起業家精神のルーツ CHUTZPAH イスラエル流"やり抜く力"の源を探る
起業家マインドを身につけることは可能か?
イスラエルはなぜ「スタートアップ国家」として成功しているのか?
軍のエリート諜報部隊出身、自身起業家で3人の男子の母親でもある著者が、イスラエルで幼少のころから養われる「CHUTZPAH」(フツパ精神)とその育て方について語る。
- 2021.03.17発行
内容
強靭な起業家精神を身につけたい人、
教育関係者、子育て中の方、必読!
アップル、グーグル、マイクロソフトといった世界的企業が続々とイスラエル企業を買収していることでも明らかなように、イスラエルはスタートアップ大国として知られる。
「Chutzpah」(フツパ)とは、ヘブライ語で「大胆さ」や「厚かましさ」を意味する語であるとともに、「普通ではできないことを敢然と行なう勇気」といった肯定的な意味をももつ。そして、この「フツパ精神」こそ、イスラエルのスタートアップ企業成功の秘密であり、イスラエルにおいては幼少期から育まれ訓練されるものであると著者は言う。
本書では、軍のエリート諜報部隊(8200部隊)で起業家活動のスキルを身につけ、自らも起業して20年にわたりイスラエルのテック業界をリードしてきた著者が、イスラエルにおける「フツパ精神」とその「育て方」について語る。
起業家精神は筋肉と同じように、意識して訓練することで身につけ、強化することができるのだ。
目次
イントロダクション
STAGEⅠ DISCOVERY
アイデア発見の土壌をつくる
第1章 ガラクタと遊ぶ
歴史を創るパワー=環境を変える力
遊びを通してリスクを学ぶ
協調性と問題解決能力
なぜ起業家はガラクタ遊びをすべきなのか?
第2章 「バラガン」を歓迎する
常に別のやり方がある
バラガンの機能
混沌は新しいファッションである
第3章 火遊びで学ぶ
子どもたちだけで焚火を楽しむ
責任を伴った自由、自由に伴う責任
荒野へ
STAGEIⅡ VALIDATION
ニーズを発見し検証する
第4章 「We」の中に「I」がいる
個と集団とのポジティブな緊張
多様性をもった集団
子どもギャングのメリット
第5章 自由を求めて
独力で生きる子どもたち
校長先生をファーストネームで呼ぶ
袋小路に入ることの重要性
第6章 失敗は選択肢の一つ
失敗の効用
失敗したのはプロジェクトであって私ではない
失敗するのに早すぎることはない
STAGEⅢ EFFICIENCY
起業家精神と打たれ強さ
第7章 不確実性について
未知なるものと生きる
打たれ強さとは?
逆境を糧にして
脅威をチャレンジとみなす
ストレスの活用
人々を団結させるもの
第8章 リスクに満ちたマネジメント
最前線の若者
活発な青年運動
ツォフィーム・スカウト運動が目指すもの
子ども中心、大人はどこに?
ツォフィーム運動の核心――創造性、自発性、そして即興力
理想的な起業環境
第9章 若者たちに任せる
「クレンボ・ウイングズ」の物語
先頭に立つ若者
MDA──イスラエル版赤十字社と若者の活躍
LEAD ──若者のリーダーシップ育成プログラム
「マグシミム」と「サイバーガールズ」プログラム
第10章 社会的資源としての若者
若者向け年間奉仕プログラム
SOS子ども村
子どもたちが“人生を先延ばしする”理由
STAGEⅣ SCALE AND SUSTAINABILITY
持続的な成長をめざす
第11章 人的資本について
兵役制と選抜
一七歳のすべての若者が経験すること
将校の選抜法
ケーススタディーーイスラエル軍参謀本部諜報局8200部隊
単にイスラエル軍のためにではなく
第12章 文化について
イスラエル軍は「人民軍」である
「人種のるつぼ」政策
国全体に広がる社会的絆
軍事資本、社会的ネットワーク、同窓会組織
第13章 マネジメントについて
ボスは誰
マーケットに先んじる
フラットな階層構造のメリット
第14章 即興力と最適化を求めて
ケーススタディーーイスラエル空軍
自ら考え、行動すること
STAGEⅤ RENEWAL
ソフトスキルを絶えず養う
第15章 スキルとネットワークの活用
ネットワークでつながる
個人の付き合いは?
第16章 世界を舞台に
ビッグトリップ
結局、世間は狭い
海外のイスラエル人
第17章 どうにかなるさ
何事も完璧ということはない
楽観主義と起業家精神
私たちはファラオの圧制を生き延びた。だから、この困難をも生き抜くことができる
謝辞
用語集
訳者あとがき
参考文献
原註
略歴
[著者]INBAL ARIELI(インバル・アリエリ)
イスラエル生まれ。フツパ精神とひよこ豆をペースト状にしたイスラエル料理フムスで育つ。テルアビブ大学法学士、経済学士、MBA(経営学修士)。米国のNSA(国家安全保障局)に相当するイスラエル国防軍(IDF)のエリート諜報部隊である8200部隊の中尉時代に起業家活動のスキルを修得。軍役を離れた後、20 年間にわたりイスラエルのテクノロジー分野で指導的な役割を担い、イノベーター育成のための一連のプログラムを創設。現在は、IDF を退役した専門家と共同で設立したコンサルティング会社、シンセシス社(Synthesis)の共同CEO(最高経営責任者)を務め、リーダシップの評価・開発、エグゼクティブサーチ、コーチングなどを行っている。その他、スタートアップ・ネーション・セントラル(Start-Up Nation Central)やバースライト・イスラエル・エクセル(Birthright Israel Excel)、ワイツマン科学研究所の起業家養成プログラム、スタートアップ学習プログラムのSCOLA、8200部隊の起業支援プログラムなどのボードメンバー(取締役)やシニアアドバイザー(顧問)も務める。夫とやんちゃな3人の息子とテルアビブ在住。
https://chutzpahcenter.com/
[訳者]前田恵理(まえだ・えり)
福岡県生まれ。幼少期より父親の仕事の関係でワシントンDC、ニューヨーク等で過ごす。早稲田大学人間科学部卒業。Stanford Graduate School of Business LEAD Program修了。独立系投資銀行にてM&A アドバイザリー業務、プライベート・エクイティ・ファンド、ベンチャー・ファンド及びベンチャー企業などに関連したオルタナティブ投資及び投資家紹介業務に従事。現在は独立系業務改善コンサルティング会社にて幅広くコンサルティング業務に従事している。国内及びアメリカ、イスラエルの起業家や投資家とのネットワークをもつ。2018年、米国フィッシュ・ファミリー財団主催の女性リーダー育成のためのJapanese Women’s Leadership Initiativeに選抜され、ボストンで4週間にわたる女性起業家養成プログラムを受講、現在同プログラムのフェロー。2019年、文部科学省支援アントレプレナー育成武者修行プログラムに選抜され、約3週間イスラエルにて多くのベンチャー企業を訪問し、同国の起業家活動の実態を調査。この際に本書の著者と出会う。横浜市在住。
●ブックデザイン/轡田昭彦+坪井朋子
●校正/円水社