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企画のネタ帳 30キーワードで楽々ネタ出し!

企画のネタ帳

1日1キーワードの発想トレーニングであなたの「アタマの使い方」が変わります。 「ネタ出し1000本ノック」のプロ講師による「アイデア脳のつくり方」。

  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 2009.08発行
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内容

たとえば黒いトイレットペーパー。「白が当然」を覆した結果、ヒット商品になりました。こんな発想で成功した例は世の中にたくさんあります。「色」だけでなく「形」「人」「場所」といったキーワードを使って発想することで、ビジネスに有効な複眼視点・創意工夫が得られます。
本書では全部で30個のキーワードを紹介。具体的なアイデアの出し方に加えてユニークなビジネス事例も満載。「ビジネスの種」がいっぱいに詰まったトレーニングブックです。

「まず、悩みを言語化しましょう。解決策に落とし込みましょう。人や環境のせいにせず、行動しましょう。でも、一人で全部を背負い込まないで。プロと組みましょう。スタッフやまわりの人とつながりましょう。アイデアの種はそこらじゅうに落ちています。困ったら、この本にある30のキーワードを見直してください。必ず、解決の糸口は見つかります」(「あとがき」より)

前書き

まえがき 頭のカギの外し方

商工会や企業のセミナーで、私がよくする質問があります。

「『あ』のつく3文字の言葉を答えてください。
私から行きますね。『アイス』。では、次の方どうぞ」

読者の皆さんも、ぜひ考えてみてください。
「あたま(頭)」「あかり(灯り)」「あずき(小豆)」「あした(明日)」……

10代から70代まで、若手社員から経営者まで。多くの方に「あ」のつく3文字の言葉探しをお願いをしてきました。だいたいは5人目ぐらいで詰まってしまいます。実はこのゲーム、私が塾の国語教師をしていた時、小学生相手にやっていたものです。10歳前後の子どもたちの方が、この「壁」をあっさり突破します。

「先生、『あそぶ(遊ぶ)』はどう?」
「エエよ」
「じゃあ『あるく(歩く)』もええな!」

ここで「思いつかなかった!」と驚いた人は、頭にカギがかかりやすい人です。私はゲームの出だしで、ちょっとした「暗示」をかけています。例に「アイス」という「『あ』がつく、『3文字』の『名詞』」を提示したのです。そうすると、あとに続く人は「名詞でなければならない」という錯覚に陥ります。つまり、最初の回答者である私に釣られる。このゲームは、人の脳が「先入観」に支配されやすく、なかなかそこから抜け出せない
ものであることを教えてくれます。経験豊富な大人より、子どもの方が先入観にとらわれません。

「先生、『あつい(暑い)』も『あ』で始まって3文字や!」
「ほんなら、『あかい(赤い)』もええな!」
「『アジア』って地名やけどいい?」
「オレの名前『あきら』やで!」

教室では、ポンポンポンとカギを外した子どもたちが、言葉の世界で遊び始めます。一方、セミナー会場ではウンウンウンと、「『あ』のつく名詞」のカギが外れないビジネスマンが悩んでいます。真面目な人ほど、辞書に載っている「普通名詞」で探そうとしてしまいます。地名や人名といった固有名詞に、流行語。もっと、枠を外して考えてかまわないのに。

生徒A「アカン、もう思いつかへん」
生徒B「あ、『アカン』って答えやん!」
生徒A「ホンマや!」

実際に教室であった会話です。「あ」がつく「3文字」の言葉なら、方言だって慣用句だっていい。この「『あ』のつく言葉探し」エピソードから、読者の皆さんに伝えたいのは、

アイデアの種は、はじめから自分の脳の中にある

ということです。どの方も「あるく」「あかい」「アカン」という言葉の存在を知っていたはずです。しかし、「先入観」や「思い込み」のカギがかかった引き出しから、引っ張り出すことができなかった。それだけのことです。カギさえ外せば、どんどん出てくる。

子どものカギが外れやすいのは、「真剣に楽しむ」から。自分の番がまわってくるまで、子どもたちは前のめりになって待っています。自分が考えていた言葉を前の生徒に言われたら、絶望的な顔をしながらも、次の言葉を探す。思いもつかなかった言葉がクラスメイトから出てくると、どよめく。たかがゲームですが、本気で楽しむからこそ、気づくことがたくさんあります。

