CCC MEDIA HOUSE
中国権力者たちの身上調書
ネット書店で購入

中国権力者たちの身上調書 秘密文書が暴いた処世術・人脈・将来性

中国権力者たちの身上調書

ひそかに海外に持ち出された調書報告書が明かす、最高指導者たちの暗闘、そして経済、政治、外交など内外政策にたいする本音。

  • 書籍:定価1980円(本体1,800円)
  • 2004.08発行
ネット書店で購入

内容

本書のもとになった漏洩機密文書のすばらしい点は、生々しい現代中国政局の動向を直後にいち早く内部から描いたところにある。同書をつうじて新世代の指導者らがどのように登場してきたかがわかるだけではなく、かれらの統治手法やこれから先の十年、中国をどの方向に導こうとしているのかも知ることができる。
本文より

目次

第一章
秘密文書を持ちだしたのはだれだ
密室のドラマの舞台・中南海/「第四世代」とはなにか/『第四世代』の情報源は極秘の「身上調書」/資料を本物だと信じる理由

第二章
静かな権力闘争の舞台裏
胡錦濤選出をめぐる駆け引き/腹心四人の昇進の陰で/第五世代の指導者人事をめぐるせめぎ合い/「李瑞環の追い落とし」工作/なぜ七人から九人に増員されたのか/軍事委ポストへ居座った江沢民/ひびが入った団結

第三章
最高権力者三人の「身上調書」
胡錦濤――江沢民の太鼓持ちに徹して/曾慶紅――胡錦濤に比肩する実力者ナンバーワン/温家宝――多くの大政争を生き延びた切れ者

第四章
実務派実力者六人の毀誉褒貶
呉邦国――全人代のトップ、党内序列二位というものの/羅幹――法輪功弾圧を強行した国内情報機関の親玉/李長春――三大最重要省で辣腕をふるった経済改革の旗手/賈慶林――目立った業績ゼロの江沢民の腹心/黄菊――上海だけで役人生活を送った江沢民の子飼い/呉官正――胡錦濤の援軍となりうる筋金入りの改革論者

第五章
わき役たち――若手・女性幹部・党長老
政治局――十五人の委員とひとりの候補委員/「つぎ」をねらう第五世代――三人のライバル/女性指導者――江沢民のお気に入りもあえなく落選/長老たち――「名誉ある引退」の特権を享受して/李瑞環――リベラル派の旗手はいまもなお意気軒昂

第六章
江沢民「権謀術数」政治の功罪
「上級幹部の路線を歩む」/権力基盤の弱さゆえに/乾坤一擲の大技「楊ファミリーの追放/曾慶紅が放ったつぎなる一手/仕組まれた「喬石の辞任」「目立ちがり屋」の全盛時代/江沢民をめぐる「四人の女性」/非難ごうごうの〈三つの重視〉キャンペーン/破局を迎えた「江沢民と朱鎔基の蜜月」/江沢民の遺産

第七章
国内改革と民主化にどう立ち向かうか
温家宝の経済戦略――国内需要の喚起と所得格差の縮小/国有企業の改革――「大はしっかりつかみ、小は放す」/環境保護――巨大プロジェクトに対する警鐘/保健と教育――危険な火ダネ「エイズ禍」/羅幹の推進する「厳打」キャンペーン/政治改革――胡錦濤が描くビジョン/結論――中国版ゴルバチョフの姿は見えず

第八章
対米・対日・対台湾外交の本音
胡錦濤が明かす外交戦略/「中国の安定と繁栄はアメリカの利益」のまやかし/曾慶紅いわく「日本はアメリカの将棋のコマ」/台湾・チベット問題は「中米の代理戦争だ」/「軍にたいする党の絶対的指導権を堅持せよ」/結論――江沢民外交の踏襲

第九章
第四世代が描く「中共の自画像」
権力の継承――制度化されたが「秘密主義」は変わらず/三拍子そろった有能なエリート/「中国崩壊論」に組みせず/「世界のなかの中国」かくあるべし

訳者あとがき

著者

アンドリュー・ネイサン(Andrew J. Nathan)
コロンビア大学政治学教授。中国政治および外交政策の専門家。1971年ハーバード大学で博士号取得。
著書に“China’s Transition”“China’s Crisis: Dilemmas of Reform and Prospects for Democracy”“Chinese Democracy”など、共編者として“The Tiananmen Papers”(『天安門文書』文藝春秋)

ブルース・ギリ(Bruce Gilley)
プリンストン大学政治学博士課程の学生。
著書に、“Model Rebels: The Rise and Fall of China’s Richest Village”“Tiger on the Brink: Jiang Zemin and China’s New Elite”

訳者

山田耕介(やまだ・こうすけ)
翻訳家。1935年、大分県生まれ。元東京新聞・中日新聞記者。東京外国語大学中国語科卒。63年、東京都立大学大学院を中退し、東京新聞に入社。香港、マニラ特派員などを歴任。訳書にスターリング・シーグレーブ著『ドラゴン・レディ』(サイマル出版会、共訳)、ジョン・ロドリック著『中国史の目撃者』、ハリー・ウー著『労改』(共に阪急コミュニケーションズ)、デニス・チョン著『チャイナタウンの女』(文春文庫)、張良編『天安門文書』(文藝春秋、共訳)など訳書多数。

●装幀/加藤光太郎/大塚千佳子[加藤デザイン事務所]