食えない奴ら
人気演劇ユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を率い、 演出家・劇作家・俳優として活躍する長塚圭史、初のエッセイ集。
- 書籍:定価1760円(本体1,600円)
- 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
- 2008.10発行
内容
演出家・劇作家・俳優として活躍する長塚圭史が月刊「アテス」に連載した食エッセイ「食えない奴ら」を単行本化したもの。書き下ろし4本を含め、普段着の長塚圭史が見え隠れするファン待望の1冊。
渋谷に美味しい豚カツ屋がある。
佇まいはその小ささもあって控えめ、というか、地味である。私がその店に入った時は、「営業中」という札が「準備中」になっており、少しだけ開いた引き戸をそっと開けて、「あの、やっていますでしょうか?」と聞いたところ、腰の曲がった初老の女性が「やってますよ。やってるって書いてあるでしょう?」と返してきた。そこで私は初めての店ながら、札を自ら「営業中」へとひっくり返し、席についた。(「もう会えないのか!?豚カツ屋の老婦人。」より)
目次
1.食えない奴ら
「ロボ食い人」にも、いろいろ事情があるわけで。
スローフードって言うなら、目指せ「日本全国牛人化」
いきなりフルーツな女!?いいじゃないの幸せならば。
現場の士気をアップする、理想の弁当はどこにある?
ふらり入った店の手羽に、人生を懸ける勇気があるか?
働く男女の昼飯は、腰の強い麺じゃないと!
「食えない奴ら」に、無理強いはご容赦を!
酒は私の中の何かを、自由にしてくれた。
行列のできる強烈な店、イニシャル”N”を探せ!
食に対する情熱がフレディ並みに熱い男。
北京ダックの皮も落ちる、春節前夜の上海はスゴい!
稀代の絵師にとっても、玉子焼きはお袋の味?
恋人達のデザートは、フルーツで決まり!なのだ。
もう会えないのか!?豚カツ屋の老婦人。
白くてぶつぶつな、あの野菜がコワいんです。
朝ごはん選びこそは、男のセンスの見せどころ。
ヒゲ親父から盗んだ、私の絶品カルボナーラ
蕎麦好きな私ですが、うどん生活始めました。
最終回は敢えて庶民派の、生卵のカレーオジヤ
番外編
鰻を食べれば病も治る、それは真実か幻想か?
中華を切望した或る午後、「匂いの美意識」を問う
悩めるパン食い人
2.赤心日記
あの日の思ひ出
マルセイユの夜
土産の賞味期限
女子ハーフイプと鰻
酒の話である。
楽屋にて一思案
鯵の棘
3.完全素面日記
細麺大盛りネギ卵のかなたに
嫁入りしようか
人間失格
大阪の夜
万引き青年とそれ以降
危険飲料
カツ丼のカツばかり食した後に
カウンターのチャーミー
言い訳話に華咲かす
くじ運のない男
のどかな午後
銀座千疋屋のシャーベット
ペペロンチーノ
蠢くホテル
幸運
塩昆布
重たいスプーン
UFO
小食時代
うつくしき、きみを
dead french restaurant
カレーと思い立ったなら
初日である。
豚汁に餅
普通万歳
クリスマスの過ごし方
ビールがない
ひとりあるき
曖昧なキオク
完全二日酔い日記
ずずずの日々
ホワイトデイ
それはコップではないと言いたい
悪いのは誰か
アマゾン襲来
4月30日
レクイエム
おまけ 大阪食日記
著者
長塚圭史(ながつか・けいし)
1975年東京生まれ。96年「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役をこなす。俳優として映画・ドラマにも出演。2005年に作・演出した『LASTSHOW』で第13回読売演劇大賞優秀作品賞、06年に演出した『ウィー・トーマス』の再演で第14回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。
●ジャケットイラスト/谷山彩子
●ブックデザイン/伊藤 猛(Ti-Works)