マーケティング・ビッグバン

マーケティング・ビッグバン
  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 四六判・並製/252ページ
  • ISBN978-4-484-20216-7
  • 2020.08.発行

デジタル時代も、コロナ後も、そして、その先の未来も、
マーケティングの原点は「人の心」を動かすこと。

どんな時代でも、インフルエンスは常に「熱量」の高い現場で起きている。

コロナ後の新SNS時代、サバイヴするためのマーケティング・コンセプトとは?

書籍

Amazon

内容

ロレアル、インスタグラム、LDHなど有名企業でデジタル戦略を担い、日本初のCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)であり、トップマーケターの著者が「熱量」をキーワードに、『デジタルシフト『広告』『SNS戦略』『ブランドのつくり方』『インフルエンス』『コミュニティ』について、図を交えて分かりやすく解説。
コロナ後も活用できる真のマーケター思考をインストールできる1冊です。

●経営者・マーケターたちが絶賛! !

黒澤友貴氏
ブランディングテクノロジー株式会社
執行役員 経営戦略室 室長

マーケティングの考え方やテクニックについて書かれた書籍は本屋に山のように並んでいる中で、「マーケティング・ビッグバン」は本物のマーケターの思考と生き方そのものをインストールできる数少ない本であり、CMOを目指す全てのマーケターに読むことをオススメしたい。

長瀬氏とは「マーケティングトレース」というオンラインサロンを一緒に運営しているのだが、そこで学んでいる本質的なマーケティングの考え方は、本書に書かれている内容そのものである。

マーケティングの世界は、わかりやすい小手先のテクニック論が多く語られる。広告を最適化する、SNSでバズらせる…結果、多くのマーケターは目的と手段が逆転していることが多々ある。

しかし、 長瀬氏は「手段はどうでもいい」とバッサリ切り捨てる。この本を読むことで目的のために手段を選ばず、 もっと大きく、もっと面白く、常識やフレームワークに囚われないで考える思考と生き方を、1人でも多くのマーケターが気付くことを願っている。

河野貴伸氏
株式会社フラクタ 代表取締役
Shopify 日本エバンジェリスト

本書は、「いままでデジタルの重要性に気付きつつも、デジタルシフトがなかなかうまくいっていない」と思われている方にこそ、ぜひ読んでほしい。

『CDO』という華やかな呼称からは想像ができないほどの泥臭さ、
現場調整の積み重ね…しかしこれこそがデジタルをビジネスに組み込んでいく真髄なのだと読み取れる。

よくある誤解として、デジタルの活用はデジタルの専門家がまるで魔法のようなツールや手法を用い、さっと一振りでビジネス全体をデジタル化してくれるという期待がある。しかし、その結果、なかなかうまくいかずに、任せた方も、任された方も、どうして私たちはこんなにお金や時間をかけているのにうまくいかないのだろう? 思われる事が多々あるのではないだろうか。

その答えこそ、本書で提示される「そこに熱はあるのか? 」という問いに帰結するのだと感じる。デジタルシフトが成功する単純なメソッドなどではなく、自身のキャリアの中で積み重ねてきた経験から「定量化できないアナログ的な何か」なわちそれが「熱量」というものだと私は理解しているが)、デジタルシフトにおける忘れられがちなファクターであるという、啓蒙だ。

デジタルという観点だけだと、えてして定量的な視点のみでとらわれがちな中、あえて人間的かつアナログ的なやりとりや、非効率と思われがちなコミュニケーションに、「あらためて立ち返ってみてはいかがだろうか? 」という提案なのだ。もちろん、根性だけでどうにかなるものではない事は、長瀬氏も理解されているだろう。

どのようなプロセスで「熱量」が必要になるのか、なぜ「現場主義」が必要なのかを「マーケティングの世界の変動」「日本人にアルゴリズムが通用しない理由」という2つの要因をからめて、論理的に説明されている。

その上で「そこに熱はあるのか? 」という問いかけに対する答えこそが、デジタルシフト成功への最短距離だと長瀬氏は「熱量を持って」説いているのだ。このあたりの、高い熱量と、合理的な冷静さがこの本の中には至るところに同居しており、その相反する体験もまた読んでいて引き込まれる魅力である。

奇しくも2020年、世界の価値観が大きく変動する中で、長瀬氏はあらためてブランドビジネスとは? マーケティングとは? という「問い」を読者に投げかけ、「人」と「人」とのつながりを再定義し、「真のデジタルネイティブ」にいざなってくれる良書である。

