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うつが治る 食べ方、考え方、すごし方
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完全復職率9割の医師が教える うつが治る 食べ方、考え方、すごし方

  • 生活実用

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うつが治る 食べ方、考え方、すごし方

うつ病患者と向き合って35年、高い治癒率を実現した著者が見出した「うつ」の原因と治療法。脳の栄養不足を補う、「生き方のクセ」から「生き方のコツ」を学びとらせる、キックボクシングによるトレーニングなど、画期的治療法をついに公開。

  • 書籍:定価1650円(本体1500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1200円)
  • 2015.1発行
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内容

「この本を読まずに、うつ病からの回復をあきらめるな」という強い思いで、本書をまとめました――著者

うつ病と診断され、休職が必要とされる人のなかには、治療開始後2~3カ月で、落ち着いた気分が上向いて、やる気を取り戻し、職場に復帰していく人がいます。しかし、一度休職を必要とするうつ病になった人で、2~3カ月で実際に回復できる人の数はさほど多くはありません。短期間での回復が難しい、というのがうつ病の実態でしょう。2~3カ月で順調な回復を見せ、職場に戻っていく人の数は、全体の5~6割です。

しかしながら、著者が確立した診断法と治療の工夫、そしてリワークプログラムの併用により、著者の病院では9割に達しています。
うつ病に至る過程は患者一人ひとり違います。その違いに合わせて、精神療法だけでなく、栄養療法、キックボクシングなどの運動療法を組み合わせていくことで、薬だけに頼らない「精神医学の常識」を覆すことができるのです。

うつ病患者だけでなく、こころの健康維持にも役立つ一冊。

*本書P216ページ掲載の「SDS うつ性自己評価尺度」を利用される際は、(株)三京房までご連絡ください。

はじめに

うつ病を含む気分障害の患者数は厚生労働省によれば1999年には44万人だったものが、今では100万人を超えています。15年で倍以上になったのはなぜか。従来型のうつ病が減少し、新型うつ病の増加を見て、「豊かな生活のなかで苦労を知らずに育った、精神的にひ弱な人間が多くなったからだ」と言う人がいます。「うつ病の名を借りて仕事を休み、休業の手当金をもらっている単る嘘うそつきが多くなったからだ」と個人攻撃する人もいます。こうした発言は、今この時代を一緒に生きる人として、病気になった人に非難的・攻撃的な言い方をしてしまういうことで、そのこと自体が社会が病んでいる証拠だと私は思います。なぜうつ病が増たか、私の結論は「社会が病むとうつ病が増える」です。
 
では、社会が病む一番の原因は何か、それは日本全体にはびこった競争社会にあると思います。過激な競争社会で生き延びることに懸命で、精神的に余裕を持って子どもに向き合う時間が少ない親たち、就学すると勉強、スポーツ、そして音楽の世界まで日本一を目指し、他人に勝って生きていくことを教えられる子どもたち。学校は勉強以外は教えず、お互いに助け合いながら生きる人間の心を育てようとしません。いじめが横行し、自殺者まで出ているのに「いじめは存在しない」と言います。
 
このように大人と子どもがかみ合わないなかで、子どもの精神は力強く育つはずがありません。社会に出ると、競争社会を生き抜いている人々は敗者、弱者には優しくありません。明日は我が身といえるうつ病に対しても、優しくないのです。
 
うつ病の治療には周りの温かい支援が必須ですが、今のような競争社会では望めそうにありません。うつ病になると、皆、ひとりで戦わなければならないのです。せめてうつ病の患者さんに共感的に接する医療を提供したい、とうつ病と第一線で戦っている精神科医として切に思います。
 
社会とうつ病の関係として、次のことを挙げることができます。
● 患者さんが社会の影響を受けやすい「生まれながらの自他の言動への敏感さ」を持っている。
● 社会の機能不全によってうつ病になりやすい考え方、生き方が助長されている。
●競争社会はうつ病の発病を促し、改善・回復のブレーキになっている。
● 食事文化が崩壊し、現代人の栄養状態をうつ病になりやすいものにしている。
 
したがって、うつ病を個人の病気としてのみ捉える治療では、うつ病は完全には治りません。社会がどのように病み、どのようにうつ病に関係しているのかを知らなければなりません。うつ病を社会全体の問題として捉えると、うつ病を治りにくくしている薬一辺倒の治療から脱皮できます。健康になるための運動とは何か、考え方とは何か、正しい栄養の摂り方とは何か、適切なストレス・マネージメント(解消)の仕方とは何か……と、より個人的問題に落として考えることで、うつ病に効果的な診断・治療法が出てきます。この意味で多くの症例を紹介させてただきました。
 
本書では、うつ病の改善、回復に有効な運動や考え方、栄養の摂り方、ストレス解消の仕方などを十分に取り上げます。とくに難治性うつ病といわれ、いつまでもよくならず、悩んでいる方たちに、「この本を読まずに、うつ病からの回復をあきらめるな」という強い思いで、本書をまとめました。回復のために役立てていただければ幸いです。

もくじ

 
はじめに
 
第1章  「うつ」が治りにくい理由vs9割の「うつ」が治る理由

低迷するうつ病の治療 2割しか治らない事実
うつ病が治りにくい原因は症状のみでの診断と薬一辺倒の治療
症状のみで原因を見ない診断基準の落とし穴
「うつ病はこころの風邪」キャンペーンの罪
抗うつ薬は3割程度にしか効かない
「うつ」を治りにくくしている7つの要因
「うつ」の治癒率を高める診断と治療の工夫
ストレスによる消耗性のうつ病が最多
DSMに代わる病態診断
治療法が見えてくる「うつ病の3分類」
病気の成り立ちから診断・治療
うつ病には栄養療法が欠かせない
症例からうつ病のさまざまな病態と原因を知る
・インターフェロン治療中にうつ病に
・「ストレスの身体化」によるうつ病
・心配性で、不安でたまらなくてうつ状態に
・機能不全家族が関係したストレスによるうつ病
・親の介護に追われて発病し、難治性うつ病に
・うつ病になりやすい素質があって発症
・たんぱく質と鉄の欠乏によるうつ病
・鉄欠乏によってうつ病に
・チロシン(アミノ酸の一種)欠乏によってうつ病に
・意欲の低下がいつまでも改善しないうつ病
・うつ病と誤診された双極性障害(気分循環性障害)
・部活でのトラブルで不登校、うつ病に
・学校になじめず、消耗性のうつ病に

