ハーバード大学MBA発 世界を変える「権力」の授業
自分も社会も変えられる。
「パワー」の仕組みさえ知れば、誰もがうまく使いこなすことができる。
ハーバード・ビジネススクール人気授業の講義録!
パワーの力学を理解することは、個人の目標の実現だけでなく、共同体全体の未来を構築する際にも大きなカギとなる。その理由は、個人のパワーと集団全体のパワーの問題が切っても切り離せない関係にあるから。職場や家庭といった各自の生活の場で行使できるパワーは、私たちを支配する政治体制や、人間の活動を左右する経済システム、偶発性と必然性の入り混じった自然界の生態系と互いに連動している。(「はじめに」より)
- 書籍:定価1980円(本体1800円)
- 電子書籍:定価1584円(本体1440円)
- 2022.06.24発行
目次
はじめに――パワーは誤解されている
どこまでも魅惑的だが、誤解されやすい
3つの有害な誤解
パワーを理解するカギ
旅を始めよう
第1章 パワーの基本原理
パワーバランスを調整する
パワーは所有するものではない
第2章 パワーは汚らわしいとは限らない
パワーがもたらす陶酔
パワーと自己中心主義と驕りの関係
パワーのおかげで道徳的に振る舞えるケースもある
パワーと道徳心のジレンマ
パワーと賢く付き合うための成長の道のり――共感と謙虚さを育む
共感力を育む/謙虚さを育む
パワーを善人の手に
個人の努力を越えて──構造的な安全装置の必要性
第3章 人は何に価値を見出すのか
人類の2つの基本ニーズ——安全と自己肯定感
物質的リソース/ステータス/人とのつながり/功績/自律性/倫理観
相手の望みを正確に知る
信頼を得てニーズを聞き出す
第4章 「大切に思うもの」へのアクセス権は誰の手に?
パワーと権限は似て非なるもの
役職と役割の違い
組織図のベールをはがしてみたら
パワー相関図を作る――誰が、なぜパワーを有しているのか
支援者・抵抗勢力・風見鶏を見極める
組織の枠を超えたパワー相関図
パワー相関図のない旅は苦難の連続
必要なネットワークは人それぞれ
思いがけない場所で共通項に気づく
第5章 凝り固まったパワー構造を壊す
パワーの階層関係の構築に必要なもの
権威への服従を自覚する
「悪魔の三つどもえ」
現状の再生産に弱者も加担してしまう理由
物語のパワー
ステレオタイプの重み
パワーの階層関係は壊せるのか
パワーの不均衡への反撃
第6章 扇動・革新・調整
「扇動」だけでは不十分
「誰もが知る重要課題」に押し上げる
規制概念にとらわれない
変革を形にする
テクノロジーは敵か味方か
第7章 パワーは不変でも、パワーの保有者は変わる
パワーの基本原理は永久不変
テクノロジーがパワー相関図を塗り替える
デジタル革命は勢力図をどう変えた?
巨大テック企業のパワーを削ぐ
支配権を取り戻す
多くの人の手にパワーを
第8章 パワーを監視する
職場でパワーを共有する
組織における説明責任――誰に対してどんな責任を負うのか
労働者にパワーを
社会でパワーを共有する
強者に説明責任を負わせるのは万人の仕事
市民を啓蒙する
市民の「筋力」を鍛える
おわりに――すべては私たち次第
パワーの構築に必要なもの
何に価値を見出すか
価値あるリソースを誰がコントロールするか
付録――社会科学におけるパワーの定義
謝辞
*原注はこちら→ハーバード大学MBA発_世界を変える「権力」の授業_原注.pdf
プロフィール
【著者】
ジュリー・バッティラーナ(Julie Battilana)
ハーバード・ビジネススクール「組織行動ユニット講座」教授。ハーバード・ケネディスクール(行政学大学院)教授も務める。HEC経営大学院卒業。INSEADで組織行動論の博士号取得。専門は組織論、社会イノベーション。現在、「パワーと影響力(Power and Influence)」コースを担当。「ハーバード・ビジネスレビュー」、「ガーディアン」、「フォーブス」、「ボストングローブ」、「ルモンド」などに寄稿しているほか、エグゼクティブ教育にも従事している。
ティチアナ・カシアロ(Tiziana Casciaro)
トロント大学ロットマン経営大学院教授。カーネギーメロン大学にて博士号取得。専門は組織行動論。「Thinkers50」として、「組織の管理・指導方法の未来をつくる可能性が最も高い30人の思想家」の一人として認められている。トロント大学着任前は、ハーバード・ビジネススクールでバッティラーナとともに本書の元になっている講座を担当。その研究は「エコノミスト」、「フィナンシャル・タイムズ」、「ワシントンポスト」、「ニューヨークタイムズ」、CNN、「フォーチュン」、「タイム」などで幅広く紹介されている。
【訳者】
井口景子 Keiko Iguchi
翻訳家、ジャーナリスト。「ニューズウィーク日本版」編集部を経て、フリーに。専門は、教育、英語、医療など。米インディアナ大学大学院、および慶應義塾大学大学院にて言語学を学び、修士号取得。訳書に『ウォーキング・セラピー ストレス・不安・うつ・悪習慣を自分で断ち切る』『敏感すぎるあなたが生きやすくなるヒント』『スタンフォード式 人生を変える人間関係の授業』(すべてCCCメディアハウス)などがある。現在、昭和女子大学非常勤講師もつとめている。
装丁+本文デザイン Keishodo Graphics
校正 麦秋アートセンター