内定をもらえる人の会社研究術 エントリーシートで目にとまる・面接で「できる!」と思わせる
その自己PR、ポイントがずれてませんか? 面接官の不満No.1は「うちの会社のこと、調べてないんだよね」。内定をもらえる自己PRと志望動機をつくるために必要なのは「会社研究」です。
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 2010.11発行
内容
その自己PR、ポイントがずれてませんか?
面接官の不満No.1は「うちの会社のこと、調べてないんだよね」
内定をもらえる自己PRと志望動機をつくるために必要なのは「会社研究」です。
人気企業からいくつも内定をもらっている人は、受験する企業のことをよく調べて、その企業にふさわしい自己PRと志望動機を作り上げています。
多くの学生は、自己分析は一生懸命やっても会社研究がおろそかなので、この部分で差がつくのです。
本書では、人気7業界の企業分析をとおして「自己PR」と「志望動機」を強化し、確実に「内定キャラ」が身につく会社研究の方法を公開します。
■本書で分析した企業
(1)電機業界(パナソニックvs.ソニー)
(2)鉄道業界(JR東日本vs.JR東海)
(3)ゲーム・玩具業界(バンダイナムコvs.スクウェア・エニックス)
(4)情報サービス業界(リクルートvs.ベネッセ)
(5)印刷業界(大日本印刷vs.凸版印刷)
(6)食品業界(キユーピーvs.カゴメ)
(7)機械業界(コマツvs.クボタ)
「まえがき」より
■自己PRのポイント、ずれていませんか?
ある機械メーカーの面接官から、次のような話を聞きました。
「面接をしていると『マクドナルドのチーフとして多くの人をまとめてきましたので、コミュニケーション能力には自信があります』というような自己PRをする人が多いんですよね。うちは機械メーカーなので、外食産業での実績を自信満々に話されても、あまりピンとこないんですよ。そのような人に対しては、『あなたがマクドナルドのチーフとして、頑張ったことは分かりました。でもマクドナルドは外食産業で接客業ですよね。うちの商品は機械で法人営業なので、ちょっと違うと思うんですよ。もう少し具体的にあなたのコミュニケーション能力を、うちの会社でどのように生かすことができるか教えてもらえませんか?』というような質問をするのですが、その質問にしっかりと答えられる学生って少ないんですよね。弊社の仕事をしっかりと理解して自己PRできない学生は、内定までたどり着かないですね」
就活生のみなさんがこのような自己PRをするのは就活本の影響が大きいと思います。多くの就活本には、自己PRの例として「体育会系の野球部の主将を経験したからリーダーシップがあります」「世界50カ国の旅をしたから行動力があります」というような、「○○だから××です」という形の自己PRが数多く掲載されています。しかしながら、みなさんが就職活動を行う上で知っておかなければならないのは、最近は就活生に求められる能力がポテンシャル型から即戦力型に変わってきており、それに合わせて自己PRの内容を変えていかなければならないということです。
日本企業は従来、ポテンシャルの高い新人社員を採用し、自社で教育して一人前にするというシステムを採っていました。そのような状況においては、「世界50カ国を旅するようなバイタリティのあるヤツならば、うちの厳しい営業の仕事にも耐えられるだろう」というような評価がなされました。そのため、自己PRも「学生時代にどれだけすごいことをしたか」という武勇伝のようなものが多くなり、ノリの良さやバイタリティで面接を乗り切るという手段が有効でした。
しかしながら最近は、グローバルレベルでの競争が激しくなったため、企業に人材を育てる余裕がなくなり、即戦力型の人材を求めるようになりました。即戦力型というのは簡単にいうと、入ってすぐにその企業の中で仕事ができるということです。そのため、自己PRにも「会社研究をしっかりとした上で、自分がその会社で何ができるのか」という視点を盛り込むことがとても大切になってきます。
