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誰が中流を殺すのか
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誰が中流を殺すのか アメリカが第三世界に堕ちる日

誰が中流を殺すのか

格差解消を求めて「ウォール街占拠デモ」を続ける若者たち。癒着する政財界、モラルなきウォール街、崩壊するインフラ――彼らを怒りに駆り立てた元凶は何なのか。ネットメディアの女王がアメリカの闇を追求します。手嶋龍一氏(外交ジャーナリスト)推薦!

  • 書籍:定価2200円(本体2,000円)
  • 2011.10発行
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内容

これは警告の書だ。
――ジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学者)

米国社会から中間層が消えていく。日本は悪しき米国システムに追随してはならない。
――手嶋龍一(外交ジャーナリスト・作家)

「ウォール街を占拠せよ!」
2011年9月。格差反対を掲げて若者たちがウォール街を埋め尽くした。普通に生きていた人々が仕事を奪われ、住処を奪われ、貧困ギリギリの暮らしを強いられる一方、ウォール街は中流層をだまして大儲けする……。そんな現実に、人々の我慢は限界に達している。

癒着する政財界、モラルなきウォール街、崩壊するインフラ――人々を「ウォール街占拠」へ駆り立てた元凶を、著者アリアナ・ハフィントンが徹底的に追求する。

本書が描くアメリカの病の一例
・政財界の癒着
炭鉱事故を繰り返していたマッセイ・エナジーの幹部が、監督省庁の責任者に就任。退任後はまたマッセイに逆戻りしている。
・モラルなき金融業界
ワシントン・ミューチュアル銀行の営業担当者は、リスクの高いローン(高金利を課す、繰上げ返済した場合の高額な違約金を組み込むなど)をつくることで報奨金を得ていた。

目次

1章 第三世界アメリカ
「窒息」させられる中流層
「元中流層」という名の新たな階級
ワシントンの「バンドエイド型政策」
現実を知らないリアリティー番組
「金融化」が進むアメリカ経済
誰にとっての「安定」なのか
アメリカの職を吸い込む音
差し迫る経済の心臓発作
覆ってしまった優先順位
[私の失業物語1]――ブレンダ・カーター

2章 中流街の悪夢
折れてしまったアメリカの背骨
「アメリカの中流層」とは誰か
崖っぷちへの長い旅が始まる
豊かな層だけは豊かになる
金融大手が熱帯の島に逃げる理由
シンプソン家の暮らしは贅沢?
仕掛けられていた大きな罠
モラルが破綻した破綻対策法
住宅差し押さえから始まる負の連鎖
クレジットカード漬けの暮らし
朝のあいさつは「今日も無事でよかった」
ねじれた怒りが巻き起こる
現実味を帯びる「アメリカの悪夢」
[私の失業物語 2] ジョニー・パーカー

3章 アメリカは朽ち果てる
50年は遅れているインフラ戦略
景気刺激策は「財政版ピニャータ」
2分に1回破裂している水道管
電力網はエジソンの時代のもの
10年で倍層した「極限通勤者」
第2次大戦前より遅くなった鉄道
やっぱり明日に架からない橋
いま直さないとダメなダム
学ばれなかったカトリーナの教訓
成功につながらないネット
落第するアメリカの学校
ダメな教師をクビにできない
[私の失業物語3]――マット・スタグリアーノ

4章 誰がアメリカン・ドリームを殺したか
中流のためのロビイストはいない
オークションにかけられる民主主義
あまりにもリスキーなビジネス
キツネに鶏小屋を守らせる
高い地位の下劣な友人たち
パワーブローカー2・0
ワシントンとウォール街のテレパシー
「誰が知りえただろう」の時代
9・11テロも予測されていた
[私の失業物語4]――リンダ・ウィルソン

5章 アメリカを第三世界にしないために
あらゆる改革を可能にする改革
ワシントンに「キラー・アプリ」を
私たちの学校をもっと頑丈に
グリーンな銀行が雇用を生む
「移民企業家」を呼び寄せる方法
「柱の三本柱」はもういらない
差し押さえ危機を差し押さえろ
クレジットカードの「信用」を取り戻せ
ウォール街というカジノを閉鎖せよ
メディアがダメなら市民が伝える
鏡に映っているのがあなたのリーダー
メガバンクから金を引き揚げろ
いかさまだとわかったらルールを変えろ
「粘り強さ」は鍛えることができる
仕事をなくしたら時間ができる
「経済の塹壕」で得られる教訓
独立宣言のいう「幸福」の意味
自分にとってのカルカッタを探す
高い「共感指数」が必要な時代
資本主義とフィランソロピーの融合
「ホープ2・0」を追い求めて
そして選択肢は私たちの手にある

おわりに
訳者あとがき

略歴

[著者]
アリアナ・ハフィントン Arianna Huffington
1950年、ギリシャ・アテネ生まれ。コラムニスト。2005年にブログニュースサイト「ハフィントン・ポスト」を創設。同ブログを2011年2月にAOLに売却し、現在はAOLハフィントン・ポスト・メディアグループの社長兼編集長。2006年と2011 年にタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出される。16歳のときにイギリスに渡り、ケンブリッジ大学で経営学修士を修める。1980年にアメリカに移住。

[訳者]
森田浩之(もりた・ひろゆき)
ジャーナリスト、編集者。立教大学兼任講師(メディア研究)。NHK記者、Newsweek日本版副編集長を経てフリーランスに。早稲田大学政治経済学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)メディア学修士。訳書にコリン・ジョイス『「イギリス社会」入門――日本人に伝えたい本当の英国』、サイモン・クーパー/ステファン・シマンスキー『「ジャパン」はなぜ負けるのか──経済学が解明するサッカーの不条理』、著書に『メディアスポーツ解体──〈見えない権力〉をあぶり出す』『スポーツニュースは恐い──刷り込まれる〈日本人〉』など。

●装丁/神田昇和
●校閲/竹内輝夫