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ヤクザときどきピアノ

ヤクザときどきピアノ
鈴木智彦 著
  • 書籍:¥1500(税別)
  • 電子書籍:¥1200(税別)
  • 四六判・並製/172ページ
  • ISBN978-4-484-20207-5
  • 2020.3発行
「『ダンシング・クイーン』が弾きたいんです」――『サカナとヤクザ』『ヤクザと原発』などの潜入ルポで知られる52歳のベストセラー・ライターが、今度はピアノ教室に⁈ 校了明けに観た1本の映画が人生を変えた。憧れていたピアノをいまこそ弾きたい。譜面も読めない「俺」が、舞台でABBAを演奏するまでの1年と少しの軌跡。


書籍

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電子書籍

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「『ダンシング・クイーン』が弾きたいんです」
――校了明けに観た一本の映画が人生を変えた。

 
『サカナとヤクザ』『ヤクザと原発』など、潜入ルポで知られるライターがピアノ教室に! 
譜面の読みかたも知らない52歳の挑戦がはじまる。

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レッスンは冒険であり、レジスタンスだ。
ピアノは人生に抗うための武器になる。
俺は反逆する。
残酷で理不尽な世の中を、楽しんで死ぬ。
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5年もの時間をかけて書き上げた『サカナとヤクザ』(小学館)を校了した「俺」には、やりたいことがあった。ピアノである。子どもの頃からピアノには淡い憧れがあったが、大人になり、ヤクザ取材を中心に行うライターとして多忙な日々を送るなかで、そんな機会が実現することはついぞなかった。しかし、人生はわからない。校了明けに観た映画『マンマ・ミア! ヒア・ウィー・ゴー』が運命を変えた。ABBAのスマッシュ・ヒットである『ダンシング・クイーン』が流れた時、涙腺が故障したのかと思うほど涙が溢れて止まらなくなった。特徴あるピアノの旋律に直接感情の根元を揺さぶられた。身体が音楽に包まれていた。
 
ピアノでこの曲を弾きたい。
 
校了明けのライターにありがちなライターズ・ハイがもたらす万能感に背中を押され、近所のピアノ教室に電話をかけまくった。が、簡単にはいかない。譜面も読めないとわかると、電話口の声は困った様子になる。やはり、50代の未経験者が、いきなりABBAを弾きたいなんて無謀なのか。そんななかで、出会ったのがレイコ先生だった。彼女はきっぱりと言った。
 
「練習すれば、弾けない曲などありません」

1回30分、月3回で月謝は6千円。ときにヤクザの抗争に阻まれても必死で練習した。憧れの『ダンシング・クイーン』を自分で弾くために。先生の期待に応えるために。
 
いくつになってもYOU CAN DANCE.
ABBAの名曲に乗せて贈る、ハードボイルド中高年応援ストーリー。

本文より

撃たれながら周囲の空気が震えて見えたのと同様、レイコ先生が鍵盤を叩くと、ピアノはもちろん、その周りの空気が揺れたように感じたからかもしれない。先生の手は、激流を遡る銀鮭のように鍵盤の上を自由自在に跳ね回っていた。弱くなったと思ったら祭りの和太鼓のように力強く、強くなったと思えば、羽根で撫なでるようにタッチする。演奏中、俺の神経はピアノと直結していた。まるで魂がピアノの中に組み込まれたように、身体にするすると音が侵入してきた。

著者

鈴木智彦(すずき・ともひこ)

1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。現在は週刊誌や実話誌を中心に暴力団関連記事を寄稿する。
 
趣味は料理と自転車(愛車はランドナー)。2018年10月、未経験でピアノを習いはじめる。2019年12月、ピアノ教室主催の発表会に出演し、ABBA『ダンシングクイーン』を演奏する。
 
著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)、『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文春新書)、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。溝口敦氏との共著に『教養としてのヤクザ』(小学館新書)がある。

目次

まえがき
【Prelude】シネマでABBAが流れたら: ライターズ・ハイの涙
【Op.1】グランド・ピアノと九ミリ弾: レイコ先生との出会い
【Op.2】ロール・オーバー・ベートーヴェン: 初めて曲を弾く
【Op.3】憎しみと? 愛のテーマ: マイ・ピアノを買う
【Op.4】仁義なきピアノ史: ファミリーの系譜
【Op.5】よい集中!!: 予習、復習、ひたすら練習
【Op.6】強く弾きたいと思うこと: ABBAときどき抗争
【Postlude】トイ、トイ、トイ: 舞台ソデの魔法
あとがき