ビジネス書を買ったりセミナーに出たりする時、大人はどのように考えているでしょう。「元を取ってやろう」とか「いかに自分に役立つか」だけを考えて、別の意味で前のめりになってしまっています。目に見える成果が欲しい、即効性が欲しいのはわかります。しかし、心から楽しめなければ、学んだ思考法や知識は身につきません。「明日からやってみよう!」という気持ちが続かないのです。
まずは「自分の業種に役立つかどうか」「業務に関係あるかないか」の損得勘定を捨てて、今から始まる講義を楽しんでください。1項目につき1キーワードを提示して、皆さんに質問をします。そのキーワードを「楽しんで」考えてみてください。きっと、皆さんの経験や日常の中で触れた事柄が、脳の引き出しからあふれてくると思います。ネタがあまり浮かんでこない人は、引き出しの数を増やせばいいのです。知識を増やすにはいろんな方法があります。この本で提案するキーワードを使うことで、情報収集アンテナの張り方がわかってきます。

ここで、筆者である私の自己紹介をさせてください。
私は国語教師として10年以上、子どもたちと言葉のやりとりを楽しんできました。塾講師は大好きな仕事でしたが、28歳で円満退社後に思いつきのビジネスアイデアで起業してしまいました。「カラオケボックスを映画館にする!」……ふざけた企画と言われても大真面目です。アイデアを形にすることの難しさを思い知る数年間。その後、ビジネス環境の変化に応じて業態を変更し、現在は全国の中小企業にアイデアを出しながら、PRのお手伝いをしています。同時に、元塾講師のスキルを生かしたセミナー・研修の講師として、全国各地で「授業」を続けています。

「うちなんかマスコミに出せるネタがない」
「販促のアイデアが出なくて困っている」
「新メニュー? これ以上? ムリムリ」

サイトの無料相談メールや講演会の会場で、「ネタがない」「企画がない」と毎日毎日言われ続け、それに「必ず答えを出す」ことを目標に取り組んできました。サイトを見て、パンフレットを見て、経営者の話を聴いて、業界周辺事情をチェックする。ここまでは「会社の財産」を見極める仕事。ある程度は、誰でもできます。しかし、そこから「新たなターゲットを掘り起こす」「ブームに乗る」「異業種と組む」といった発想を広げるのが難しい。アイデア出しに苦しむ経営者や企画担当者が多いのです。

私が今、さまざまな業種の悩みにアイデアを出せるのは、多くの相談をこなした経験によるものです。いや、塾講師時代からネタ出し修業は始まっていました。日々のトラブルや子どもの突拍子もない質問に対応するうちに、「企画脳」が鍛えられたのです。人間の能力の中には、「鍛えてもどうにもならない」ものと、「鍛えれば身につく」ものがあります。「アイデアを出す能力」は、後者です。鍛えれば、必ず身につく。
ただし、一緒に鍛えなければならない能力があります。

それは、「言葉の力」。

私たちの思考は、言語で成り立っています。試しに、今朝起きてから今までの間で、印象に残っていることをひとつ思い出してください。電車の中吊りで、おもしろいデザインの広告を見つけたこと。その映像が脳に浮かんでも、人に伝えたり深く考えたりするためには、一度「言葉」に変える必要があります。脳の映像は、他人に伝えられない。だから、言葉を使う。アイデアを形にするのに、「言葉の力」は必須なのです。

言葉が、直接ビジネスアイデアの種になるケースもあります。例えば、「猫の駅長」という言葉。和歌山県貴志駅では「猫の駅長・たま」が大ブレイク。観光客の増加やグッズの収益で11億円(2007年度)の経済効果を生みました。この事例をもとに、「猫の○○」を考えてみましょう。

「猫の店長」「猫のウエイトレス」「猫の警察官」「猫の大工さん」……

くだらないと思う気持ちが思考を止めます。例えば「猫の女将」はどうでしょう。厳しい状況の観光地、シーズンオフの集客に「猫好き」をターゲットにした旅館にして、話題を作る。猫連れの旅行者歓迎。猫と触れあいたい人には、「猫の女将」が接待をしてくれる「猫カフェ」を併設。旅館のグッズはすべて猫のキャラクター入り。ネットでも購入可。旅館の名前は「猫のお宿」……。ここまで徹底してはいませんが、探してみると、京都の祇園には猫が女将代行をしている料理旅館がありました。企画の種として、可能性を感じます。「こだわりの~」「隠れ家的~」などの曖昧な言葉より、よっぽどビジネスアイデアとして個性的だと思いませんか?