 
第2章  栄養障害が「うつ」を招く! 脳とこころを整える食べ方

疲労、不眠、うつ状態を招く「隠れ鉄欠乏」に早く気づく
鉄欠乏がどうか自己チェックしてみる
キーワードは第2の鉄フェリチン
鉄を摂るため毎日マグロ2㎏食べられるか
鉄をしっかり補充する食べ方のコツ
アミノ酸チロシンで気力アップ
気分を調整するアミノ酸3兄弟
肉を食べないと「うつ」になる?
間違いだらけのたんぱく質の摂り方
こころを整えるナイアシン
幻覚におびえて……統合失調症と思ったら、栄養障害だった
脳がエネルギー不足に陥ると……
甘い物好きが陥る知られざる病気、低血糖症
低血糖症の正しい食事の摂り方
 
第3章  ストレスで消耗したこころのエネルギーを高める生き方

過剰なストレスの溜め込みで発症するストレス消耗性うつ病
自他の言動に敏感な人はストレス消耗性うつ病になりやすい
敏感すぎる性格は栄養欠乏が原因だった!
幼年期にストレス消耗性うつ病の病根を探す
ストレス消耗性うつ病の病根が育つ機能不全家族
こころの成長に必要な4つの家族機能
機能不全家族1 子どもに安心・安全な環境を与えることができない
「巨大な外のアンテナ」と「貧弱なこころのアンテナ」
機能不全家族2 子どもの気持ちを受け止めることができない
機能不全家族3 子どもに生き方の公式を教えることができない
機能不全家族4 子どもを教育することができない
ストレスを発散する! 幼少期に身につけたい感情コントロールの能力
感情をコントロールするための3原則
嫌な感情を言語化してストレス発散
うつ病からの回復を助ける身体運動 はじめの一歩は早寝早起き
起きた後、とにかく4時間、寝ずに頑張る
動けば、自然治癒力が上がり、「うつ」は治る
こころに効く運動と体に効く運動は別
キックボクシングの6つの効果
うつ病に効果的な運動の3原則
トラウマには立ち向かわず、スルーする
気分循環性障害の慢性化によるストレス消耗性うつ病
元気のもと 心的エネルギーを計算してみよう

 
第4章  「うつ」からの復帰力を高める こころリハビリテーションの原則

復職―回復に必要なパワー(活力)を上げるリハビリテーション
復職―回復への6つのステップ
復職に失敗する3つの理由
復職率をぐんと高めるリワークプログラムとは
2時間超ウォーキングと2時間超デスクワーク訓練のすすめ
職場に戻って3か月は「ならし運転」
ストレス消耗性うつ病から回復までの道のり
・ハードワークが続いて発病
・復職したが、2か月で再び休職
・自分は〝こころの弱い人〟になってしまったと悩む
・転院。ストレス消耗性のうつ病と診断される
・薬と休養だけではいけないと感じる
・栄養にも問題があった
・復職を目指してリハビリ
・リワークプログラム1日目
・長期休職がトラウマになっていた
・初めてのキックボクシングは楽しかった
・幼少期の育ち方に問題があったと気づく
・リワークプログラム2日目以降
・自分が感じたこと、考えたことを言葉にできるようになった
・段階的復職によって無理なく復帰
・復職して
・心的エネルギーが不十分なので、仕事は増やさなかった
 
著者の「贈る言葉」

略歴

廣瀬久益(ひろせ・ひさよし)
精神科医。水戸市と新宿区に2つのクリニックを開院。
筑波大学卒業。茨城県立友部病院合併症病棟長、豊後荘病院アルコール病棟長、同老人(認知症)病棟長。1989年水戸市に廣瀬クリニック開院。開院当初から、時代が必要とする集団精神療法を展開(アルコール家族の会、ACの会、機能不全家族の親の会、不登校・引きこもりの会、社会復帰を目指す人の会など)。地域精神医療にも大きく貢献(茨城県国保連合会レセプト委員、同中央児童相談所嘱託医、同水戸市保健所嘱託医など)。公演活動も多数。2003年から運動精神療法と分子整合栄養医学を精神科医療に取り入れ、すでに約一万例の、統合失調症患者及び各種難治例の患者(うつ病、不安障害、強迫性障害、不登校、自閉症、発達障害、チック症、認知症など)を回復させている。2009年には東京に新宿OP廣瀬クリニックを開院。
昨今、時代的要請の高まっているうつ病の治療に関しては、個人外来診療と集団精神療法でリワークプログラムを展開し、完全復職率9割という驚異的な結果をもたらしている。数年前からYouTubeで一般公開されている独特のスタイルの「Dr講話」は、精神科診療技術のエッセンスともいうべき興味深い内容であり、悩める人々に広く浸透し、再生回数150万回を超えている。うつ病と鉄欠乏の関係がNHK「ためしてガッテン」で取り上げられたのも、「Dr講話」がきっかけだった。

カバーデザイン/根本佐知子(Art of NOISE)
カバーイラスト/石川恭子

編集協力/渡邊靖彦
校正/櫻井健司(コトノハ)