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特集  「共有される日本文化」 與那覇 潤/四方田犬彦/井上章一/大塚英志/徳丸吉彦/太田省一/岡本浩一 [論考]下斗米伸夫/アンドリー・ポルトノフ/宇野重規 [追悼]粕谷一希  [連載]「リズムの哲学ノート」山崎正和ほか

  • 書籍:定価1100円(本体1000円)
  • 電子書籍:定価1100円(本体1000円)
  • 2014.11発行
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内容

特集 共有される日本文化

「日本文化」は存在するのだろうか。
存在するのはそれぞれの作品であり一人一人のクリエーターであり、
「日本」と呼ばれる領域的空間で区切られる場で長期にわたって
展開してきた無数の「文化」について語ることに、どれほどのリアリティが
あるのかが問われるべきだろう。

もちろんそれは「日本文化」に限ったことではない。
イギリス文化、フランス文化、イタリア文化、中国文化についても
同様に問うことができよう。
困難を承知で我々はやはり「日本文化」を語ってみよう。
ただ「日本文化」も他のいかなる文化と同様、固定したものではなく、
流動と凝結を繰り返してきたこと、そして「日本」の内と外の間で、
そして様々な「日本」の間で、相互作用と相互浸透を繰り返してきたことを
心にとどめながら。

「日本文化」は「日本」の専有物ではない。
それは非「日本」によって消費されるだけではなく、再生産され発展させられ、
そして創造されてきたことに思いをいたそうではないか。
「日本」に住む我々自身が、気づいていない「日本文化」を再発見し、
新たな文化の試みに乗り出すために。

目次

特集 共有される日本文化

ふたつの「中国化論」――江藤淳と山本七平
・・・・・・與那覇 潤

「日本」料理への懐疑
・・・・・・四方田犬彦

マンガは光琳を超える
・・・・・・井上章一

日本のまんがは「日本的」ではない
・・・・・・大塚英志

共鳴する日本音楽
・・・・・・徳丸吉彦

世界とつながる紅白歌合戦
・・・・・・太田省一

大乗化する茶の湯
・・・・・・岡本浩一

 論考
二つのキリスト教世界――ウクライナ危機の文化論的起源   
・・・・・・下斗米伸夫

ウクライナ・アイデンティティ――その多様性と雑種性(ハイブリディティ)
・・・・・・アンドリー・ポルトノフ

鈍牛・哲人宰相と知識人たち――大平総理の政策研究会をめぐって
・・・・・・宇野重規

●写真で読む研究レポート 
一九〇〇年の楊貴妃――矢崎千代治《教鵡》と正岡子規、鏑木清方
・・・・・・今橋理子

 ●グラヴィア 地域は舞台
光と音のページェント 見よ群舞の力、一瞬の身体の輝きを!
――YOSAKOIソーラン祭り

・・・・・・御厨 貴

●世界の思潮

「世界の多様性」による「境界線」
・・・・・・王 柯
消費中毒と生産技術
・・・・・・神門善久

●時評

ノワイユ伯爵夫人――忘れえぬおもかげ
・・・・・・芳賀 徹きらめく朦朧体
・・・・・・高階秀爾
甲子園と第一次世界大戦
・・・・・・田所昌幸
「少女車掌」の「説明」する風景
・・・・・・渡辺 裕
謎のマイスター制度
・・・・・・藤森照信
集団の記憶はまだらボケ
・・・・・・奥本大三郎
新しくない憲法のはなし
・・・・・・苅部 直

連載
リズムの哲学ノート 第5章
・・・・・・山崎正和

●追悼 粕谷一希

「史・哲・文」の人――粕谷一希氏を偲ぶ
・・・・・・河野通和
粕谷さんと僕――変わらぬ先輩後輩関係
・・・・・・御厨 貴

●アステイオン編集委員会委員

委員長 田所昌幸
池内 恵
苅部 直
張  競
細谷雄一
鷲田清一
顧 問 山崎正和

●ブックデザイン/熊澤正人+尾形 忍(POWERHOUSE)
●翻訳協力/ジャネット・アシュビー
●校閲/竹内輝夫
●編集協力/林晟一、CCCメディアハウス書籍編集部