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ネットからリアルへ O2Oの衝撃 決済、マーケティング、消費行動……すべてが変わる!

ネットからリアルへ O2Oの衝撃

スマートフォンが導く新時代のマーケティング手法「O2O(Online to Offline)」が熱を帯びている。アマゾン、楽天、ヤフー、Tポイントが続々参戦。ネットとリアルが融合する新時代の盟主は誰だ!? 企業と消費を変える「買い物革命」の全容に迫る。

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 2013.07発行
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内容

 スマートフォンを追いかけていたら、いつのまにか「買い物革命」の真っ只中に引き込まれていた。そこはリアルとネットが融合する新興のO2O市場。三木谷浩史(楽天市場)、孫正義(ソフトバンク、ヤフー・ジャパン)、スティーブ・ジョブズ(アップル)、ラリー・ペイジ(グーグル)、ジェフ・ベゾス(アマゾン)、ジャック・ドーシー(スクエアの創始者)といったビッグネームが次々登場し、巨大化した市場のリーダーを目指して、一斉に駆け出していた。私はクレジットカード研究歴25年の実績で、それを追いかけ、取材しようとしているが、とても間に合わない。この奔流を止めることはできない。いよいよO2O戦国時代の幕が切って落とされたのだ。
 
              *     *     *

 スマートフォンが大人気である。電車の中では、多くの人が指先でタップして夢中になって操作している。その数は、これまでの携帯電話(いわゆるガラケー)を持つ人より多い印象だ。たしかに統計では、今後1~2年もすればスマホが契約者数でもガラケーを追い抜くと予想されている。それほど勢いがあるのだ。
 
 スマートフォンはいろいろな場面で役に立つが、とくに買い物では便利だ。機種を選べば、電子マネーはもちろん、ポイントカード、プリペイドカードなども搭載することができて、家電店やコンビニでかざすだけで、商品を買えたり、サービスを受けられたり、おまけにポイントも一緒に貯まるのだ。そして、ダウンロードした多彩なアプリケーションと連携させることで、無料通話ができたり、店の検索が素早く行なえるなど、これまでなかった数々のサービスの提供を受けられる。期待されるアプリとしては、クーポン、ポイント、位置確認(GPS)、明家計簿、シミュレーションなどがある。
 
 これによって、人々の消費行動も大きく様変わりしてきた。これまでは、決済は決済、ポイントはポイントと分けて考えていたものが、いまは決済+ポイントとひとつながりで考え、決済すると必ずお得が付いてくるものというのが常識になりつつある。クーポンも以前は家のパソコンでプリントして持って出かけたものだが、いまは目当ての店に近づいてからスマートフォンにダウンロードすればよくなったから気軽である。それどころか、店を決めないで繁華街に行き、そこでGPSを使って近くのお得な店を探し、発行しているクーポンを比較して気に入った店を選ぶというケースも出てきた。

 このようにスマートフォンの出現で、私たちが常識と考えていた消費行動がどんどん塗り替えられている。
 
 2011年の国内EC(eコマース=電子商取引)市場規模は、約8兆5000億円で前年比二桁近くの伸びをみせて好調である。楽天、アマゾン、ヤフー・ジャパンの大手ウェブ事業者は、その勢いを駆って、小売販売額約138兆円(2012年)というリアル市場への侵攻を始めた。これが話題のO2O(オー・トゥー・オー/online to offline= ネットの顧客をリアルに送客する)戦略である。
 
 それが可能になったのは、スマートフォンの登場があったからで、ネットとリアルを「シームレス」に結ぶことができるようになったために、これまで難しかった決済関連のサービスがいろいろと実現したのだ。
 
 スマートフォンの登場で、起こったことはたくさんある。以下にあげてみる。

① スマートフォンに対して決済前、決済後に集中的に情報を送り、顧客の囲い込みをする端末基点マーケティングの隆盛
② SNSとの連携でクチコミという全く新しい市場の取り込みに成功
③ ポイントによる顧客囲い込み戦争が熾烈になり、共通ポイント(*1)に勢いがでた
④「スクエア」「ペイパルヒア」「スマートペイ」などスマートフォンによるクレジット決済が数多く登場して、クレジットカード業界のインフラに影響を与えつつある
 
 そして、O2Oの傾向が強くなる結果、決済を受け持つクレジットカード会社と販促重視のウェブ事業者の間で主導権を巡っての綱引きが起こりつつある。一方でカード会社間の競争も熾烈になってきた。

 また、個人も、新しい仕組みのなかで、これまでのカード選びに代わるスマートフォン中心のクレジット&電子マネー選びを工夫しなければならなくなるなど、状況は目まぐるしく動きつつある。
 
 実際に、本書の原稿の締切直前にスマートフォンによるクレジットカード決済の「スクエア」の創業者であり、ツイッターの創始者でもあるジャック・ドーシー氏が来日し、三井住友カードと提携して日本上陸を果たすというサプライズもあった。毎日のように新しいことが起こり、業界はサプライズの連続である。
 
 本書では、スマートフォンからO2Oまでの流れを整理しつつ、その問題点と今後の展望について詳しく解説する。マーケティングの変化に戸惑うビジネスマンや新たな時代のチャンスを模索する経営者に特におすすめする。

目次

PART 1 O2Oの覇者を目指して、ウェブ事業者の激突が始まった

CHAPTER 1 「端末基点マーケティング」のすすめ
 カード先進国「韓国」で垣間見たスマホ決済サービスの未来

 スマホで変わる消費者の生活スタイル
 命名「端末基点マーケティング」!
 ポイントは「決済前/決済後」という時間の流れ
 「決済前」のユーザーの欲望を満たすサービス
 「決済後」のフォローでリピーターを養成

CHAPTER 2 「楽天」VS「アマゾン」、いよいよ始まった頂上決戦!

