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アイデアの選び方
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アイデアの選び方 アイデアは、つくるより選ぶのが難しい。

アイデアの選び方

いつも「最後は多数決」になっていませんか? それはけっして正解を導きません。アイデアを“選び・決める”にも独自の方法があるのです。本書でぜひ、「プロの技術」を学んでください。

  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 2012.10発行
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内容

「アイデアをつくる・出す」ための本はたくさんあるが、じつはアイデアは「選ぶ・決める」ことのほうがずっと難しい。いくらアイデアがたくさんあっても、実行できる企画は1つだけの場合が多いからだ。せっかくいいアイデアを思いついても、「正しく選ぶ」ことができなければ、結局は凡庸な企画を実行することになる。
企画の素であるアイデア段階での単純な多数決はけっして正解を導かない。「アイデアを選んで決める」ためには独自の技術が必要であり、本書ではまさにそれを仕事とする広告会社のクリエイティブ・ディレクターが駆使している様々な技術・方法を、一般ビジネスマンが幅広く活用できるように噛み砕いて解説する。

はじめに

アイデアを正しく選んで、良い企画を実行しよう!

アイデアは、“つくる・出す”よりも、実は“選ぶ・決める”ことの方がずっと難しい。そのことに、あなたはお気づきでしょうか?  せっかくいいアイデアを思いついても、正しく選ぶことができなければ、結局は凡庸な企画を実行することになる。企画の素になるアイデア、まだ原石であるアイデアを正しく選ぶには、それなりの技術が必要なのです。
人は、アイデアを“つくる・出す”ことには一生懸命でも、アイデアを“選んで・決める”ことには無自覚です。迷いに迷って、あるいは単純に多数決で、ダメなアイデアを選んでしまうことのなんと多いことか!
企画の素であるアイデアの段階での単純な多数決は、正解を導きません。
アイデアを“選んで・決める”ための独自の技術。いい企画を実行するためには、その技術が不可欠です。
アイデアを選ぶということは、他の良さそうなアイデアを捨てる、ということでもあります。これはなかなか簡単にできることではありません。
さらに、決定権は、必ずしもひとりに委ねられているわけではありません。自分ひとりだって迷うのに、5人で話し合っていてそれぞれ推す案が異なれば、決めるのは容易なことではない。さんざん揉めたあげく、ではとりあえず多数決で!ってなことになりがちです。
この本は、「アイデアのつくり方・出し方」ではなく、「アイデアの選び方・決め方」に焦点を絞った内容になっています。たぶん、これはあなたが今まで一度も、誰にも教えてもらえなかったこと。だから、ちょっとしたヒントで、今後目覚ましい進歩が見込めます。
私は、大手広告会社のクリエイティブ・ディレクターを長年務めてきました。本文で詳しくお伝えしますが、クリエイティブ・ディレクターの主要な仕事のひとつは、“選んで決める”ことです。部下が考えた何百案というコピーやアイデアから、目的に沿い、効果が見込めそうなアイデアを、“選び・決める”のです。部下たちの納得をなるべく得ながら。
この本では、そのクリエイティブ・ディレクターの方法論を、広範囲に応用できるように、わかりやすく噛み砕いてご紹介します。
読み進めていけば、「ほほう、こんなやり方があったか!」と、感じてもらえると思います。やみくもに多数決で決めていた状態から、一歩も二歩も、前進できます。後々、あのアイデアに決めて良かった! と思える企画が、選べるようになります。また、時間の短縮も見込める。3日間揉めていたものが、3時間で決定できるようになる。
この本でお伝えする「選ぶ技術・決める技術」を、ぜひぜひ、みなさんの毎日のなかで、活用してみてください。

目次

はじめに アイデアを正しく選んで、良い企画を実行しよう!

第1章 なぜ、アイデアを“選ぶ・決める”技術が必要なのか?
実行できる企画はひとつだけ。だから、“選ぶ・決める”が重要となる。
みんな、アイデアを“つくる・出す”ことばかりに捉われすぎている。
世の中には、「選ばれなかった良いアイデア」の屍が、累々と。
“選ぶ・決める”技術を知らないと、ダメなアイデアを選びがち。
“選ぶ・決める”ことは、結果に直結する。判断をして責任を持つこと。
つまり、企画の良し悪しは、“選ぶ・決める”で9割決まる。
広告会社クリエイティブ・ディレクター(CD)の仕事は、選んで・決めること。
100案考えるのは、ごく普通。だけど新人は、どれが良いか選べない。
みんな自分のアイデアを通したい。CD不在だと、案は決まらない。
広告会社で私自身がやっていたこと。
アイデア決定プロセスの3類型。すり合わせ型、カリスマ型、紛糾型。