面接ではコミュニケーション能力が大切になりますが、コミュニケーション能力というのは、「相手が求めている情報」を「相手が理解しやすい表現」で伝えることです。例えば、冒頭で説明した学生はマクドナルドでチーフという仕事をしており、スタッフをまとめることができたのであれば、接客業でのコミュニケーション能力は高かったのかもしれません。
しかしながら、面接官が知りたい情報は、「みなさんがその会社でどのように仕事をしていくか」ということです。そのため、「マクドナルドでのアルバイト経験がその会社にとってどのように役立つか」という視点から自己PRをすることができないのであれば、面接という場でのコミュニケーション能力は低いと言わざるをえないでしょう。
■内定をもらえる学生は何が違うのか
「内定をもらえる学生」と「内定をもらえない学生」の違いは、就職活動を受験勉強の延長線上で捉えてしまうか否かだと感じています。大学入試でも資格試験でも一緒ですが、受験勉強というのは明確な答えがあり、その答えをいかに効率的に覚えるかが勝負になります。そのため、「内定をもらえない学生」はマニュアル本や就活サイトなどを見ながら、模範的な学生を演じることに一生懸命になります。
しかしながら、就職活動と資格試験では、面接に対するアプローチの方法が変わってきます。資格試験の面接のように正しい答えを言えば合格できる面接であれば、大量の模範解答を覚えるというのが一番効率的な方法といえるでしょう。その一方で就活のように、その人の人間性や可能性が問われる面接では、覚えてきた模範解答を話すだけでは、どうしても薄っぺらい印象を与えてしまいます。そのため「内定をもらえる学生」は、マニュアル本や就活サイトからの情報入手は最低限にして、実際に行動しながら「自分らしい答えを作る」ことにエネルギーを注いでいます。
就活で大切なのは、自分の内面を広げながら、社会を肌で感じることです。世の中にどのような仕事があるか分からない状況でいくら自己分析をしても、自分にあった仕事を見つけ出すことはできません。自分にあった仕事を探すためには、本書で紹介しているような方法で、少しでも自分の興味のある業界のビジネスを調べたり、その業界の方と話をするという時間を愚直に増やしていくのが一番の近道だと思います。
また、「内定をもらえる学生」のもう一つの特徴は、就活の全体像をしっかりと理解した上で、ポイントを絞って効率的に進めている人が多いということです。そこで、私自身の経験と人気企業に内定した学生の意見を参考にしながら、就活の効率的な進め方について考えてみました。詳しい内容は「第1章 内定を取るための就活戦略」で説明しています。
私が本書を通じて一番伝えたいことは、自分の頭で考えて行動する力を身につけることによって、世の中に流れるネガティブな情報に負けない力をつけて欲しいということです。文部科学省が発表した「平成22年度学校基本調査の速報について」によると、平成22年3 月の大学卒業者は54万1 千人で就職率は60.8%、大学院などへの進学者が13.4%、進学も就職もしていない人が16.1%などとなっています。
就職率60%というのはあくまでも日本全体の数字であり、あなたが60%の確率で就職できる(40%の確率で就職できない)わけではありません。就職氷河期と言われる中でも第一志望の企業に内定する学生はたくさんいますし、景気が良いときにも志望企業に入れない学生もたくさんいます。ちなみに、2010年4月26日の日本経済新聞に掲載された2011年度の採用計画によると、JR東日本が1,100人、みずほフィナンシャルグループが900人、トヨタ自動車が460人(いずれも大卒採用予定者数)というように、大手企業ではかなりの人数を採用する見込みとなっています。
そのように考えると、マスコミから流れるネガティブな情報に惑わされるのではなく、自分が入りたい企業にどうすれば入れるのかということをクリエイティブに考えた方がはるかに生産的です。本書を読むことによって、みなさんが主体的に自分のキャリアを考えるきっかけとなったとしたら、著者としてこの上ない喜びを感じます。
2010年11月 望月 実/花房幸範
目次
まえがき
■自己PRのポイント、ずれていませんか?