 さまざまな機会にポイントが貯まる楽天スーパーポイントは見逃せない
 毎日大量のメルマガでキャンペーンを告知
 楽天カードに加入するとさらにお得になる!
 どの年収クラスでも保有率1位は楽天カード
 ライバルのアマゾンに水をあけられた楽天
 業界ナンバーワンを目指してO2O戦略で進撃

CHAPTER 3 躍進する共通ポイント「T ポイント」
 チェーン店のレジ回りが最近にぎやかになった

 ポイントを上手に貯めるには目標を立てること
 共通ポイントに参入したC C C の勇気と思惑
 レンタル事業を巡り、微妙になった楽天との関係
 家賃の支払いでもT ポイントが貯まる
 ヤフー・ポイントがすべてT ポイントに変わる日

INTERVIEW 1 日本人の半数が利用者。史上最強の共通ポイント誕生!

CHAPTER 4 O2Oという大きなうねり―― ヤフー・ジャパンの挑戦
 リアル市場への進出を加速するウェブ事業者たち

 O2O時代はサイトの「総合力」が試される
 ネットでのカード利用は「甘い」が、「リアル」は厳しい

 日本一のJCBが協力を約束!
 クレディセゾンと提携してO2Oの実証実験
 最良のパートナーとしてのCCCの役割
 今後も機会があれば、他の提携もありうる

INTERVIEW 2 O2Oの核になるのはヤフー・ウォレットだ!

PART 2 O2Oで変わる、買い物の現場と決済業界

CHAPTER 5 O2Oで変わる業種、変わらない業種
 「ネットの女王」が予言する決済分野の変化

 「再創造」を主導する主な企業・サービス

CHAPTER 6 決済視点で読み解くO2O時代―― 決済は販促マターになる

 決済は、金融マターから販促マターになる
 iPhone5の登場で販促優位の流れが明確に!

 アップルがNFC搭載を拒否した3つの理由
 「私たちは決済専業者を目指そうとはしていない」
 ラッセル会長の予言「盟主の交代が近づいている」
 クレジットカード業界の盟主の歴史
 O2O時代の盟主に必要な7つの条件

CHAPTER 7 O2O時代を牽引する新盟主たちの実力
 星取り表で各グループを体力測定する

 O2Oへの対応が注目されるアマゾングループ
 総合力で抜きん出るヤフー・ジャパングループ
 独自の手法で挑む楽天グループ
 女性向けサイトで力を発揮するリクルートグループ
 ポータルサイト事業に本格参入するドコモ
 規模は小さくてもユニークな発想で突き進む

CHAPTER 8 スマートフォンを読取機で使う仰天発想――次世代のジョブズが描く未来
 スマートフォンをクレジットカードの読取機に
 ツイッターを開発した起業家の経営哲学

 スモールビジネスに福音。誰でもカード決済事業者になれる
 スクエアの日本上陸
 スクエアに対抗するペイパル
 300万の店舗と個人がターゲット
 SBグループとの連携でO2Oに参入
 楽天スマートペイとコイニー
 百花繚乱のスマートフォン決済
 反社会勢力の排除

CHAPTER 9 O2O時代のクレジットカード会社のあり方
 カード会社とウェブ事業者の攻防

 庇を貸して母屋を取られるか、庇を借りて母屋を取るか

CHAPTER 10 O2O時代の賢いカード選び―― カード+電子マネー+アプリ
 O2O時代はウェブサイトに強いカードから選んでいく

略歴

[著者]
岩田昭男(いわた・あきお)
1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院修士課程修了。月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活躍するジャーナリスト。
IT・ソフトウエアに関する評論や書籍を著すほか、クレジットカードについては25年来取材を続けているテーマであり、セミナーの講師も数多く務める。
「岩田昭男の上級カード道場」(http://iwataworks.jp/)で情報発信を続けるほか、All About(オールアバウト)の「クレジットカード」のガイドを務める。
『IT 時代の「超」発想力』(共同通信社)、『ビジュアルシンキング仕事術』(扶桑社)、『電子マネー戦争 Suica一人勝ちの秘密』(中経出版)、『電子マネー最終戦争』(洋泉社)、『図解 クレジット&ローン業界ハンドブック』『「信用力」格差社会』(ともに東洋経済新報社)、『「信用偏差値」あなたを格付けする』( 文春新書)など著書多数。

●ブックデザイン/石神正人(DAY)

<![CDATA[
今、「買い物革命」が起ころうとしている。
スマートフォンの普及によって、消費者ひとりひとりが「動く端末」となった今、
決済のあり方も、マーケティング手法も、すべてが変わり始めている。

O2Oオー・トゥー・オーOnline to Offline)」は、
ネットの顧客をリアルに送客する新時代のマーケティング。

本書では、アマゾン、楽天、ヤフー・ジャパンなどの大手ウェブ事業者が
続々と参戦しているO2O最前線をリポート。
リアル側では、ヤフー・ポイントとの統合で今や日本人の半数を利用者にもつ、
史上最強の共通ポイント「Tポイント」の猛攻の裏側に迫る。
(Tポイント・ジャパンおよびヤフー・ジャパンの責任者インタビューも収録)

さらに、O2Oの大きな余波を受ける決済業界(クレジットカード会社等)については、
業界研究の第一人者である著者が、その成り立ちから今後の展望までを徹底分析。
果たして、クレジットカードは生き残れるのだろうか?

また、お得を逃さないための、O2O時代の賢いカード選びのコツも必見。

ネットとリアルが融合する新時代を牽引する「盟主」となるのは誰だ!? 
企業と消費を変える「買い物革命」の全容に迫る。