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PAPA & CAPA
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PAPA & CAPA ヘミングウェイとキャパの17年

PAPA & CAPA

ロバート・キャパ撮影のアーネスト・ヘミングウェイの写真を軸に、2人の出会いと交流、エピソードを集大成した写真集+ノンフィクション。[ヘミングウェイ没後50年記念出版]

  • 書籍:定価2200円(本体2,000円)
  • 2011.04発行
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内容

写真が語る、知られざる友情の軌跡――2人は内戦状態のスペインで出会い、以後、共に戦い、酒を酌み交わし、喧嘩をしては仲直りを繰り返した。文豪と戦争写真家の“精神的養子縁組”の全記録。 写真51点収録。

●アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 1899~1961年。20世紀アメリカ文学を代表する文豪。釣り、狩猟、闘牛、ボクシングを愛したタフガイな作家として、またパリ、スペイン、イタリア、アフリカなど世界を股にかけた移動派の作家としても知られる。代表作は『日はまた昇る』『誰がために鐘は鳴る』『老人と海』など多数。1954年にはノーベル文学賞を受賞した。

●ロバート・キャパ Robert Capa 1913~1954年。20世紀を代表する戦争写真家。ハンガリーの洋品店の息子エンドレ・フリードマンとして生まれる。1931年国外脱出。ライカA型で撮ったトロツキーの写真でデビュー。その後、ロバート・キャパの名前で数々の傑作戦争写真を発表する。1947年には写真家仲間たちと写真家集団マグナム・フォトを設立した。

はじめに

20世紀のアメリカ文学を代表する作家のひとり、アーネスト・ミラー・ヘミングウェイは、簡潔で叙述的な文体を用いた優れた短篇と、独特のクールで生き生きした新しい会話体を駆使した長篇で、その後のアメリカ文学に大きな影響を与えた作家だった。“パパ”と多くの友人たちから呼ばれ慕われたヘミングウェイは、釣り、狩猟、ボクシングなどアクティブなスポーツを楽しむマッチョな行動派の作家としても知られ、酒や戦争にまつわる数多くの逸話を残している。また、パリ、スペイン、キューバ、アフリカなど世界を股にかけた移動派の作家でもあったヘミングウェイは、20世紀文化の象徴とも言える映画や雑誌といったメディアに愛され、大衆に愛された。
一方、機動性の高い小型カメラで戦場に勇敢に飛び込んだハンガリー生まれの写真家ロバート・キャパは、人類史上初めて人間が撃たれて死ぬ瞬間の写真を撮ったことで、戦争写真家という存在を世界に知らしめた第一世代の職業戦争写真家だった。キャパは、その大胆な状況判断と、決定的瞬間に遭遇する天性の勘で世界を驚かせる写真を撮り続け、宵越しの金を持たずにお洒落と酒とギャンブルと女遊びに惚ける豪放磊落さや誰の懐にでも入っていく社交性と繊細な気配りで、世界的有名女優を含む多くの友人たちから愛された。
ヘミングウェイもキャパも、それぞれに自分の仕事の領域において大きな業績を残し、彼らの後に続く者たちに大きな影響を与え、指針となった。また、ふたりは、遺した作品に劣らない数々の華々しい伝説や逸話を残した20世紀のアイコンとして人々の記憶に刻まれたという意味でも特異な存在だった。
そんなふたりは、スペイン内戦さなかのマドリッドのホテルで出会い、瞬く間に意気投合して固い友情を結ぶと、以後、時には危険な同行取材をし、共に呑み語らい、笑い、大喧嘩をしては仲直りを繰り返した。キャパが遺したヘミングウェイの写真には、そんなふたりが共有した、濃密な時間の一部が切り取られている。写真家と被写体という束の間の付き合いでは決して生まれなかった、自然でリラックスしたヘミングウェイの表情は、他のどの写真家が撮ったどんな肖像写真より、素顔のヘミングウェイのありのままの姿を教えてくれる。

目次

はじめに

キャパ、サンヴァレーへ行く
ヘミングウェイが愛した、もうひとつの約束の地
写真主任技師が目撃した『ライフ』撮影裏話
映画『誰がために鐘は鳴る』をめぐって
ホテル・フロリダでの出会い
決戦前夜、酒とポーカーと愛欲のロンドン
その時、キャパの手は震えてなんかいなかった!
ヘミングウェイ、パリ解放の英雄になる
キャパ、パパの不倫騒動に介入する
ふたりの文豪に愛された写真家、戦場に死す

まだ見ぬヘミングウェイの写真が、きっとある。(あとがきに代えて)

参考文献  写真解説

著者

山口 淳(やまぐち・じゅん)
1960年神戸生まれ。大学在学中から雑誌の編集に携わり、卒業後はファッション誌、旅行誌、モノ雑誌などでフリーのエディター、ライター及びディレクターとして活動後、ライター専業に。とくにメンズ服飾とプロダクト全般を得意としている。著書に『ヘミングウェイの流儀』(今村楯夫との共著、日本経済新聞出版社)、『これは、欲しい。』(阪急コミュニケーションズ)、『ビームスの奇跡』(世界文化社)などがある。

●構成・デザイン/三村 淳+三村 漢