シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか
山梨県に本社があるお菓子メーカー、シャトレーゼ。
多くの同業が不振にあえぐ中、国内600店舗以上、海外110店舗を展開し、10期連続売上増!
コロナ禍で巣ごもり需要が高まったこともあり、その人気には拍車がかかる。テレビや新聞等の取材も絶えることがない。
そんなシャトレーゼの人気の秘密は、素材の安全・確かさと、おいしさ。そして安さ。種類の豊富さ。
「広告は出さない」「ほかがやらないことにチャレンジ」「新規参入は厳しいところから」をモットーに、快進撃を続けるシャトレーゼ会長がはじめて語った、勝ち続ける秘訣とこれからの戦略。
- 書籍:定価1540円(本体1400円)
- 電子書籍:定価1232円(本体1120円)
- 2021.09.18発行
目次
第1章 発想の原点
困ったときこそ知恵が出る
工場直売店という発想
出店戦略の独自性
第2章 おいしさへのこだわり――素材が決め手の商品戦略
ファームファクトリー構想
契約農家との取引がもたらすもの
商品力を支える「素材力」と独自製法
第3章 ブランド認知とファンベースの拡大
どこまでもお客様目線でありたい
ブランド認知力を上げる戦略的広報活動
口コミが2年で8倍になったSNS施策
第4章 新業態「YATSUDOKI」と海外事業の展開
「YATSUDOKI」で都市部へ進出
シャトレーゼの海外戦略
第5章 家業的企業経営の真髄
家業的企業経営を進める
グループ企業のプラットフォーム
はじめに
僕がお菓子の道に入ったのは1954(昭和29)年、いまから67年前のことです。弱冠20歳でした。
山梨県勝沼町(現・甲州市)で生まれ育ち、日本一のぶどう生産者を目指すはずだった僕がなぜこの道を選んだのかは、あとでお話しさせていただきますが、ずっと心がけてきたのは、「お客様の目線で考える」こと。そして、「他人ができないと思うことにあえて挑戦する」姿勢です。
お客様が「いいお店だな」と思ってくだされば、また足を運んでいただける。ご自分の身近な方に紹介してくださる。そうやって、口コミでお店のファンになってくださる方が増えていけば、自然に繁盛すると思っています。
ですから、テレビコマーシャルや新聞広告などの宣伝はやりません。宣伝にかける経費があるなら、その分、お客様に還元したいと思っています。
もちろん、企業ですから利益は必要ですが、「儲かる」という字を分解すると、信者でしょう? シャトレーゼというお店を気に入ってくださり、ある意味信者といえるほどの熱烈なファンになっていただけたら、儲けようと思わなくても儲かります。そして、そのための努力を惜しまないように、社員一丸となって走り続けてきました。
著者略歴
齊藤 寛(さいとう・ひろし)
株式会社シャトレーゼホールディングス、株式会社シャトレーゼ 代表取締役会長
1934年、山梨県生まれ。1954年、20歳のときに焼き菓子店「甘太郎」を創業。5年後、有限会社甘太郎を設立し、代表取締役に就任。1964年に大和アイスを設立しアイスクリーム業界に参入。1967年、10円シュークリームを発売。同年、2社を統合し、株式会社シャトレーゼに社名変更。2008年、代表取締役会長に就任。2010年、シャトレーゼをはじめ、ワイナリー事業、リゾート事業、ゴルフ事業などを統括して株式会社シャトレーゼホールディングスに商号変更し、代表取締役社長に就任。新設分割会社、株式会社シャトレーゼを設立。2018年から代表取締役会長。株式会社シャトレーゼの代表取締役会長も兼任。
編集協力 長井亜弓
ブックデザイン 小口翔平+加瀬梓(tobufune)
校正 株式会社文字工房燦光