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「聴く」ことの力
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「聴く」ことの力 臨床哲学試論

  • 哲学・心理学・科学

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「聴く」ことの力

聴く、届く、遇う、迎え入れる、触わる、享ける、応える……。哲学とは〈聴く〉ことによって変わる自分の営みなのではないか――哲学の新たな可能性を追求する、注目の論考! 《桑原武夫学芸賞受賞》

  • 書籍:定価2200円(本体2,000円)
  • 電子書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 1999.06発行
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内容

聴く、届く、遇う、迎え入れる、触わる、享ける、応える……

哲学とは〈聴く〉ことによって変わる自分の営みなのではないか――

哲学を「臨床」という社会のベッドサイドに置き、
そのことで哲学の時代・社会における「試み」としての可能性を探り、
とりわけ「聴く」こととしての臨床哲学の可能性を追求した、
哲学を社会につなげる新しい試み。


《第3回桑原武夫学芸賞受賞》
各選考委員絶賛!(以下、選評より)

現実の世界に哲学を近づける貴重な試み。
――梅原猛氏

「臨床哲学」という新しい領域を設定し、その中心に「聴く」ことを据えた……非常に深い洞察。
――河合隼雄氏

写真との協奏に感心する一方、著者が二十年来親しんできた哲学者メルロ=ポンティの文学的・音楽的基調底音を聴く思いで心動かされた。
――多田道太郎氏

「臨床哲学」とはききなれぬ言葉だが、自分をぬきにして語れない哲学という思索様式にふさわしい。
――鶴見俊輔氏

目次

第一章 〈試み〉としての哲学
   1 聴くという行為
   2 哲学のモノローグ
   3 哲学のスタイル
   4 哲学のクライシス
   5 哲学のオブセッション
   6 哲学のテクスチュア
   7 エッセイという理念
   8 非方式の方式
 
第二章 だれの前で、という問題
   1 哲学の場所
   2 眼がかちあうということ
   3 声がとどくということ
   4 なにかに向かうということ

第三章 遇うということ
   1 沈黙とことばの折りあい
   2 間がとれない
   3 補完性
   4 だれかに遇うということ

第四章 迎え入れるということ

   1 ある人生相談
   2 ことばが摑む、これが響く
   3 だれが聴くのか?
   4 ホスピタリティについて

第五章 苦痛の苦痛

   1 われらみな異邦人
   2 傷つきやすさということ
   3 苦しみを失う
   4 祈りとしての聴取
   5 パックという療法

第六章 〈ふれる〉と〈さわる〉

   1 ひとの脈にふれる
   2 〈ふれ〉の位相
   3 「さわる」音
   4 音響的存在としてのひと

第七章 享けるということ

   1 享けるという経験
   2 「時間をあげる」、あるいは無条件のプレゼンス
   3 たがいの裏側

第八章 ホモ・パティエンス
   1 ケアとその〈場〉
   2 歓待の掟
   3 homo patiens
   4 意味ともつれあいながら、意味の彼方へ
   5 どっちつかずとあかるさと

あとがき

略歴

鷲田清一(わしだ・きよかず)
1949年京都市生まれ。京都大学文学部卒業、同大学文学研究科博士課程修了。関西大学文学部教授、大阪大学総長等を経て、現在、大谷大学教授。専攻は哲学・倫理学。

主な著書に『顔の現象学』『現象学の視線』(ともに講談社学術文庫)『じぶん・この不思議な存在』(講談社現代新書)『メルロ=ポンティ』(講談社)『だれのための仕事』(岩波書店)『悲鳴をあげる身体』(PHP新書)など、またモード批評の著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『ちぐはぐな身体』(ちくまプリマーブックス)、エッセイ集に『普通をだれも教えてくれない』(潮ライブラリー)『夢のもつれ』(北宋社)などがある。

●カバー写真/植田正治「風船を持った自画像」1948年頃
●ブックデザイン/守先 正