キラー・クエスチョン 常識の壁を超え、イノベーションを生み出す質問のシステム
元HP(ヒューレット・パッカード)社パーソナル・システムズ・グループCTO(最高技術責任者)が、数々の優れモノを世に送り出した「アイデア開発実行システム」を公開。「正しい質問」こそが、真に革新的なビジネスを生む!
- 書籍:定価1980円(本体1,800円)
- 電子書籍:定価1584円(本体1,440円)
- 2013.09発行
内容
最良のアイデアを生み出し実行することは、変化や競争の激しいビジネスの世界で生き残るカギだ。そんなイノベーションを起こすためのメカニズムとして「キラー・クエスチョン」を提案する。経験則に基づく固定観念を打ち破るにはどうすればいいのか?
情熱と好奇心を備えたプロフェッショナルなら誰でも、新しいビジネスのアイデアを考案して育み、実行することは可能だ。本書のキラー・クエスチョンと、そのクエスチョンを正しく問うためのFIRE(フォーカス・アイデア化・ランキング・実行)メソッドを使えば、あなたもゲーム・チェンジャーになれる!
「イノベーションを成功させるためには、優れたアイデアを生み出し、優先順位をつけ、実行に移すプロセスを理路整然と進めるシステムの存在が何よりも欠かせない。そこで私は「キラー・クエスチョン」というシステムに注目した。これは成功へのロードマップとして活用できる優れモノだ。キラー・クエスチョンを使えばすごいアイデアが確実に生み出されるだけでなく、資金や時間や労力をつぎ込むべきアイデアの選択に迷いの入り込む余地がない。」――本書「プロローグ」より
目次
はじめに
プロローグ――常識を超える
第一部 イノベーションに備える
第一章 なぜ質問が大切なのか
質問のパワー/質問は効果を発揮する
悪い質問、良い質問/キラー・クエスチョン
第二章 思い込みを疑い、ジョルトを乗りきる
思い込みを捨てる/あなたの思い込みは?
ジョルトとは
第三章 組織の抵抗勢力
組織の抵抗勢力はなぜ反発してくるのか
組織の抵抗勢力を克服する/戦うか、それとも逃げるか
第二部 ブレークスルーを引き起こすイノベーションへの道を探る
第四章 イノベーションか、しからずんば死か
第五章 FIREメソッド
なぜFIREは機能するのか/ゲートファンディング・モデル
なぜシステムが必要なのか
第六章 あなたにとっての「誰」は誰か
調べまわり、観察し、質問する
「誰」に関するキラー・クエスチョン
第七章 あなたにとっての「何」は?
「何」に関連したキラー・クエスチョン
あなたの未来の「何」は
第八章 「いかに」実行するか
「どうやって」に関連したキラー・クエスチョン
価値連鎖/未来は「どんな方法」になるか
「どうやって」という問いかけはなぜ重要なのか
第九章 ワークショップの上手なやり方
キラー・イノベーション・ワークショップの六つの黄金律
ワークショップをコーディネートする
ワークショップの進め方/アイデアの実行へ
第十章 採用して修正せよ
クロガーのケーススタディ/教育省のケーススタディ
エピローグ――イノベーションを始めよう
原注
「プロローグ」より
私はキャリアを通じて育んできた独自のアプローチのおかげで、競争相手には想像もつかない場所で革新的なアイデアを発見し、顧客の隠れた願望を満たすことができる製品を送り出してきた。しかし何よりも、私はこのやり方によって解放感を味わってきた。このテクニックを使えば、企業の役に立つアイデアがつぎつぎ湧いてくるだけでなく、それが素晴らしいものだと確信できるようにもなる。
これから本書で紹介するスキルをぜひ身に付けてもらいたい。的確な言葉で的確な質問をすれば、他人が見逃している事柄が明らかにされる。その結果、組織はどうあるべきで、どんなサービスや製品を提供し、どんな人びとを販売の対象にするべきかという問題について、日ごろの認識が変化するはずだ。現在のあなたが業界のトップを進み、その座を守り続けたいならば、従来の信念や思い込みを捨てるべきだ。ところが従来の文化の枠組みでは、過去の経験――未来ではなく過去との関わりが深い「ありきたりの」アイデア――への依存を克服する方法が教えられていない。
私はこの十年、画期的なイノベーションにつながる新しいアイデアが、どのようなシステムから生み出されるかについて執筆し、研究を重ねてきた。このシステムでは、「キラー・クエスチョン」が活用される。あなたのビジネスに関してキラー・クエスチョンを使えば、適切な顧客やサービスや製品に集中して取り組み、業務を円滑に進めていくことができる。そのためのプロセスについて、これから章を追って紹介していく。そして最後にもうひとつ、私の最も大事な信念について伝えておきたい。実行を伴わないイノベーションは趣味にすぎないと私は信じている。頭で考えたアイデア、あるいはノートにしたためたアイデアからプロトタイプを創造し、それを試したうえで最終的に市場に送り出す能力が伴わなければ、優れたイノベーターにはなれない。このプロセスを踏んでこそ、ベストのアイデアの計画やその実行は可能になるのだ。
略歴
[著者]
フィル・マッキニー Phil McKinney
イノベーションの専門家。元ヒューレット・パッカード社パーソナル・システムズ・グループ上級副社長および最高技術責任者(CTO)。同社でイノベーション・プログラム・オフィスを創設し、そのリーダーとして長期的な戦略プランの立案と研究開発に携わる。そこでの数々のビジネスならびに製品サービスのイノベーション(HP社に在籍中の9年間に、読み書きができない人のためのパソコンなど12件のイノベーションを実現)の成功体験をもとにして、本書の独創的なアイデア開発実行システムが生まれる。数多くの一流企業のコンサルタントを務めるかたわら、ヴァニティ・フェア、ビジネスウィーク、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルなどの紙誌、世界各地のワークショップや講演でも活躍。サンフランシスコ在住。
[訳者]
小坂恵理(こさか・えり)
翻訳家。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。役所に『オバマ大統領就任演説』(ゴマブックス)、ローゼンバーグ『クール革命』(早川書房)、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(共訳、早川書房)、カリアー『ノーベル経済学賞の40年』(筑摩書房)他。
●装丁・本文デザイン/轡田昭彦、坪井朋子