スタンフォード大学発 食物アレルギー克服プログラム
今、「アレルゲン回避」から世界の治療法は大きく転換している。
免疫を再訓練することで食物アレルギーを治す。
スタンフォード大学アレルギー・喘息研究センター長による
最新研究レポート&治療法。
過去一世紀の間、食物アレルギーの研究者たちは新たな大陸を開拓してきた。
そしていま、ようやく免疫システムへの理解が深まり、新たな選択肢を
増やせる豊かな土壌が形成されてきた。
この新たな世界の中心にあるのが、免疫療法だ。摂取した食べ物を敵と
見なさないよう免疫システムを訓練するこの治療法は、きわめて効果が高い。
命にかかわる激しいアレルギー反応の原因になるナッツや小麦、卵、
乳製品などの食物は、本来まったく危険なものではない。
それをゆっくりとだが確実に免疫システムに教え、体を正常な状態に
戻していくのである。(「本書の概要」より)
- 書籍:定価2420円(本体2200円)
免責事項
食物アレルギーの治療は、医療の専門家の綿密な監視のもとでのみ行なわれるべきであり、免疫療法などの治療を家庭で試してはならない。家庭で独自に免疫療法を試みるのは、絶対にしてはいけない。特に自分の子どもが食物アレルギーなのではないかと懸念している人は必ず、固形食を導入する前に小児科医や小児アレルギー専門医に相談すること。
本書の出版社と著者は、本書に書かれた方法を独自に実践した場合に起こりうる健康状態に関するいっさいの責任について、これを放棄する。
目次
[目次]
第一部 食物アレルギーを理解する
第1章 本書の概要
新たな大地を探検する
案内人を務める本書の著者について
ケアリー/スローン/2人
多くの手でつくられる未来
新たな大地を旅するための心がまえ
食物アレルギーと新たに診断された大人の読者へ
用語の説明
第2章 蔓延する食物アレルギー――現状とその理由
蔓延を示すデータ
衛生仮説――正しいこと、間違っていること、今後の課題
旧友仮説
二重アレルゲン暴露仮説
ビタミンD
食物アレルギーの仕組み
ほかのアレルギー型反応
アレルギーとは異なる不耐症について
まとめ
第3章 それって私のせい――?子どものアレルギーの責任
遺伝子は関係しているのか?
胎児期の環境
母乳
粉ミルクはどうなのか?
帝王切開の影響
ほかの要因は?
まとめ
第4章 どうすればいい――?食品ラベル、キッチン、学校などで注意すべきこと
食物アレルギーと診断されたら何をし、何を尋ね、何を学ぶべきか?
最初のステップ
食品棚・冷蔵庫/料理/交差接触
食品ラベルを理解する
閾値とアナフィラキシー
エピネフリンとは?
エピネフリンの使い方/学校でのエピネフリン/エピネフリン薬剤の種類と価格
抗ヒスタミン剤とジフェンヒドラミン
食物アレルギーとの日常生活
アレルギー反応に対するほかの対処法
まとめ
第二部 食物アレルギーを治療・克服する科学
第5章 アレルゲン回避神話――これまでの考え方
予防食
アレルゲン回避にまつわる問題
アレルゲン回避はなぜ効果がないのか?
テスト、テスト、またテスト
病歴
食事日誌
皮膚プリックテスト
血液検査
皮内テスト、皮膚パッチテストなど
食物経口負荷試験――最高の診断基準
好塩基球活性化試験
まとめ
第6章 これまでの考え方を一変させる――早期導入の科学とその方法
不思議な相違
さらなる大胆な試み
ピーナッツ以外のアレルゲンは?
アレルゲンになりそうなものを早期導入する方法
アレルギーの兆候/早期導入を始める時期/具体的な導入方法/多様な食事の重要性
プロバイオティクスとプレバイオティクス
まとめ
第7章 アレルゲン回避神話を越えて――免疫療法という輝かしき新世界
免疫療法とは?
免疫療法研究の始まり
経口経路での取り組み
決定的な臨床試験
免疫療法と薬剤を組み合わせる
免疫療法により生活は改善するのか?
ほかの免疫療法
舌下免疫療法/経皮免疫療法/プロバイオティクスと免疫療法の併用
免疫療法に対する医療機関の見解
食物アレルギー用ワクチン
まとめ
第8章 免疫療法と自分
どんな人が免疫療法を受けられるのか?
免疫療法は苦痛を伴うのか?
免疫療法はどれぐらいの時間がかかるのか?
免疫療法にはどれぐらいの費用がかかるのか?
免疫療法により自分の食物アレルギーは治るのか?
免疫療法の試験に参加するにはどうすればいいのか?
試験に参加しなくても免疫療法を試せるのか?
アレルゲンを回避するという選択肢
新しい世界
最後に一言
まとめ
第9章 食物アレルギー治療の(そう遠くない)未来
ピーナッツを改良する
新たな遺伝子
原因を突き止める
携帯用器具
エピネフリン投与法の発展/成分センサー/ほかの食品センサー
薬剤
ワクチン/遺伝子治療/そのほかのアプローチ
アレルギーを予防するおやつ
アプリ
まとめ
第三部 患者の視点と世界的な視点
第10章 食物アレルギーの精神的負担
幼少期
小学生の時期
思春期
性格と食物アレルギー
食物アレルギーがもたらす不安
免疫療法がもたらす不安
不安を抱える人を助けるには
専門家の助けが必要なとき
免疫療法の現場で
まとめ
自分の道を選ぶ
第11章 食物アレルギーを終わらせるために
食物アレルギー患者の増加
ヨーロッパ/アフリカ/アジア/南アメリカ/オーストラリア/中東/まとめ
環境の問題
アレルゲン食物への影響/花粉への影響
食物アレルギーとの生活を変えていくには
6つのD
食物アレルギーに関する政治活動
謝辞
付録1 食物アレルギーに関する情報源
付録2 世間に広まる俗説と事実
付録3 利益相反開示
用語集
プロフィール
ケアリー・ナドー Kari Nadeau
スタンフォード大学ショーン・N・パーカー・アレルギー・喘息研究センター長。ハーバード大学メディカルスクール卒業。ハーバード大学メディカルスクールでM.D.(医師免許)および博士号取得。ボストン小児病院で研修医、カリフォルニア大学でアレルギー・喘息・免疫学の臨床研究などを経て、現職。専門はアレルギー、子供の健康、免疫学など。アレルギー喘息の予防と治療法の専門家として世界的に知られている。
スローン・バーネット Sloan Barnett
弁護士、ジャーナリスト。ニューヨーク大学法科大学院卒業後、ニューヨーク・マンハッタン地区検察局で地方検事補となり、消費者問題に関するジャーナリストとしても活躍。ナドー博士のプログラムを通じて自身の子供のアレルギーを克服した経験を持つ。環境活動家としても知られており、著書に『人生を変える「GREEN」―― 健康な生活と美しい地球のためのシンプルな方法』(春秋社)などがある。
[訳者]
山田美明 Yoshiaki Yamada
英語翻訳家。訳書に『薬のいらない生き方』(サンマーク出版)、『アスペルガー医師とナチス』(光文社)、『人類対新型ウイルス』(共訳、朝日新書)、『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』(東洋経済新報社)、『バフェットの株式ポートフォリオを読み解く』(CCCメディアハウス)などがある。
装丁+本文デザイン KEISHODO GRAPHICS
校正 麦秋アートセンター
翻訳協力 リベル