
来月には二〇歳になる。今頃は一人前の人間になっているはずだった。大人で、責任感があって、目的意識をもった人。でも、今はそれとはほど遠い。面白い人でありたいけれど、面白くはない。知的な人でありたいけど、そうとはいえない。自分が会いたいと思うような人でありたいけど、そうなっていない。……私の目標は分不相応に高過ぎるのだろうか。先に進む前に一度立ち止まらなければ。
読みながら、ずいぶん遠くに来たものだと感慨を深くしました。大人への旅をどこから始めればいいのかわからず、不安で仕方なかった二〇歳の頃から、回り道をしながらもこうして大人になり、やりがいのある仕事をしています。多くの若者がそうであるように、二〇代の私は、何か有意義なことをしたいと燃えていたものの、自分自身のエネルギーを持て余し、目標に向かってどう進めばいいのかわからずにいました。三〇年経った今ならわかります。こうありたいと思い描く未来にたどり着くには、三つのことが必要です。
第一に、起業家的な心構え。起業家は、チャンスは身のまわりにあふれていて、自分次第で運は拓けると考えます。ほとんどのルールは、こうしたほうがいいという推奨に過ぎず、絶対的なものだとは考えません。世の中の常識や思い込みは疑っていいのだと、自分自身に許可を出します。これらの教訓は、『20歳のときに知っておきたかったこと』にまとめました。〔中略〕
第二に必要なのは、途中でぶつからざるをえない問題を解決し、チャンスを活かすためのツールです。これについては、第二弾の『未来を発明するためにいまできること』のテーマとして取り上げ、自分の内面と、外側の環境にある種を育てて、未来を発明する方法をお伝えしました。〔中略〕
第三に必要なのが、ひらめきを形にするための明確なロードマップです。それをまとめたのが、今まさにあなたが手にしているこの本です。
幸い、私はこうしたスキルをスタンフォード大学の学生に教えています。経営工学部の教授として、また起業研究の拠点である工学部所属のスタンフォード・テクノロジー・ベンチャーズ・プログラム(STVP)の責任者として、若い人たちがチャンスを見つけ、それをつかめるように手助けするのが私の役目です。
STVPでは、学生がみずからキャリアを築き、組織に貢献し、充実した人生を送るために必要なスキルを養うことを目指し、正式な講座のほか、特別プログラム、世界各国の学生や大学と共同のワークショップを行なっています。STVP内の壁に描かれたスローガンに、その理念が凝縮されています。
起業家は、およそ不可能と思える少ない資源で、想像をはるかに超えることを成し遂げる。
このメッセージが伝えているように、何も会社を興すことだけが起業家のやることではありません。何であれ、まずは始めること。それが起業家精神です。問題をチャンスと捉え、資源を生かしてアイデアを形にしていくわけですが、そのために必要な知識やスキル、姿勢を身につけなければなりません。これは、会社を興そうという人たちだけでなく、ロックバンドをつくって活動を始めようという人にも、世界一周の旅に出ようという人にも必要なものです。この本では、どんなものであれ、思いついたアイデアを実現するためのフレームワークを紹介しています。
これまでの本もそうでしたが、読者のみなさんをスタンフォード大学の私の教室にいざないます。ここに綴った言葉は、あなたの思考を刺激し、行動を促すことを意図しています。最初に全体的な概念を示し、つぎにそれを象徴する逸話を紹介します。また、私自身や学生の個人的な体験を披露し、概念と関連する研究も紹介したいと思います。事例の多くはシリコンバレーのイノベーターや起業家ですが、補完的に世界各国の事例を紹介しています。
各章の終わりには、その章で取り上げた概念をしっかり身につけるための課題を出しています。これはアイデアを行動に移すための踏み台であり、いい経験になるものなので、是非挑戦してください。何分間か頭で考える課題もあれば、本を離れて取り組んでもらう課題もあります。実験を繰り返すことで学んだことが身につく、と私は強く信じています。自分から積極的に取り組もうとしなければ、身につくものではありません。
目次
読者への手紙
序 章 ── ひらめきを形に
第Ⅰ部 想像力
第1章 どっぷり浸かる ── 建物のなかに入る鍵
第2章 ビジョンを描く ── 世界があなたの舞台
第Ⅱ部 クリエイティビティ
第3章 やる気を高める ── 顧客は自分自身
第4章 実験を繰り返す ── 卵は割れてもかまわない
第Ⅲ部 イノベーション
第5章 フォーカスする ── ゴミ箱のなかを整理する
第6章 フレームを変える ── 脳に刷り込む
第Ⅳ部 起業家精神
第7章 粘り強く続ける ── 何がボートを浮かせるのか
第8章 周りを巻き込む ── 物語を聴かせて
終 章 ── 終わりは始まり
課題のまとめ
感謝の言葉
註
解 説 ── 千里の道は、適当な一歩から。