はじめに

「現場に足を運ぼう」
「顧客に直接聞こう」
「人に会って話そう」
 およそ「デジタル」とは遠いこれらの言葉。けれども、日本初のCDO(最高デジタル責任者)となった僕が最も大切にしている考え方が、ここに集約されている。
 僕は2015年、世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本法人(日本ロレアル)で、国内では初めて設けられたCDOという役職に就任した。デジタル施策全般のリーダーとして、社内のあらゆる場所にデジタルを導入し、会社全体の変革を実行することが、その役目だ。
 ただし、CDOという肩書きが持つイメージからは驚かれるほど、アナログなこともたくさんやってきた。というよりも、むしろアナログな部分のほうに圧倒的に時間をかけた。
 なかでも、僕が一貫して大切にしてきたのが「現場」だ。現場で人に会うこと。直接、人と話すこと。非デジタルな人と人との接点を最も重視した。その理由は、「人とつながること」がデジタル時代におけるビジネスの本質だと考えているからだ。それも、できるだけ直接つながりたい。
 ロレアルに勤める前は、人がオンライン上でつながる場、つまりSNSの代表をしていた僕が、「現場」だの「直接」だのと言うことに違和感を覚える人もいるだろう。けれど、フェイスブックやインスタグラムといったSNS企業で、デジタルにおける人と人とのつながりとはどういうものかを身をもって学んだからこそ、直接人に会うこと、現場に足を運ぶことの大切さに目覚めたとも言える。

 近年、デジタル技術の発展と普及によって、ビジネスのあり方は大きく変わっている。でも、「デジタルマーケティング」なんてものは存在しない。あるのは「デジタル時代におけるマーケティング」だ。デジタルとは、人とつながる手段のひとつに過ぎない。
 そもそも「デジタル時代」とは一体どんな社会だろう? それは、「個人により近づける社会」だ。誰もがスマートフォンを持ち歩き、そこで日常生活のほとんどが完結できるようになった現代は、企業から見れば、個人の情報を得やすくなった時代と言える。わずか10年前と比較しても、個人を知ることが格段に容易になった。
 そんな時代にあって、個人を無視することなどできない。どんな業種のどんなビジネスであっても、より個人を知り、個人と直接つながるビジネスへとシフトしていく必要がある。個人と企業との距離を縮め、関係性を構築することこそ、デジタル時代のビジネスで最も重要なことだと僕は考えている。

 では、どうやって人とつながればいいだろうか?
 キーワードは「熱量」だ。熱量こそが、人と人、企業・ブランドと人とをつなぐ鍵となる。なぜなら、人は熱量の高いものに引き寄せられるからだ。熱量が高ければ高いほど、引き寄せる力は強くなる。だから、まずは熱量の高いところでビジネスをする。熱量の高い人たちとつながる。これが要となる。
 頭がいいだけでは、人とつながることはできない。感情が豊かなだけでは、人とつながることはできない。必要なのは、IQ(知能指数)でもEQ(感情指数)でもなく、NQ(ネットワーククオリティ)だ。
 そして、このNは「熱量」のNでもある。つまり「熱量クオリティ(NQ)」こそが、より人とつながるために求められる資質なのだ。逆説的に思えるかもしれないけれど、デジタル化が加速するほどに、熱く血の通った人間同士のつながりがより重要になる。
 そして、熱量が最も高くなる場所、それが「現場」だ。だからこそ、現場で人とつながるために、僕は足を使う。自ら相手のところに出向き、直接会って話をする。僕が自分自身を「誰よりもアナログなCDO」と言う理由はここにある。
 インフルエンスは現場で起きている。現場にこそ熱量がある。インフルエンサーの熱は現場で作られ、それがオンラインで配信されているに過ぎない。熱量に満ちた現場に足を運び、いかに人に近づき、人間関係を作るか。それを模索していくことが、デジタル時代におけるマーケティングの本質だ。

 本書では、僕自身が大切にしている「熱量」「現場主義」といったキーワードを軸に、デジタル時代のビジネスやマーケターの役割がどう変化しているのか、そしてどうあるべきかについて、僕なりの考えを提示する。読んだ人にとっては新しい発見があるかもしれないし、何となく感じていたことの裏付けを掴んでもらえればいいとも思う。いや、それよりも、昔から変わることのない本質を思い出してもらえると嬉しい。
 ただし、僕の考えが唯一無二の正解だとは思っていない。だから本書を読んで、疑問に感じたことや意見があれば、ぜひ直接連絡してほしい。質問があれば聞いてくれても構わない。意見の違う人と議論をするのも楽しみだし、本書を読んだ人のコミュニティで一緒に何かできたら面白いだろうとも思う。ぜひ、読んだ人同士でどんどんつながってほしい。それはまさに熱量が起点となったつながりだ。
 本書から、僕の熱量があなたに伝わると嬉しい。そしてこの本が、あなたが今以上にビジネス、そして人生に熱量を発揮するきっかけとなることを心から願う。

