復刻版 ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本
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ラフカディオ・ハーン 著
鈴木あかね 訳
河島弘美 監修
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 四六判・並製/264ページ
- ISBN978-4-484-17103-6
- 2017.03.24発行
文化・芸術・歴史 /
ラフカディオ・ハーンによる唯一の料理指南書。
来日前、1877年からの10年間をニューオリンズで過ごし、米・仏・西の文化が混じり合う独特の「クレオール」文化に強くひかれたラフカディオ・ハーン。その彼が、持ち前の民族学者的精神を発揮し集めた膨大なレシピをまとめたものが本書である。オクラ入りゴンボ、ジャンバラヤ・・・異国情緒あふれるメニュー400選。「経済的であると同時に単純」で余り物を上手に使う家庭料理の数々が、ユーモアあふれる達意の文章で紹介される。ハーン自身による挿絵も多数収録。(※日本でも作れる美味しそうなレシピ多数!)
はじめに
ラ・キュイジーヌ・クレオール(クレオール料理)」は、いかにもその発祥の地ニューオーリンズそのもの、といった料理である。言うなれば、この土地の国際色の豊かさを反映し、アメリカ、フランス、スペイン、イタリア、西インド諸島、メキシコそれぞれのお国柄が混ざり合っているのである。
本書はこれまで出版されたことのなかったクレオール料理オリジナルのレシピやその他の貴重なメニューを集めたもので、ゴンボフィレ、ブイヤベース、クールブイヨン(だし)、ジャンバラヤ、ロシア風サラダ、クレオール風ザリガニのビスク、食後酒のプースカフェやブリュレといったおなじみのものから、さまざまなお菓子や病人向けのレシピ、カクテルドリンクまでを収めた。家庭の安心立命は食事の支度の出来不出来に左右される。無知が生み出す消化に悪い品々は家庭に不和と災いをもたらすものであるから、若い主婦は何としても料理の技術を習得せねばなるまい。
従って、本書は新米の主婦を対象とすることにした。ここに登場する多彩なクレオール料理はすべて経験によって徹底的に裏打ちされ、スープからデザートにいたるまで「キュイジーヌ」のすべてを網羅している。また、簡潔にして明晰な用語で説明してあるのでわかりやすく実用的であり、新米主婦の前に立ちはだかる料理という神秘のベールをはがし、彼女をアントレ、すなわち台所の入口に案内する。
クレオール料理は本質的に経済的であると同時に単純である。食欲をそそらずにはおかない料理の数々は、ちょっとした調理のコツの賜物であって、高価な食材や熟練の妙技とは無縁である。クレオールの主婦は、浪費癖のある召使いだったら捨ててしまうようなおいしい屑くずを巧みに使う。こうした腕前を主婦は誇りとし、またそのような腕前の持ち主は当然の結果として友人たちの賛辞にあずかることになる。
本書は巷にあふれる料理本とはひと味違うレシピを取り上げており、「ラ・キュイジーヌ・クレオール」独特のメニューを編纂した唯一の書である。
<以下略>
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目次
ハーンとクレオール料理――――河島弘美
はじめに
スープ
魚料理
冷製肉とその盛りつけ方
獣肉・鳥類・鹿肉料理のためのソース四五種
アントレ
羊肉・牛肉・ハムの料理
鶏・鳥類・鹿肉料理
野菜料理
卵料理(オムレツなど)
サラダとつけあわせ
ピクルス
パンとイースト
ラスク、ドーナツ、ワッフル
ケーキとお菓子
デザート
プディング、パイ、ミンスミート
プリザーブ、シロップ、ゼリー
果物のブランデー漬け、果実酒やリキュール
病人や病み上がりの人のための胃腸にやさしい料理
コーヒー、お茶、チョコレートなど
キャンデーとクリームドロップ
傑作選
料理の心得
家事の心得
訳者あとがき