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呑むんだったら 優しい肴 10分で作れる簡単&ヘルシーおつまみ

落合慎一 その他

木原いづみ 著

呑むんだったら 優しい肴

「日本酒は太る」は誤解です。日本酒にはアミノ酸のうまみがあり、肴は淡味なものが似合い。つまり、脂質、糖質を除いたところに、体に優しい、日本酒の肴があるといえます。そこで、飲む人にこその肴、を紹介します。

  • 書籍:定価1870円(本体1,700円)
  • 電子書籍:定価1496円(本体1,360円)
  • 2011.07発行
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内容

《飲むほどに、健康に――体に“優しい”おつまみレシピ90》

「日本酒は太る」は誤解です。

ビール、酎ハイなどの“うまみに乏しい酒”こそ、
こってりとした高脂質、高カロリーの肴をついつい食べすぎて、太ってしまいます。
日本酒にはアミノ酸のうまみがあり、肴は淡味なものが似合いです。
肥満や生活習慣病のもとともなりかねない脂質、糖質を除いたところに、
体に優しい、日本酒の肴があるといえます。

そこで、飲む人にこその肴、の紹介です。

はじめに

 日本酒の肴の紹介です。仕事帰りのどこででも手に入る材料で、簡単に作れるものばかりです。
 「日本酒は太る」には誤解があります。人が太る主な理由は、炭水化物、糖質、脂質のとりすぎと運動不足で、体に余分な脂肪が蓄えられるからです。場合によっては、ビール、酎ハイなどのうまみに乏しい酒ゆえに、こってりとした高脂質、高カロリーの肴を食べすぎるほうが、太ってしまいます。
 日本酒にはアミノ酸のうまみがあり、肴は淡味なものが似合いです。肥満や生活習慣病のもとともなりかねない動物性脂肪、植物油の揚げもの、糖質を除いたところに、体に優しい、日本酒の肴があるといえます。
 ただ、どのアルコールでも、体内である種の栄養素を破壊してしまいます。酒呑みには、より摂取を心がけなければいけないビタミンのA、B群、C、E、ミネラルの亜鉛、セレニウム、肝臓への栄養補給に欠かせないたんぱく質などが、とても大切になります。
 そこで、呑む人にこその肴、です。

 本書は、東京新聞日曜版に平成21年1月より22年9月まで連載された「優しい肴」に、加筆・修正を加えて再編集したものです。健康を考えるなら調理方法以前に、何を食べるかが大事と考え、素材別にまとめました。さらに、調理時のヒントとなるよう、本文で紹介した以外のおすすめ肴も各項末尾に挙げておきました。
 全体の構成を四季に分けた理由は、ものによっては季節で栄養価、うまみに大差の出るものがあるからです。冬が旬のほうれん草、夏が旬の枝豆などに代表されます。四季のある日本の肴だからこそ、季節を楽しみながら、栄養の充実期も逃がさないでください。  同時に大事なのは、鮮度です。特に野菜は土から離れると、刻々と栄養の減少と味の変化が始まります。体に優しい素材だといっても、栄養が抜けていては何にもなりません。買い物時の鮮度へのこだわりは、旬以上に大切です。
 日本酒の肴だから日本古来のもの、とは限りません。トマト、ブロッコリーなどは、それほど昔から使われていたものではありませんが、今日の科学が、これらの野菜がもつ驚くほどの効能を再発見しました。従来いわれてきた栄養素以外の、老化を防ぎ、抗酸化作用として働くファイトケミカルです(植物のもつ微量化学物質である、リコピン、カロテンなど)。こうした野菜も積極的に使います。

 最後に、私の、肴を作るにあたってのポイントです。
 日本酒は少しの甘みをもっています。ですから、その口直しをも兼ねた肴に、砂糖、みりんはほとんど使いません。また料理酒も、呑む酒の味を口の中で濁すので使いません。せいぜい魚のにおい消し程度です。
 素材の味に、だしと少々の塩味が基本です。だしは、店では昆布やかつお節からとりますが、短時間の調理では、昆布だしをすすめています。かつお節は、その場で削って直接ふりかけるのが、家庭むきかと思います。
 優しさにこだわる調理法をもうひとつ。ここでは揚げもの、炒めものはあまりすすめていません。外食、コンビニ食、スナック食で多くの植物油が使用されている現実から、摂取過剰による健康への害を考えて、家庭での使用を減らしたいからです。
 私は、同じ植物油でも外食ではとりにくい、α‐リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)が多く含まれている、しそ、えごま、亜麻仁などの油を、加熱せずに少量あえる程度に使っています。この油は酸化、引火しやすいので、その意味でも、生でそのまま使うのが基本です。
 肴のレシピにとどまらず、体に優しい素材の覚え書、買い物や居酒屋でのメニュー選びのヒント帖、としても本書をご活用いただければ幸いです。

