ICU式「神学的」人生講義 この理不尽な世界で「なぜ」と問う
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魯 恩碩 著
- 書籍:定価1870円(本体1700円)
- 電子書籍:定価1496円(本体1360円)
- 四六判・並製/416ページ
- 978-4484212210
- 2021.7発行発行
この資本主義社会を倫理的に生きることは可能か?
《愛し、赦し、共に生きるための「究極のリベラルアーツ」。7人の学生と神学教授が、12の対話の果てに見つけたものとは? ―― 国際基督教大学の必須教養科目を書籍化》
信仰とは「なぜ」と問う勇気。
たしかにこの世界は、不条理と理不尽に満ちている。
しかし、私たちには「なぜ」と問う力がある。
神学は現代社会を支えるもっとも影響力のある思想の一つである。20億人以上が信仰する世界宗教のキリスト教について知ることは、世界人口の3割以上の人たちが共有している価値観や世界観に耳を傾けることでもある。キリスト教は日本ではマイノリティーの宗教ゆえ、イメージしにくいかもしれない。しかし、たとえば、私たちを当たり前に守っている「日本国憲法」の人権概念が、キリスト教の人間観と無縁ではないといわれるとどうだろう。あるいは、「私たちが生きるいまの世界」を形づくった、科学技術の発展、産業革命、リベラルな民主主義に、キリスト教の思想がかかわっているといわれるとどうだろう。
「競争社会で人を出し抜かずに生きられるか? 」 「正当化できる暴力や戦争は存在するのか? 」 「そもそも、人はなぜ等しく尊厳を持つ存在なのか? 」 ほか、容易には解が見つからない12の究極の問いをテーマに、立場も考えかたも違う7人の学生と教授が話し合う。教授は言う。宗教においては、自分が信じるものとは違った教えとの対話が、とても大切な平和的な態度であると信じています、と。人生に落胆したとき、自分を支える思想の一つとして、あるいは、勇気を持ち、多様な他者と語り合い、世界に高くはばたくための武器として、神学の基礎教養を身につける入門書。
人は、自分の限界を知る存在である。
自分の限界を知っている。
だから人は祈る。
「祈り」という言葉がない言語はない。
目次
■はじめに
■第一講:一人の犠牲で、みんなが幸せになれるとしたら? 【この世界を見るための「準拠枠」】
■第二講:なぜ、すべての人間は等しく尊厳を持つのか? 【キリスト教と日本の人権思想】
■第三講「:この世界のいま」「私たちのいま」はなぜあるのか? 【旧約聖書の創造信仰】
■第四講:耐え難い絶望のなかで、なぜ生きなければならないのか? 【旧約聖書の成立】
■第五講:被害を受けたとき、あなたは加害者を許せるか? 【新約聖書の「赦し」】
■第六講:あなたの人生の「傷」、そして「使命」とは何か? 【新約聖書の信仰義認論】
■第七講:この世界に、正当化できる暴力や戦争はあるのか? 【絶対平和主義と正戦論】
■第八講:科学が事実を語るとき、神は何を語るのか? 【キリスト教と自然科学】
■第九講:なぜ、この世界に悪が存在するのか? 【この不条理な世界と神義論】
■第十講:この理不尽な世界で「なぜ」と問う【人間の有限性と「祈り」】
■第十一講:競争社会で出し抜かずに生きることはできるのか? 【資本主義と共存の倫理】
■第十二講:私たちは動物や自然をアガペーできるのか【?キリスト教と環境倫理】
■おわりに