心に入り込む技術 元ドイツ情報局員が明かす
- 哲学・心理学・科学
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- 書籍:定価1760円(本体1,600円)
- 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
- 2012.07発行
内容
・謝罪は一度だけ、真心をこめて真剣にする。
・自分のプライベートなことがらを時々打ち明ける。
・いつもすぐに答えを言わない。
この<技術>を使えば、あなたも誰とでも信頼関係を築くことができます。
仕事でもプライベートでも、今までとはまったく違う人間関係になることは間違いなし!
今すぐ、<あの人>に使ってみよう!
[おことわり]
本書の内容はすべて実際の出来事が元になっている。
ただし情報提供者および情報員の安全保護と法的な理由から、
登場人物の実名および特徴、場所や事実は架空のものに変更した。
それでも本書に記載された出来事の真実味は変わらない。
[はじめに]
レオ・マルティンという名は僕の本名ではない。ドイツ連邦情報局(BND)に勤務中にいくつもの作戦に参加したが、そのとき使った複数の名前の一つだ。僕の任務は、情報提供者、つまり犯罪組織の一員で、極秘の情報を提供してくれる人──つまりスパイ──を獲得することだった。
情報提供者は、新聞広告で募るわけにはいかない。また路上で気軽に声をかけて「ねえ、武器を密輸しているらしいけど、ボスの名前と武器の隠し場所を教えてくれないかな」と訊くわけにもいかない。
連邦情報局に勤務中の十年間に、僕は多数の情報提供者を獲得した。彼らは犯罪組織に属し、本来なら極秘の内部情報を漏らすどころか僕と口を訊くことすら考えられない人たちだ。それなのに、自らすすんで僕に情報を与えてくれた。連邦情報局のためとか国家のためとかではない。ひとえに僕のためなのだ。なぜか? それは本書を読めば理解できるだろう。
もちろん麻薬密輸関係者や故買人、自動車部品窃盗犯やロシアマフィアといった連中と日頃かかわりのある人はあまりいないかもしれない。けれども相手の心をつかむ、つまり相手から好かれることは、人生成功の鍵でもある。もしかすると、この鍵で実際にドアを開けている人が身近にいるかもしれない。そういう人のそばにいると、とても心地よく感じるものだ。知り合ったばかりとは思えないほど親しみを感じる。「なんだかずっと昔から知ってるみたいだね」と互いに言い合って嬉しくなる。それは本当に素晴らしいことなのだ。
相性がいいからだとか、運命でつながっているからだとか思ってしまうかもしれない。魔法のように感じることすらある。しかし、実はこの親近感の背後に、綿密に練られた戦略が存在することもある。親近感や信頼は意識的につくることができるのだ。以前は偶然がもたらす幸運だと考えていたことが自分にもできるなんて、夢にも思わなかったと感じるかもしれない。
それもそのはず、このからくりを知る人はほんの一握りしかいない。信頼は買うこともできないし、強制することもできない。もちろん理論によって勝ち取ることもできない。信頼感とは、二人の人間のあいだの無条件かつ友好的な関係を表すものだ。一日や二日でできるものではない。出来事や体験や考え方を土台として少しずつ築くものだ。情報員はこうした状況を綿密に演出する。
目次
・はじめに
・人はみな謎の部分を持っている
・見ず知らずの人と友人になるとき
・キャッチゲーム─自分と他者を結びつける秘訣
〈Security Check 1〉入口を通過するための暗号を知ろう
・あなたの新しいアイデンティティを使った最初のアプローチ
・冷酷な感情操作?
・[ミッション1]基本的な心構え─公平さ、敬意、そして称賛
・思考コントロール
・代替プラン(1)
・代替プラン(2)
・V人材(情報提供者)
・[ミッション2]目標に焦点を当てよう
・SMARTの公式
・環境
・[ミッション3]カメレオンの原則─ターゲット人物の本質を知る
・ネットワーク
・[ミッション4]信頼を築く基礎
・写真
・赤の書類ケース
・[ミッション5]背景を理解する─現実は相対的
・ルート
・[ミッション6]危機管理─摩擦はチャンス
・照準を定める
・求めるものは誰しも同じ
・人間関係を築く
〈Security Check 2〉特徴を明確にする段階
・接触
・赤の着信音
・必要最小限の情報
・素晴らしい交友の始まり?
・[ミッション7]接触の理論─最初の接触は、その前に既に始まっている
・もう少し接近する
・人物を評価するとき気をつけたいこと
・[ミッション8]話しかける
・関係をつくる
・[ミッション9]共通の体験をつくる
・正体を明かす
・チャンスを見逃さない
・出会い
・[ミッション10]急襲─ストレスとその影響
・真実を語る
・電話
・喫茶店にて
・[ミッション11]スピードアップ─共通の習慣を育てる
〈Security Check 3〉育成段階
・育成段階
・試験段階
・[ミッション12]プラスの行動を強化する
・信頼を築く
・警告
・[ミッション13]長く持続させるための戦略「ギブ」の原則
・信頼の証明
・[ミッション14]ありのままを受け入れる
・信頼と裏切りの葛藤
・ティホフの同僚
・KGB
・コインロッカー
・質問に関するテーマ
・話のきっかけをつくるクエスチョン
・オープン・クエスチョン
・クローズド・クエスチョン
・循環クエスチョン
・暗示クエスチョン
・逆クエスチョン
・患者運搬車
・[ミッション15]位置関係を変化させる
・試験期間
・裏切りへの罪悪感
・情報員も自分のことを打ち明ける
・告白
・[ミッション16]定期的な儀式
・信頼の程度
・ロシア時代のティホフの書類
・最後のハードル
・[ミッション17]セキュリティ・チェック─あなた自身のミッション
・決定
ここからは安全地帯──ただし、極秘
・信頼を築くための〈007秘訣〉
エピローグ
略歴
[著者]
レオ・マルティン Leo Martin
1976年生まれ。法律行政専門大学で犯罪学を学んだのち、1998年から2008年までドイツ連邦情報局に勤務し、犯罪組織の解明に従事する。最短時間で見ず知らずの人の心に入り込み、信頼関係を構築する独自の技術は最高レベルと評される。現在、有名コンサルティング会社に勤務し、人格形成と成功、コミュニケーション、人を楽しませるコツとユーモアをテーマに講演やセミナーで活躍。ミュンヘン在住。
[訳者]
シドラ房子(しどら・ふさこ)
新潟県生まれ。武蔵野音楽大学卒業。翻訳家。主な訳書に『愛する家族がガンになったら』(講談社)、『名もなきアフリカの地で』(愛育社)、『病気が教えてくれる、病気の治し方』『運命には法則がある、幸福にはルールがある』『ヌードルの文化史』(以上、柏書房)、『縮みゆく記憶』『絵画鑑定家』(武田ランダムハウスジャパン)、『その一言が歴史を変えた』(阪急コミュニケーションズ)などがある。
●装丁・本文デザイン/萩原弦一郎(デジカル)
●校閲/鴎来堂