1つのキーワードを起点に、発想を広げる。自分の仕事に結びつける。

あらゆる業種、あらゆる立場で役立つ「発想力」と「言葉の力」を、本書のドリルを使って身につけてください。ネタ出し千本ノックをこなしてきたセミナー講師による、30のキーワードと質問をご用意しました。一つひとつの問題に答えることによって、皆さんの頭のカギが外れて、脳の引き出しからアイデアがあふれてきます。そして、カギを外す快感を繰り返すうちに、「発想力」と「言葉の力」が自然と身につきます。豊かな発想は、仕事と人生を楽しくします。

それでは、一緒に授業を始めましょう!

目次

まえがき 頭のカギの外し方

1.発想キーワード・初級編 新商品の種
〔キーワード1〕「色」を変える
〔キーワード2〕「形」を変える
〔キーワード3〕「素材」を変える
〔キーワード4〕「大きさ」を変える
〔キーワード5〕「ターゲット」を変える
〔キーワード6〕「擬音語」「擬態語」から考える
〔キーワード7〕「反対語」から考える
コラム:企画の種の咲かせ方(1)人に話す

2.発想キーワード・中級編 新サービスの種
〔キーワード8〕「面倒くさい」の解消
〔キーワード9〕「非日常」の演出
〔キーワード10〕「時間」を変える
〔キーワード11〕「場所」を変える
〔キーワード12〕「体験」を売る
〔キーワード13〕「人」を変える
コラム:企画の種の咲かせ方(2)試作する/テスト運用する

3.発想キーワード・上級編 「魅せ方」の種
〔キーワード14〕「場所」を見つける
〔キーワード15〕「名前」を変える
〔キーワード16〕「キャッチコピー」をつける
〔キーワード17〕「物語」を使う
〔キーワード18〕「タイアップ」を活用する
〔キーワード19〕「集める」
〔キーワード20〕「情報」で売る
コラム:企画の種の咲かせ方(3)売る!

4.発想キーワード・当てはめ編 「売り方」の種
〔キーワード21〕「○○セット」
〔キーワード22〕「○○バイキング」
〔キーワード23〕「プレ○○」
〔キーワード24〕「○○だけ」
〔キーワード25〕「カスタム○○」
コラム:企画の種の咲かせ方(4)利益を出す

5.発想キーワード・言葉の力編 「言い回し」の種
〔キーワード26〕「語呂合わせ」
〔キーワード27〕「専門用語」
〔キーワード28〕「方言」
〔キーワード29〕「昔の言葉」
〔キーワード30〕「否定語」
コラム:企画の種の咲かせ方(5)生き残る

6.「言葉の力」で育てる発想力
(1)思考を止めるな!自問自答ワーク
(2)小説文に学ぶ・複眼視点なりきりワーク
(3)「枕草子」流・1キーワード情報収集ワーク
(4)「三題噺」風・ランダムキーワード発想ワーク
(5)カギを外そう!言葉遊び発想ワーク

キーワード一覧

あとがき

著者

山口照美(やまぐち・てるみ)
(資)企画屋プレス代表。販促・宣伝アドバイザー。ビジネスセミナー講師。
1973年兵庫県生まれ。同志社大学文学部卒。小中学生を指導する進学塾に入社し、国語講師を務める。入社3年目に校長職となり、地元密着のマーケティング活動やマネジメント、人材教育について実地で学ぶ。退職後、2002年に「カラオケボックス内シアター『シネマボックス』」のビジネスモデルで夫と起業。その後、多くのマスコミの取材を受けた経験を活かして中小企業向けのPR代行に業態を変更。1000人を超える企業担当者と会い、PRや商品・イベント企画のネタ出し1000本ノックを続けるうちに、アイデア発想の源は「言葉の力」だと気づく。現在はPR代行のほか、塾講師経験を活かしてビジネスセミナーや企業研修、高校生向けの進路講演を全国で展開中。また、国語教師としてネット上に「くろねこ国語塾」を開設、授業ノウハウを公開している。
PR代行/企画屋プレス http://www.kikaku-ya.net/
研修・セミナー/企画屋ゼミ http://kikaku-semi.com/
くろねこ国語塾 http://www.kuroneko-kokugo.com/

●装丁・本文デザイン/轡田昭彦+坪井朋子
●プロデュース/アップルシード・エージェンシー