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全員悪人
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全員悪人

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【好評3刷! ※2022年1月現在】患者当事者の目線で書く認知症患者と家族の日常。

  • 書籍:定価1540円(本体1400円)
  • 2021/4/27発行
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内容

《『兄の終い』で不仲の兄との別れを書いたエッセイストによる、新たな家族の実話》
「どちらさま? 誰かに似ているようですけれど」
私には居場所がない。知らない女に家に入り込まれ、今までずっと大切に使い、きれいに磨き上げてきたキッチンを牛耳られている。少し前まで、家事は完璧にこなしてきた。なんだってできました。ずっとずっと、お父さんのために、息子のために、なにからなにまで完璧に、私は家のなかを守ってきました。あなたはいつも、お母さんって本当にすごいですね、完璧な仕事ですよと言ってくれた。
あなたに一度聞いてみたことがある。なんなの、毎日代わる代わる家にやってくる例の女たちは? そしたらあなたは、「お母さん、あの人たちは、お父さんとお母さんの生活を支援してくださっている人たちなんです。介護のプロなんですよ」って言ったのだけど、こちらは家事のプロですから。――私は主婦を、もう六十年も立派に勤めてきたのです。
家族が認知症になった。
対話から見えた、当事者の恐れと苦しみを描く。

“老いるとは、想像していたよりもずっと複雑でやるせなく、絶望的な状況だ。そんななかで、過剰に複雑な感情を抱くことなく必要なものごとを手配し、ドライに手続きを重ねていくことが出来るのは私なのだろう。これは家族だからというよりも、人生の先達に対する敬意に近い感情だと考えている。(「あとがき」より)”

★著者既刊『兄の終い』好評10刷!(2025年4月現在)

著者

村井理子(むらい・りこ) 

翻訳家/エッセイスト

1970年静岡県生まれ。滋賀県在住。ブッシュ大統領の 追っかけブログが評判を呼び、翻訳家になる。現在はエッセイストとしても活躍。

著書に『兄の終い』『全員悪人』『いらねえけどありがとう』『訳して、書いて、楽しんで』 (CCCメディアハウス)、『家族』『はやく一人になりたい!』(亜紀書房)、『義父母の介護』『村井さんちの生活』(新潮社)、 『ある翻訳家の取り憑かれた日常』(大和書房)、『実母と義母』(集英社)、『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、他。

訳書に 『ゼロからトースターを作ってみた結果』『「ダメ女」たちの人 生を変えた奇跡の料理教室』(新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』 『ラストコールの殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』 (早川書房)、『射精責任』(太田出版)、『未解決殺人クラブ』 (大和書房)他。

目次

■プロローグ――陽春
■第一章 あなたは悪人――翌年の爽秋
■第二章 パパゴンは悪人――師走
■第三章 白衣の女は悪人――新春
■第四章 お父さんは悪人――晩冬
■第五章 水道ポリスは悪人――早春
■第六章 魚屋は悪人――初夏
■第七章 私は悪人――盛夏
■第八章 全員悪人――メモ
■エピローグ――晩夏
■あとがき