目次

はじめに 
長瀬次英の経歴 
プロローグ──FALL in LOVE=マーケティング 

第1章 日本初のCDO
誰よりもアナログなCDO誕生 
デジタルシフトとは何か 
ロレアルのデジタルシフト 
改革はトップダウンで 
全社員へのデジタル教育
売上を生む場所をシフト 
顧客の熱量を上げる 
本当に大切なのは「現場」 
ライバルから仲間へ 
「個」に近づくためのデジタル施策 
大改革とCDOの役割 
熱量が共通言語を育む 
人と人をつなぐ仕事=CDO 

第2章 デジタルだから「現場主義」
フェイスブックで受けた衝撃 
デジタル時代こそリアル 
データではわからないこと
デジタル時代こそ飲みに行く 
接待もマーケティングだ! 
デジタル時代こそ足で稼ぐ 
現場の「今」を見よ 
目的のためには手段を選ばない 
答えは現場にある 

第3章 熱量フィロソフィー
SNSは「熱量」そのもの 
人は熱量でつながる 
熱量は低くてもいい 
熱は「高→低」で移動する 
熱量には「色」がある
好きかどうかは関係ない 
顧客とつながるのも熱量 
熱量でコミュニティができる 
熱量でコミュニティを育てる 
熱量でコミュニティを口説く 
熱量を高める現場マジック 
チームの熱量を高めるには 

第4章 マーケティングで何が起きているのか
マスマーケティングの限界
「個」を見るマーケティング 
マスを追いかけていたあの頃 
「個」を見れば会社が変わる
会って話そう──究極のD2C活動 
カスタマージャーニーの盲点 
顧客は今、現場にいる 
広告はもういらない? 
広告がファン離れになる 
広告なしでファンがつく 
日本人にアルゴリズムが通用しない理由 
アルゴリズムを超えていけ 

第5章 マーケターよ、熱くなれ
熱はあるんか? 
人間関係を作れ 
熱量でつながれ
ブランドになれ 
ストーリーを語れ 
石ころを売れ 
日本酒を15万円で売ろう 
熱量でインフルエンスを起こせ 
フォロワーは足で稼げ 
リアルな現場を作れ 
熱量で顧客を振り分けろ 
ちょうどいいサイズになろう 

第6章 熱量の原点、そして未来
「37歳で社長になる」 
KDDIで得た武器
社長へと続く階段 
上へ上へ、企業を渡り歩く 
社長への4つの戦略 
37歳で社長になる 
いちばん熱い社長の一年 
すべてはキャリアのために 
ついに「好き」を仕事にする 
仕事が僕を選ぶまで 
マーケターとしての原点 
垣根のないキャリアを持とう 
熱量でキャリアを作ろう 

おわりに

略歴

長瀬次英(ながせ・つぐひで)
1976年、京都府綾部市生まれ。中央大学総合政策学部国際政策文化学科卒業。
2000年、KDD(現・KDDI)に入社。国際部、ワイアレスビジネス推進部、海事衛星通信事業部、サービス企画部などに勤務。その後、外資系広告代理店のJ. Walter Thompson Japan、外資系消費財メーカーのユニリーバ・ジャパン/ユニリーバ・オーストラリア、外資系化粧品・栄養補助食品会社のニュースキン・ジャパンで、主にブランドの戦略構築や新商品開発、アジア地域市場におけるビジネスの立て直し、新規事業開発・収益化を手がける。フェイスブックジャパンにてブランドビジネス開発責任者・クライアントパートナーとして参画した後、2014年にインスタグラムの初代日本事業責任者(BDL)に就任、日本におけるインスタグラムの収益モデルを確立した。
続いて世界最大の化粧品会社ロレアルの日本法人で初代CDO(最高デジタル責任者)に就任、日本初のCDOとして、CDO of The Year 2017を受賞。日本のデジタルトランスフォーメーションをリードする。その後、エンターテインメント会社LDH JAPANの執行役員兼CDO等を務めたのち、ナレッジシェアリング&ネットワーキングを目的としたコミュニティーマネジメント会社PENCIL&PAPER.COM株式会社と、CDO/CEO/CMOといった経営者目線でのコンサルティングを提供するVisionary Solutions株式会社を設立し、CEOに就任。同時にエンターテインメントやコスメブランド等の顧問やアパレルブランドのCEO、ブランディングカンパニーのCSO(最高戦略責任者)を務めるほか、様々な企業や事業に参画。それらを同時平行させるパラレルワーキングを実践している。
Forbes JAPANなど様々なメディアでカリスマ経営者やトップマーケターとして紹介されるほか、その容姿とセンスを活かしてモデル業や役者業も行っている。

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●カバーデザイン/穂積岳人(SANKAKUSHA)
カバー写真/遠藤宏
本文レイアウト/SANKAKUSHA
校正/円水社
編集協力/土居悦子、松永優花

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