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パリ 魅惑のアンティーク
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パリ 魅惑のアンティーク

石澤季里 著

景山正夫 著

パリ 魅惑のアンティーク

エルメス・ヴィンテージから気軽に買えるキッチン用品や文房具、さらにアンティークなビストロやホテルまで、個性溢れる“古きよき物たち”に会いにいこう。大好きなパリの街で、自分だけの“とっておき”に出会う旅をご案内。

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価880円(本体800円)
  • 2009.10 <![CDATA[https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-9985059328発行
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内容

あこがれのアンティークといえば、宝飾時計やヴィンテージやエルメス。
だけど、キッチン用品や文房具だってアンティークは楽しめる。
ガラス製品やちょっとしたインテリアに取り入れて部屋を豪華にすることも。
クリニャンクールからミュージアム級の家具店まで、
アンティークがあふれる街、アンティークが似合う街・パリで、
とっておきの一品に出会う旅を案内するガイド&エッセイ。
《全36ショップ紹介》

まえがき

はじめに

個性的であることを善しとし、個々の“スタイル”を確立することに骨身を惜しまないフランスでは、「美人女優の○○さんに似ている」や「イケメン俳優の●●さんばり」が最高の賛辞や褒め言葉にならない場合が多々あります。それは、有名な誰それさんより、「私らしさ」が最も素敵なことだと胸を張って生きるフランス人の自負でもあるのです。

本来であれば残っているはずもない古いものが、その手作りの風合いの魅力や他にはないきらりと光るセンスの良さによって、何十年、いえ何百年もの間、次々に人の手を経て今なお存在する。アンティークがフランス人に愛される訳は、そのどれもが一点物で、贋作を作ったところで、決して真似し尽くすことができない“スタイル”を確立しているからに違いありません。

そんなアンティークの魅力や価値を知り尽くすパリの人たちは、本当にアンティークが好きです。学業を終え、ひとり暮らしを始めたばかりの若者のアパルトマンでは、田舎のおばあちゃん家の屋根裏部屋に眠っていたアール・デコ時代の食器棚がメンテナンスを終えて再び現役で使われ始めていたり、若き婚約者の指には、未来の夫の家族に代々受け継がれてきたサファイヤリングが煌めいていたり……。休日ともなると、クリニャンクールはもちろん、パリのあちこちで開催されるアンティーク&ブロカントの屋外市には、等身大のお宝を求めて“シネ”して廻る老若男女が集い、にぎわいを見せているのが常です。

そうして求めたアンティークは、愛し慈しみ、次の世代に受け渡すのがマナーです。その行為を指して、アンティークを「育てる」といいますが、まさに、パリジャンの生活と「アンティーク育成」は切っても切れない絆で強く結ばれているのです。

パリジャンの生活には、ワードローブからインテリア雑貨まで、作られた時代も場所も異なるブロカントから超高級アンティークまで思い思いの「古きよきもの」が溢れていて、現行品とはまったく違う異彩を放っています。また、それと同時に、レストランやホテル、美術館や図書館といった公共施設にもごく自然にアンティークが融け込み、それぞれの役割分担を果たしているのです。パリの街は、アンティークとともに生き、アンティークとともに進化してきたといっても過言ではありません。

パリのアンティークを掘り下げることで、パリの歴史や彼らの生活が見えてくる。皆さんにとって、この本がパリ発見の新たなツールになることを祈っています。

目次

はじめに

パリ・アンティーク・マップ

I あこがれのアンティーク
宝飾時計――しなやかな女性の腕をゴージャスに飾る
ローズカットのダイヤモンド――まばゆい光の乱反射に魅了される山形カット
ルイ・ヴィトンのトランク――個性溢れるセレブな旅の必需品
エルメス・ヴィンテージ――最高のエルメスをオークションで手に入れる
オートクチュール・ヴィンテージ――世界に1着だけの購入できるアート
シャンデリア――ガラスと光の煌めくマジックを楽しみたい
アール・ヌーヴォー――いつか手に入れる日まで、まずは美術館で
アール・デコ――大ブーム到来の美しくピュアなライン

Colmun1 ミュージアム級のアンティーク家具店

II 日常の中にもアンティークを
陶磁器&ガラス――屋外の蚤の市でお気に入りを見つけよう
キッチン用品――昔ながらの“パリ”の日常をお菓子とともに
バス用品――リサイクルで蘇る、こだわりのホテル仕様品
レースのハンカチ――魅惑の危険領域は、美しき幸運のお守り
小箱――女性も男性も特別に愛用した小さな家具
ポスター――手軽に飾って部屋をお洒落なパリの街角に変身
傘――往時の姿を蘇らせたいなら「直し屋」へ
手芸用品――針と糸を手に、昔を思い出してみては?
ピケ――出産祝いに贈られた真っ白な愛らしい「刺し子」
文房具――旅の思い出を伝えるポストカードやレターセット
古書――じっくり選んで思い出の一冊を見つけたい

Colmun2 世界最大の蚤の市、クリニャンクール

III アンティークでちょっと贅沢に
十字架――フランス人もあまり知らない地方の“ジュエリー”
バギエ――入手困難なガラス製のリングホルダー
銀製品――心地よく柔らかな口当たりが忘れられない
バルボティン陶磁器――個性的なモチーフから自分好みの一点を
鏡の家具――インパクトと稀少性で人気沸騰中
インダストリアル・アート――庶民生活を伝える個性的な廃品たち
アート・ポピュレール――民族の伝統を感じる「民芸」の温かさ
バッグ――レディーの手元はエレガントな装いで

Colmun3 フランス式婚礼タンスの思い出

IV アンティークを満喫するなら
ビストロ――オーナーのコレクションを眺めながら一杯
レストラン――18世紀の主役たちが集った大邸宅でフランスを味わう
ホテル――現代デザイナーが作った古きよきフランスに泊まる

おわりに

著者

石澤季里(いしざわ きり)
成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科在学中より、女性ファッション誌や料理雑誌の編集・制作に携わる。1989年、フランスの地方文化とフランス料理の知識を深めるためブルターニュ地方に渡仏。90年からパリに暮らし、フリーランス・ジャーナリストとして「FIGARO JAPON」ほか様々な女性誌で活躍するかたわら、アンティーク鑑定士養成学校IESAに通い、フレンチ・アンティークについて学ぶ。93年同校卒業。94年に帰国するも、そのままパリに居を構え、日仏を行き来しながら取材・執筆を続ける。2000年1月、カルチャーサロン「アンティーク・エデュケーション(現・プティ・セナクル)」を開校。同校のほか多摩美術大学等で教鞭を執る。専門はアート、アンティーク、食を中心にしたヨーロッパ文化と旅。著書に『フランスの骨董市を行く!』(角川書店)、『パリっ子16人のおばんさい』(小学館)等。
http://www.antiqueeducation.com

写真

景山正夫(かげやま まさお)
1947年12月生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。フリーカメラマンとして主に雑誌の海外取材を手掛ける。これまでに訪れた国は約40か国。近年は日本で桜の撮影に取り組んでいる。

●ブックデザイン/松田行正┼日向麻梨子