増補改訂版 リスク学事典

リスク学事典
日本リスク研究学会 編
  • 書籍:定価9900円(本体9,000円)
  • B5判・上製/436ページ
  • ISBN978-4-484-06211-2
  • 2006.07発行
社会 /

安全で安心できる社会生活を送るための基礎知識―― 日本国内とグローバル社会がますますリスクに脅かされていく今日、安心・安全を望む声に応えて、暮らしを守るうえで必要不可欠な情報と知恵を改めて集大成。

書籍

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内容

本書では、鳥インフルエンザ、エイズ、牛海綿状脳症(BSE)、土壌・水質汚染、ダイオキシン、産業廃棄物、食品添加物、モラル・ハザード、地震、地球温暖化、遺伝子組換え、環境ホルモン、医療上リスク、金融リスクなどさまざまな危険現象を取り上げ、その最新の研究成果と対応策を解説しています。
日本リスク研究学会の全面的な協力を得て2000年に刊行されたわが国初の本格的な「リスク学の総合事典」の増補改訂版です。防災科学、公衆衛生、環境医学、環境工学、放射線科学、保健学、社会心理学、災害心理学、経営学など、個別分野における「安全の科学」をふまえて発展した、総合的政策科学としての「リスク学」の成果を体系的に紹介しています。

目次

第1章 リスク学の領域と方法
[概説]リスク学の領域と方法――リスクと賢くつきあう社会の知恵
1 不確実性・不安そしてリスク
2 安全とリスクの違い
3 健康と環境――リスク学とのかかわりにおいて
4 技術リスクの社会的規制
5 予防原則と世代間倫理
6 科学物質汚染――公害から環境リスクへ
7 リスク対策と産業の発展と科学技術の振興――化学の新しい潮流
8 国際機関のリスク研究
9 ゼロリスクの理念――リスク管理のクライテリア
10 リスク学の基礎学と関連学問領域
11 日本リスク研究学会小史

第2章健康被害と環境リスクへの対応
[概説]健康被害、健康リスク、環境リスク
[概説]環境リスクの概念の変化と次世代・グローバルリスクの登場
1 労働現場の有害因子と健康障害
2 労働災害補償および労働者災害の現況
3 労働衛生管理
4 放射線の健康リスク
5 電磁波の健康リスク
6 重金属曝露に伴う健康へのリスク
7 農薬の健康リスク
8 バイオ技術のリスク
9 新たな感染症のリスク
10 生態リスク
11 廃棄物処理で得られるもの、失うもの
12 ダイオキシンと健康リスク
13 環境ホルモンのリスク評価――in vitro,in vivo assayの確立
14 環境基準とサーベイランス
15 新規化学物質のリスク評価
16 循環型社会におけるリスクの制御
17 内分泌攪乱物質のリスクアセスメント

第3章自然災害と都市災害への対応
[概説]自然災害のリスクマネジメント
[概説]まれな災害に備えつつ、暮らしの豊かさを求める――まちづくりとのかかわり

1 都市型産業災害
2 都市災害とパークシステム
3 都市地震災害
4 日常的な交通事故
5 洪水の水災害
6 社会的背景の下での渇水被害
7 日本の土砂災害対策
8 地震による災害
9 都市直下型地震とライフライン
10 緊急支援、災害復旧と生活復興
11 巨大な自然災害と防災工学
12 高圧ガス保安におけるリスク思想

第4章高度技術リスクと技術文明への対応
[概説]技術リスクと高度技術社会への対応
1 巨大技術システムの事故
2 深層防護
3 人的因子
4 自動化の皮肉
5 組織事故
6 安全文化
7 事故調査
8 LPHCリスク
9 どれだけ安全なら十分に安全か
10 技術リスクの評価と管理
11 技術のリスク認知とコミュニケーション
12 バイオハザード
13 情報ネットワーク・リスク
14 技術の開発・利用と倫理問題
15 技術リスク論議における対立

第5章社会経済的リスクとリスク対応社会
[概説]社会経済的リスクの分析とマネジメント
1 金融バブルの歴史と教訓
2 金融リスクとデリバティブ
3 保険史――過去・現在・未来
4 不確実な資産の管理と選択
5 モラル・ハザードと逆選択
6 ゲーム理論と戦略リスク
7 環境リスク便益分析
8 迷惑施設の立地問題とリスク対策
9 日本的経営とリスクマネジメント
10 環境破壊による社会経済的なグローバルリスク
11 危機管理と保険によるリスク処理
12 環境の劣化に対する保険
13 環境監査とリスク