■評価の高い自己PR、評価の低い自己PR
■内定をもらえる学生は何が違うのか
第1章 内定を取るための就活戦略
1.採用担当者の本音
2.就活本の使い方
3.人気企業に内定する学生の共通点
4.話す内容を複数の視点から考えるトレーニング
5.内定を取る志望動機の作り方
6.タイムスケジュールと志望企業の選び方
7.エントリーシートのブラッシュアップ
8.面接が苦手なあなたへ
9.面接で突っ込まれたときの対処法
10.社会人とのコミュニケーション
第2章 会社研究のポイント
1.会社研究の流れ
1 エントリーシートを入手する
2 会社との接点を探す
3 会社情報を入手しながら分析する
4 エントリーシートを書いてみる
5 OB 訪問をしながらエントリーシートをブラッシュアップする
2.会社情報の入手方法
1 会社が発信している情報
(1)決算説明会資料
(2)アニュアルレポート
(3)CSR レポート
(4)有価証券報告書
(5)ニュースリリース
(6)その他ホームページの情報
2 会社以外が発信している情報
(1)日本経済新聞
(2)書籍、ビジネス情報誌
(3)ブログ、ホームページ
(4)テレビ
3.用語説明
1 株式会社
2 決算書
3 損益計算書
4 貸借対照表
5 連結財務諸表
6 セグメント情報
7 経営統合の方法
4.分析方法
1 会社の歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を分析する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
第3章 就活人気企業を研究する
1.電機業界のビジネスを分析する パナソニック vs. ソニー
1 パナソニックとソニーの歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
2.鉄道業界のビジネスを分析する JR東日本 vs. JR東海
1 JR東日本とJR東海の歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
3.ゲーム・玩具業界のビジネスを分析する
バンダイナムコ vs. スクウェア・エニックス
1 バンダイナムコとスクウェア・エニックスの歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
4.情報サービス業界のビジネスを分析する リクルート vs. ベネッセ
1 リクルートとベネッセの歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
5.印刷業界のビジネスを分析する 大日本印刷 vs. 凸版印刷
1 大日本印刷と凸版印刷の歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
6.食品業界のビジネスを分析する キユーピー vs. カゴメ
1 キユーピーとカゴメの歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
7.機械業界のビジネスを分析する コマツ vs. クボタ
1 コマツとクボタの歴史
2 主要な数字と株主構成
3 ビジネスモデルを分析する
4 決算書を比較する
5 企業理念と経営戦略
6 分析に使用した資料
あとがき 人は最後は自分と出会う
著者
望月 実(もちづき・みのる)
1972年愛知県名古屋市生まれ。立教大学卒業後、大手監査法人に入社。監査、株式公開業務、会計コンサルティング等を担当。2002 年に独立し、望月公認会計士事務所を設立。ドラッカー学会会員。
現在は、就活やキャリアアップにおいて「数字センス」で状況を切り開いていく方法を伝えることをミッションとして、日本人を数字に強くするための活動を精力的に展開。執筆、講演、テレビ出演などを通じ、わかりやすく親身なアプローチと温かな視点には定評があり、切実な悩みを抱えながらもがんばっている就活生やビジネスマンの支持を集める。著書に『就活の新常識!学生のうちに知っておきたい会計』『有価証券報告書を使った決算書速読術』『最小限の数字でビジネスを見抜く決算書分析術』(以上阪急コミュニケーションズ)、『数字の習慣』(総合法令出版)、『数字は語る』(日本経済新聞出版)、『問題は「数字センス」で8割解決する』(技術評論社)、『課長の会計力』『会計のトリセツ』『会計を使って経済ニュースの謎を解く』(以上日本実業出版社)がある。
「アカウンティング・インテリジェンス」http://ac-intelligence.jp/
花房幸範(はなふさ・ゆきのり)
鳥取県生まれ。中央大学商学部卒業後、大手監査法人において日本及び海外の会計基準に基づく決算書の監査業務の他、株式公開、デューデリジェンス業務等に携わる。その後、投資会社の財務経理部長としてM&A業務に従事。現在は会計コンサルタントとして幅広く個別の企業経営をサポートするとともに、地元の鳥取県をはじめとする地域の活性化に取り組んでいる。また農業に関心を持ち、企業経営のノウハウを農業ビジネスに取り入れるべく奮闘中。自身が最重要のビジネスツールの1つと考える「会計」を若手に教える活動も積極的に行う他、企業向けの研修も手掛ける。著書に『就活の新常識!学生のうちに知っておきたい会計』『有価証券報告書を使った決算書速読術』『最小限の数字でビジネスを見抜く決算書分析術』(いずれも阪急コミュニケーションズ)がある。
●装丁・本文デザイン/轡田昭彦+坪井朋子
●編集協力/今屋理香