第2章 アイデアを“選ぶ・決める”ための6つのステップ。
ステップ1 まずは、A4用紙1枚に1案を書く、ことから。
ステップ2 そして第一次予選! 机にA4用紙を並べて、粗選りを始める。
ステップ3 壁に貼って、方向性ごとに分ける。方向性の名前も貼る。
ステップ4 入れ替える。方向性の分類そのものも、変える。
ステップ5 方向性ごとの一等賞を決めていく。全部で3案に絞る。
ステップ6 最後の最後、1案に決める時は、感覚も総動員して。

第3章 アイデアを“選ぶ・決める”ための8つのテクニック。
テクニック(1) このアイデアの根本は何かを、言葉にしてみる。
テクニック(2) このアイデアの良いところは何かを、言葉にしてみる。
テクニック(3) このアイデアのダメなところは何かを、言葉にしてみる。
テクニック(4) 外資のPros & Cons という考え方。ポジとネガ。
テクニック(5) 戦略コンサルのMECE(ミッシー)も、ゆる~く参考に。
テクニック(6) まず、理屈で分けて、理屈で絞る。数案に。
テクニック(7) そして、最後は、感覚で。感覚の中には、言語化しきれない理由が含まれている。
テクニック(8) アイデア開発の全体像は、理屈で下地→感覚でジャンプ→理屈で選択→感覚で決定!

第4章 アイデアを“選んで・決める”人に大切な考え方。“つくる・出す”人も、参考に。
「コンセプト」と「イメージ」、この2つがあれば、生きていける。
コンセプトは、理屈で考える、大方針。
イメージも大事。感覚的な、ゴールイメージを持つ。
「“選ぶ・決める”プロセス」を逆からやれば、アイデア開発ができる。
6~7割までは、理屈で整理する。いわば、ジャンプボード。
その後に、感覚を解放して発想する。なるべく数を出す。
理屈も活用して、手薄なゾーンがあれば、そこを掘ってみる。
自分が10案考えたら、それを整理したうえで、ミーティングへ。
自分のアイデアを、理屈で説明できるようにしよう。
勇気を持って「他のアイデア」を殺す。決定とは、他を捨てること。

第5章 ネーミング、デザイン、イベント企画。
“選んで・決める”技術を具体的に活かしていこう。

サークルの名前から、チラシのデザインまで。
プロセスの具体例として、ボランティア関連サービスのネーミング決定事例を、少し詳しく紹介しよう。
2011年11月28日(月)19時30分、100案超のネーミング案が集まった。
そして開始2時間後。たったひとつのネーミング案が、決まった!
デザインを決めていく例を検討してみよう。
チラシやホームページのデザインやカラーリングを決めていくには?
イベント企画を決めていく例で考えてみよう。

第6章 人生の、毎日の、様々なシーンで。こんなことにも使える“選んで・決める”技術。
社員旅行や飲み会の幹事役を仰せつかった時にも。
旅行やバケーションの計画にも。
学生がどの業界を選べばいいかを決めていく時にも。
自分自身のキャリアの行く先についても。
住むところやマンションの選択についても。
子供の教育に関する決断についても。
人生のあらゆる場面で、「選択と決定」は必要となる。

おわりに あなたの毎日に、素敵な選択と決定を!

略歴

[著者]
佐藤達郎(さとう・たつろう)
一橋大学社会学部卒業後、アサツー ディ・ケイ、博報堂DYメディアパートナーズでエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務める。カンヌ国際広告祭、アジア・パシフィック広告祭(アドフェスト)、クリオ、東京インタラクティブアドアワード(TIAA)、ACC賞など受賞歴多数。2004年にはカンヌ国際広告祭フィルム部門の日本代表審査員を務めた。2011年4月より多摩美術大学教授(マーケティング・コミュニケーション論/メディア論)、コミュニケーション・ラボ代表。日本広告学会(常任理事・クリエーティブ委員会委員長)、消費者行動研究学会、日本社会学会所属。著書に『教えて!カンヌ国際広告祭――広告というカタチを辞めた広告たち 』(アスキー新書)『自分を広告する技術』(講談社+α新書)がある。

●装丁・本文デザイン/轡田昭彦、坪井朋子