ナマコガイドブック Sea Cucumbers in Japanese Waters
のんびり生きる究極の省エネ生物には現代人が学ぶべき叡智が隠されている。「歌う生物学者」が贈る世界初&世界唯一のナマコ学入門書!
- 書籍:定価2420円(本体2,200円)
- 2003.08発行
内容
●本書の内容
●日本近海で目にするナマコ約50種を、
美しい海中写真とともに解説した図鑑を収録。
●生物としての全体像のわかりやすい説明やQ&A、
読み応えのある基礎講義を掲載。
本書を手にとられる方は、可愛くもなく、好きになりたくもない、われわれとはまったく違った世界や価値観をもつナマコを、それなりに理解し、共に生きていこうとされる方々であろう。皆様がおられれば地球の未来は明るい。ナマコとつき合う知恵が、さまざまな顔つき、さまざまな価値観、さまざまな宗教・信条をもつ人たちと、共に生きていく知恵へとつながっていくのだと私は信じているからである。
著者を代表して 本川達雄
「はじめに」より
目次
第1部
ナマコについてのQ&A (本川達雄)
ナマコは何の仲間ですか?/ナマコは何種類いるのですか?/ナマコはどこに棲んでいますか?/ ナマコは深い海にもいるのですか?/ナマコは川や湖にも棲んでいるのですか?/ 多い場所では、1種でいったいどのくらいの数のナマコが棲んでいるのでしょう?/ナマコは泳ぎますか?/ なぜナマコと言うのですか?/ナマコは、どんなグループに分けられますか?/ 魚屋で売っているのは何ナマコですか?/中華料理で出てくるのは何ナマコですか?/ 沖縄にたくさんいるナマコは食べられますか?/ナマコは何を食べているのですか?/ ナマコは触っても安全ですか?/ナマコが出す、白いねばりつく糸は何ですか?/ナマコを食べる動物はいますか?/ ナマコには雌と雄がいるのですか? 見分けはつきますか?/雌はどんなふうに卵を産むのですか?/ ナマコの子供はどんな形をしていますか? やっぱりナマコ形なのでしょうか?/ ナマコは何年で大人になるのですか?/ナマコは何年くらい生きるのですか?/ナマコの飼い方を教えてください。/ 世界一大きいナマコは何ナマコですか?/世界一小さいナマコは何ナマコですか?/ ナマコはどれくらい昔からいるのですか?/ナマコに目はありますか?/ナマコに耳はありますか?/ ナマコにも胃や腸はありますか?/ナマコに心臓はありますか?/ナマコに肺はあるのですか?/ ナマコの脳はどこにあるのですか?/ナマコは眠るのですか?/ナマコの中に魚が棲んでいるって本当ですか?/ ナマコのおいしい食べ方を教えてください。
第2部
ナマコの特徴 (本川達雄)
☆棘皮動物は5が基本
☆水管系(管足)
☆骨格系
☆キャッチ結合組織
☆棘皮動物は省エネ型の生きもの
第3部
ナマコ学基礎講義 (本川達雄)
☆ナマコの外見
☆ナマコの内部 ★後端部★前端部
☆体内に張り巡らされた管のシステム ★水管系★血洞系
☆神経系
☆感覚器官
☆骨格系
☆結合組織
☆呼吸
☆循環系・輸送系
☆排泄
☆浸透圧調節
☆摂食
☆移動運動 ★這う★掘る★泳ぐ
☆発生
☆ナマコの養殖
☆サポニン
第4部
最後の大疑問 (本川達雄)
☆なぜナマコは棘皮動物なのに、殻がなくて円柱形なのか
☆なぜ棘皮動物は5放射相称なのか
♪歌/棘皮のTake Five
♪歌/ナマコの目
第5部
ナマコの写真図鑑 (今岡 享)
☆ナマコの特徴
☆ナマコの分類
☆主な目と科の検索
☆樹手目
☆楯手目
☆板足目
☆隠足目
☆無足目
☆深海のナマコたち
参考文献
和名・学名索引
事項索引
著者
本川達雄(もとかわ・たつお)
1948年、仙台に生まれる。東京大学理学部生物学科(動物学)卒。琉球大学助教授を経て1991年より東京工業大学教授。棘皮動物の硬さの変わる結合組織の研究や、群体性のホヤを使ったサイズの生物学が研究テーマ。著書に『サンゴ礁の生物たち―共生と適応の生物学』中公新書(1985)、『ゾウの時間ネズミの時間―サイズの生物学』中公新書(1992)、『時間―生物の視点とヒトの生き方』NHKライブラリー(1996)、『生きものは円柱形』NHKライブラリー(1998)、『ヒトデ学―棘皮動物のミラクルワールド』東海大学出版会(2001)、『歌う生物学 必修編』阪急コミュニケーションズ(2002)などがある。
今岡 亨(いまおか・とおる)
1952年、岡山に生まれる。鹿児島大学水産学部漁業学科卒。卒業後2年間、京都大学瀬戸臨海実験所研修員。西村三郎編著『原色検索日本海岸動物図鑑II』保育社(1995)で、ナマコ類を執筆。現在、国立科学博物館による相模湾調査プロジェクトに参加、棘皮動物の一員としてナマコ類を担当。
写真
楚山いさむ(そやま・いさむ)
1945年、新潟県に生まれる。水中生物写真家。1974~82年、国立科学博物館の資料委員を勤め、1979年にはミクロネシア(パラオ諸島)周辺の生物資料調査に同行する。現在は無脊椎動物を専門に撮影、1万種を目指している。写真を担当した著書に『相模湾産海胆類』丸善(1986)、『山渓フィールドブック サンゴ礁の生きもの』山と渓谷社(1994)、『日本近海産貝類図鑑』東海大学出版会(2000)、『ヒトデガイドブック』阪急コミュニケーションズ(2002)など多数。