「日本酒 豆柿」店主 落合慎一

目次

はじめに

わかめ
 まぐろとわかめのぬた
 わかめとしらすの酢のもの
玉ねぎ
 新玉ねぎとさば缶サラダ
 刺身と玉ねぎポン酢
キャベツ
 キャベツの千切りサラダ
 豚肉焼きキャベツはさみ
アスパラガス
 焼きアスパラガス
 アスパラガスの豚肉巻き
クレソン
 クレソンとひもののサラダ
山菜
 山菜の山かけ

 梅の酢漬け
もずく
 もずくと半熟玉子
あさり
 あさりと菜の花のぬた
 あさりとねぎ煮

枝豆
 枝豆のゆで方
 枝豆の魚醤味
モロヘイヤ
 生揚げのモロヘイヤがけ
なす
 焼きなすのモロヘイヤがけ
オクラ
 焼きオクラの梅肉あえ
にんにく
 新にんにくのホイル焼き
しそ
 簡単冷汁
ししとう
 ししとうのアンチョビー炒め
アボカド
 まぐろのアボカドあえ
ゴーヤー
 焼きゴーヤー
 ゴーヤーの油揚げ包み焼き
トマト
 トマトの酢のもの
 トマトのサラダ
うなぎ
 うなぎときゅうりの酢のもの
するめいか
 いかのおろし方
 いかの刺身
あじ
 あじのたたき
 あじのたくあんあえ

きのこ
 きのこの簡易保存
 しいたけと油揚げのからしあえ
にんじん
 にんじんと春菊のそば茶サラダ
 さっぱりきんぴら
 油揚げと水菜の小鍋
キウイフルーツ
 帆立貝のキウイフルーツあえ
ごぼう
 豚肉とごぼうの柳川風
長芋
 簡単山かけ
さんま
 さんまの塩焼き
 さんまのわた焼き

 鮭となめこのみそ汁
 鮭のみそ炒め
かつお
 かつおのぬた
さば
 さばのみそ煮

れんこん
 焼きれんこん
長ねぎ
 ねぎとぶりの小鍋
 ねぎみそ
大根
 千切りのコツ
 みぞれ鍋
小松菜
 小松菜の簡単おひたし
 小松菜と厚揚げの早煮
ほうれん草
 ほうれん草のサラダ
 豆腐とほうれん草炒め
にら
 にらのおひたし、じゃこがけ
 にらの玉子とじ
ブロッコリー、カリフラワー
 帆立貝とブロッコリーのからしあえ
 カリフラワーのおかかまぶし
かき
 かきの昆布焼き
 かきの山椒焼き
しじみ
 しじみのしょうゆ漬け
 しじみの吸いもの

通年

豆腐
 焼きたら湯豆腐
 冷奴ゴーヤーのせ
 冷奴アンチョビーのせ
 冷奴豆チのせ
 煮奴・飛魚だし
油揚げ
 焼き油揚げの梅酢あえ
豆乳
 豆乳鍋
納豆
 オクラおろし納豆
 納豆あえ・いろいろ
みそ
 魚のあら汁
 なめみそ
切り干し大根
 あさりと切り干し大根煮
ごま
 いんげんのごまあえ
梅干し
 うめびしょの使い方
唐辛子
 一味唐辛子
 かんずり
 ゆずこしょう
こんにゃく
 ふきのとうのみそ田楽
 こんにゃくのいり煮
チーズ
 豆腐おろしチーズがけ
 新ごぼうのブルーチーズあえ
豚肉
 冷しゃぶ・おろし野菜がけ
レバー
 レバーとセロリのからしあえ
まぐろ
 まぐろのづけ
いわし
 真いわしの開き方
 真いわしの刺身
 いわしのつみれ汁
 真いわしのひもの
 かたくちいわしのひもの
 脱水シートで即席ひもの
ちりめんじゃこ
 じゃことキャベツの
  コールスロー
かつお節
海苔
 たこ・針しょうが・海苔
 海苔吸い
 このわた巻き
だし昆布
 昆布だしのとり方
 昆布の山椒煮

おわりに

落合慎一(おちあい・しんいち)
1947年東京生まれ。豆と豆腐を中心に据えた肴、日本中の豆民具を飾った店構えの「日本酒 豆柿」店主。2011年9月には、店近くに豆民具の「ギャラリー豆柿」をオープン。

日本酒 豆柿
住所:東京都中野区中央2-2-24 大江戸コーポ1F
電話:03-3363-3608 日・月定休 要予約
http://www.mamegaki.com

木原いづみ(きはら・いづみ)
画家。多摩美術大学卒業。東京藝術大学大学院版画専攻修了。日本版画協会会員。2007年より、よみうりカルチャーセンター『大人のための「塗り絵」教室』講師。著書に『ぬり絵スケッチブック』春、秋(いずれも海遊舎)ほか、装画に山田太一『君を見上げて』、結城昌治『エリ子、十六の夏』(いずれも新潮文庫)などがある。

●装幀/津嶋佐代子
●題字/安岡和彦