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新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある 親子で治す起立性調節障害

新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある

起きても頭がぼーっとしたまま、朝はどうしてもやる気が出ない、授業中めまいがする、学校に行きたいけれど行けない……。
起立性調節障害は、思春期であれば誰にでも発症する可能性のある病です。
親と先生が知っておきたい、「からだ」と「心」を整え、サポートする方法。

  • 書籍:定価1650円(本体1500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1200円)
  • 2022.02.25発行
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はじめに

 朝、起きることができない子どもたちがいます。
 「それって病気なの?」と、みなさん疑問に思われるかもしれません。一見、不可思議でとらえどころのない「起きられない」ですが、そのことによって学校に行くことができず、中には退学を余儀なくされてしまう子さえいます。
 それを起こすのが、起立性調節障害です。
 
 起立性調節障害は、多くが思春期のころに発症します。朝、起きられない以外にも、めまい、立ちくらみ、頭痛、食欲不振、下痢、便秘、腹痛、冷え、生理痛、倦怠感など、自律神経機能のアンバランスによるさまざまな症状を呈します。
 その程度はさまざまで、朝礼のときにちょっとめまいがする程度から、いくら叩いても揺り動かしてもぴくりとも動かない重症まであります。
 これらの症状には、日内変動があります。午前中が悪く、午後から夕方にかけて改善する傾向にあり、夜半には、うそのように元気になることもしばしばです。
 この「うそのような」回復、そして、外見上は何ら異常に見えないことが、大人たちには理解できません。
 そのため、「怠け病」「うそつき」「精神病」など、心ない言葉をわが子にぶつけてしまうことがあります。レッテルを貼られた当人は傷つき、心を閉ざしてしまいます。中には、引きこもりとなり、一生を棒に振ってしまう人さえいます。実に不幸なことです。こういう無理解は、なくさなければいけません。

目次

第1章 「朝、起きられない」という病気
 「何が起きているの?」戸惑う親たち
 学校へ行きたい、でも行けない
 起立性調節障害を起こす自律神経のアンバランス
 心を映す身体の症状(心身症)
 「長引く」ということがもたらす問題 など

第2章 もっと知りたい、起立性調節障害
 医師も難しい起立性調節障害との向き合い方 
 ガイドラインをめぐる問題
 心と自律神経は、切り離すことができない
 なぜ、朝、起きられないの?
 なぜ、頭がぼーっとするの? など
 
第3章 心の病気としての起立性調節障害
 「起立性調節障害にかかったから学校に行けない」は正しいか?
 ストレスを受け止めきれない子どもの心
 こんな親が子どもの自立を妨げる
 ささいな出来事が心の不安定をもたらす
 学校に行くことが重要なのではない など
 
第4章 どうやって治すの?
 起立性調節障害を治療するとは、どういうことか
 薬物療法は治療のはじめの一歩
 睡眠薬を使わないで寝つく方法
 予期不安をなおす
 上手にだらだらしよう など
 
第5章 東洋医学で挑む
 漢方薬は治療の秘密兵器
 漢方薬はどうやって効くの?
 漢方薬を使うメリット
 漢方の診察を受けてみよう
 漢方治療の実際を知ろう など
 
第6章 周りはどうやってサポートすればいいの?
 孤立と恥をわかってあげよう
 「曖昧な常識」や自分の価値観を押しつけない
 言うべきことは言い続けよう
 「信じている」というメッセージを伝えよう
 進路の選択肢は一つじゃない など
 

著者略歴

森下克也(もりした・かつや)
1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。
久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて、漢方と心療内科の研鑽を積む。
浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。
心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細やかな治療で応じている。
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』『決定版「軽症うつ」を治す』『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『不調が消えるたったひとつの水飲み習慣 』(宝島社)、『うつ消し漢方』(方丈社)、『もしかして、適応障害?』『もし、部下が適応障害になったら』(CCCメディアハウス)など、著書多数。

ブックデザイン*吉村朋子
イラスト*achaca
校正*株式会社文字工房燦光
著者エージェント*アップルシード・エージェンシー