第6章 リスク評価の科学と方法
[概説]リスク評価の科学的手法
[概説]システムズアプローチによるリスクの構造的把握
1 プロセス安全とシナリオライティング
2 リスク評価の枠組みと定量化の手順
3 リスク評価に用いられるデータの信頼性、的確性、有用性の検討、評価プロセスの透明性と独立性
4 健康リスク評価における用量‐反応評価
5 曝露評価とシミュレーション技法、生物学的モニタリング
6 不確実性と信頼性の評価
7 環境疫学
8 エコロジカル・リスク評価法
9 リスク評価の階層構造とシステムズアプローチ
10 国際機関等の健康・環境リスク評価の方法のガイド
11 リスク分析における確率と揺らぎ
12 システムの故障解析
13 事故統計と要因分析
14 決定理論によるリスク評価
15 リスク重篤度の比較
16 リスク評価のクライテリア

第7章リスクの認知とコミュニケーション
[概説]リスク認知とリスクコミュニケーション
1 リスク認知と受け入れ可能なリスク
2 文化とリスク認知
3 市民のリスク認知
4 専門家のリスク認知
5 過大視されやすいリスク
6 リスク便益分析と社会的受容
7 リスクコミュニケーションのプロセスと送り手の信頼性
8 リスクコミュニケーションの戦略
9 リスクコミュニケーションとパブリックインボルブメント
10 情報提示の方法と送り手‐受け手関係のバイアス
11 情報不足が生み出す不安
12 リスクコミュニケーションの情報支援システム
13 環境化学物質のリスクコミュニケーションガイド
14 医療上のリスクとインフォームドコンセント
15 PCBの元事務所での適正処理をめぐるリスクコミュニケーション
16 ジャーナリズムとリスクコミュニケーション

第8章リスクマネジメントとリスク政策
[概説]リスク対応の戦略、政策、制度
1 緊急事態となるリスクと危機管理
2 リスク封じこめとリスク回避のマネジメント
3 比較リスクによるリスク削減戦略
4 予防原則と後悔しない政策
5 譲渡可能な排出許可証
6 資源管理と持続可能性へのマネジメント
7 リスク低減への規制と誘導
8 製造業者の責任と消費者の自己責任
9 環境規格とリスクマネジメント
10 情報公開とリスク選択への参加
11 遺伝子組換え食品への市民の対応
12 健康と環境のリスクを削減する国家戦略
13 環境法に組みこまれたリスク対応制度
14 公害健康被害補償法
15 リスクアセスメントはリスクマネジメントと切り離せない過程――環境基準設定の事例
16 環境アセスメントとリスク管理
17 リスク学の研究教育組織とリスク研究の学会

第9章 リスク対応の新潮流
[概説]近年のリスク学の動向――新規に浮上してきたリスク問題に対応するリスク学の構築に向けて
1 食品安全とリスクアナリシス――BSE問題をきっかけに何が変わったか?
2 食品のトレーサビリティとリスク管理
3 高病原性鳥インフルエンザの流行
4 PRTR制度とリスク情報の共有
5 化学物質管理の新たな制度的枠組み
6 化学物質管理の最近の動向
7 第一種監視化学物質のリスク評価
8 欧州連合のイニシアティブから展開した予防原則
9 巨大災害をめぐる減災戦略
10 企業や組織の存続をかけたマネジメント
11 正念場を迎えたグローバルリスク対応――地球温暖化政策
12 頻発する技術リスクと技術管理の未来
13 安全・安心の科学技術基盤に要求されるリスク洞察力
14 安全と安心の心理と社会
15 コンセンサス会議
16 リスク管理のための人材養成プログラム――環境リスクを中心に

用語解説
リスク研究に関連するホームページ
事項索引

著者

日本リスク研究学会 (The Society for Risk Analysis, Japan)
1988年発足。世界的なリスク研究の学術組織であるSociety for Risk Analysis(SRA) を構成する一つの組織 (SRA Japan )として、米国SRA、欧州SRA と協力関係を持つ。
自然科学、工学、社会、・人文科学等の専門分野を超えて多方面の研究者が参加している。
http://dss.sys.eng.shizuoka.ac.jp/srajapan/

●装丁/下川雅敏

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