教師の品格
大分県の教員不正採用事件から始まり、学閥、出世欲、閉鎖意識、教師間のいざこざ――。 教師とは、こんなにも品がないのか!? 現役の教師(早稲田大学高等学院 数学科教諭)が、現状をただす!
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 2009.01発行
内容
なぜ、教師の採用や昇進に関して、不祥事は起こるのか。なぜ教師社会は閉鎖的なのか――。
巷間、マスコミを賑わした、「大分県教員不正採用事件」は、他県では起こらないのか。
教師=聖職と思われるがゆえの世間からの疑問、誤解に、現役の教師があえて、筆を執った。
子供たちを学校に通わせている両親、学校の機構に疑問や怒りをもつ教師、教育関係者―――。
「教師の品格」を求めて、その在り方を、本書は問い質す!!。
目次
はじめに
第1章 昇進や採用の不祥事はなぜ起こるのか
都市と地方の教員イメージの格差
「教育委員会」という存在
縁故採用が優先する背景
最悪の教員タイプ
引き摺り下ろすしかない「主任」
能力のなさをみずから白状する教員タイプ
こんなレベルでも「学科主任」
出世する方法
上司(校長)の力になるのか生徒の力になるのか
高校の進路指導の難しさ
教員の利権
教科書採択の不思議
教科書に魂を吹き込めない教員
教科書「を」教えるしかできない教員
第2章 なぜ教師社会は閉鎖的なのか
勉強は個人的なもので孤独が必要
教員を内向きにさせる原因
当たらず障らずの世界
入ってしまえばラクな閉鎖社会
教員同士の付き合い
勉強の基本を知らない教員
「長幼の序」を逆手にとる教員
始末の悪い教員
好ましい会話のない職場
楽をしたがる教員
楽をしたがる原因
第3章 教員の現実と社会性の薄い教員養成(系)の大学
教員と宗教と常識
教員養成系の大学の学生は使えるか
外部の意見を聞こうとしない教員
「知育優先」になるほど実力のある教員はいない
勉強の本質を分からない教員
柔軟性のない教員
学校の「現実理解」レベル
社会に合わない小学校教育
近所付き合いをしない小学校
地域社会に鈍感な教員
初等教育は「社会の礎」
外部に対応できない閉鎖社会
親の「非常識」
第4章 学校閥に胡坐をかく教師──教員採用のからくり
非常勤講師はつらい(校長しだい)
学校閥があるとしか思えない人事
公立と私立の違い
高校の先生と予備校の先生の違い
特別な小学校教師の養成
理系の先生が育たない
明治維新の残骸、師範学校
制度変更の効果は十年後
言葉は独り歩きする
慇懃無礼を絵に描いた学校
意地汚い教員
昔の教員は本当に偉かった?
校長・教頭の在り方
第5章 学校の常識は世間の非常識
子供は人質か
教員だけが非常識なのではない
付け届けに敏感な教員
定年後もやって来る迷惑
試験にはあとがない
テストは遊びではない
大学四年間で何を勉強すべきか
親もうるさい授業参観
小学校の教員言葉
教えるほうが習うほうに合わせる不思議
第6章 働きやすい職場をつくるには――教師の品格を求めて
家庭の躾があって成立する授業
先輩教員の発言に恨み骨髄に徹する
教員の間違った専門家意識
受験勉強は教科書が一番
教科書会社の編集人に学べ
勉強とは問題を解くことが目的ではない
学校の中から外に出ろ
競争で尻を叩くことも必要
最近の学校の問題点
職業意識を育てよう
教員の生き方にかかってくる指導
中高一貫は入試のため
根拠のない教育
お遊び授業・お遊び科学の果て
勉強の基本は「なぜ、どうして」
著者
柳谷 晃(やなぎや・あきら)
1953年東京生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻博士課程修了。学生時代から数学を教え始め、対象は色々な学校からビジネスマン、リタイアした人まで幅広い。現在、早稲田大学高等学院数学科教諭・早稲田大学理学部兼任講師、早稲田大学複雑系高等学術研究所研究員。
主な著書/『そうだったのか! 算数』(毎日新聞社)、『忘れてしまった高校の数学を復習する本』(中経出版)、『そこが知りたい 数学の不思議』(かんき出版)、『田中ちわわの100クイズで中学数学がわかる』『時そばの客は理系だった―落語で学ぶ数学』(幻冬舎)などがある。
●カバー写真/©Doable/orion/amanaimages
●ブックデザイン/熊澤正人