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同僚は外国人。
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同僚は外国人。 10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?

同僚は外国人。

まさに近未来、私たちの労働環境に
凄まじい変化が起ころうとしている !?

行政書士として、外国人の在留資格取得や日本での起業支援を手掛け、彼らを熟知する著者が、休息に進む労働力の多様化と、それが私たちの生活にどう関わってくるのかを解説。
「労働力」でなく「人間」である外国人を、日本はどう受け入れていくべきか、「外国人と向き合う最前線」から提言する!

AIに仕事を奪われる前に、あなたにとって代わるのは外国人かもしれない!

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 2020.03.発行
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はじめに

私は外国人と向き合う最前線にいる

 2018年12月、今まで外国人労働者を受け入れてこなかったわが国が、5年間で約
35万人の外国人労働者を受け入れることを決定した。日本中を巻き込む大議論になったのはご承知のとおりだ。
 ここでいう労働者とは、いわゆるブルーカラーと言われる人々である。日本人を雇うことが難しい業種では、労働力を外国人に頼らざるをえないため、産業界からの要請に応えて政府は受け入れを決定したわけである。ところが、いざ蓋を開けてみると、2019年に新在留資格である「特定技能」で日本に入国した外国人は、わずか400人だった。
 外国人の受け入れに反対していた人たちは、この結果に胸をなでおろしているかもしれない。しかし、外国人は今後、本当にやってこないのだろうか。

 労働者の受け入れが思うように進まない一方で、すでに多くの外国人が私たちの周囲にはいる。彼らはなぜこの国にいるのか? 彼らのあとに、日本に入ってくる外国人は続かないのだろうか? まだまだ外国人は増えるのか? 増えるとすれば、どのように彼らと向き合っていくべきなのか? 増えないのであれば、本当にそれで良いのか?
 これらの問題に対して、外国人労働者の受け入れが実際にスタートした今、もう一度冷静な議論をしてみるべきだろう。私たちは本当に外国人を必要としているのか。私たちに必要な外国人とは、どんな人々なのか。
 そしてその先には、私たちの文化はどうなるのか、国とは何なのかという大きなテーマが横たわっているはずだ。

 私は浅草で行政書士事務所を営んでいる。行政書士の仕事は幅広いが、私が主に扱っているのは、外国人が日本にいられるための手続き、出入国在留管理庁への申請手続きである。当然、多くの外国人が相談にやってくるし、外国人を使いたいという中小企業のオーナーからの問合せも多い。
「弁当屋を経営しているんですが、うちに来ているアルバイトを正社員にしたいんです。とってもよい子で、日本人より働く。彼もここで働きたいと言ってる。就労ビザっていうのをとってあげたいんだけど、やり方がわからないので教えてほしいんですよね」
「彼の仕事は?」
「お弁当を詰めたり、揚げ物もできる。私が配達に行ってる間、工場を仕切ってるのは彼だから、いてもらわないと困るんだよね」
 おおかたの場合、経営者はその外国人が留学生でアルバイトをしていることは理解できている。今まで働けていたのだから、当然、今後も働けると考える。
 しかし、今までは彼らをこの職種で就職させる手段はなかった。
「残念ながら、日本には工場の現場で働けるビザはないんですよ」
「そんなことはないでしょ、あっちもこっちもみんな外国人だらけだし」
 なかには怒り出す人もいた。私たち行政書士に怒られても、残念ながら何もできないが、すでに多くの外国人が私たちの周りで働いているのだから、怒りたくなるのももっともである。
 そもそも、彼らはいったい何者なのか、なぜ働けているのか、多くの日本人は知らない。実は、当の外国人も自分の立場をよくわかっていなかったりする。だから問題が起きる。

 本書では、在日外国人についての問題全般を取り上げるが、先に結論を一つだけ申し上げておく。
 10年後、20年後、いや5年後かもしれない、「同僚は外国人」という時代が、すぐそこまで来ているだろうということだ。日本には、それを受け入れなければならない現実がある。それは避けては通れない道である。

 外国人労働者の受け入れには猛反対しながら、外国出身のラガーマンの活躍には胸を熱くする。多くの日本人は、「良い外国人には来てほしいが、悪い外国人には来てほしくない」と漠然と思っている。この点は、彼らのおかげで飯を食えている私たち行政書士もたいして変わらない。出入国在留管理庁も同じ姿勢で審査をしている。
 それでは、本当に悪い外国人がたくさん日本に入ってきているのか? だとすれば、なぜ悪い外国人が入ってくるのか?
 ある人は、もっと水際で食い止めるように頑張れという。出入国在留管理庁に申請を出し、しばしば却下の憂き目にあっている私からみたら、出入国在留管理庁は腹が立つくらいよくやっている。それでも、悪い外国人はやってくる。
 私は外国人を日本に入れるのが仕事だから、外国人に甘いだろうと思われるかもしれない。しかし、「人をなめるのもいいかげんにしろ」というような外国人に出会う機会は、私たちの方がむしろ多い。

 外国人行政の将来を考えるためには、現在行なわれている日本のビザの仕組みについても、多少知っていただく必要がある。日本の外国人行政は複雑だ。それを厳密に理解するためには、法律書を手に取っていただくしかない。
 本書では、外国人が日本にいられる仕組みや過程をできるだけ簡潔に説明しつつ、外国人との関わりの中で、日本社会はどこへ向かっていくのか、どうすべきなのか、私なりの考えをお伝えしたいと思う。

目次

はじめに 私は外国人と向き合う最前線にいる

第1章
実は誰もわかってない!?
外国人労働者ってなんだ!

なぜ「彼ら」は日本にいることができるのか
「ビザ」と「在留資格」の違い
これまで日本に外国人労働者はいなかった?
始まりはバブルの狂乱! 3Kを支えた中東のあの国
不法滞在なのに今よりはるかにましだった彼らの待遇
それが今では……不法滞在者たちの残酷物語
第二の波は日系人の帰国ラッシュ!
日本人の血は流れていても、やはり外国人だった!?
バブル期の名脇役、フィリピーナは今もたくましい
そして始まった! 悪名高き現代の奴隷制度「技能実習」
実習生がいなくなった!
技能実習制度の仕組み
問題山積の制度設計
外国人労働者のサプライチェーン

第2章
現代外国人労働者事情

「留学生」という名の新たな労働者たちの誕生!
日本語学校が不法就労の入り口に?
確信犯の「留学生」たち 
「週28時間」狂騒曲
単純労働、大卒はよくて専門学校卒はダメという不思議
大手を振って働ける?「難民ビザ」
世界一厳しい? 日本の難民審査
借金から逃げてきた外国人が難民だって?
「難民」から「不法滞在者」に
寝室が別だと認められない?「日本人の配偶者」という資格
見破るのは無理?「偽装結婚」労働者たち
外国人問題の縮図、「コック」を考察してみる

第3章
実は勤勉で優秀な外国人労働者たち

一般企業で働くためのキーワード「ギジンコク」ってなんだ?
意外にハードルが高い飲食店の外国人雇用
たくましくしたたか、中国の若者の人生設計
MBAを取得していた居酒屋バイトのインド人
働き者ゆえに追い出されたネパール人
日本人より優秀な偽装難民の労働者たち
永住権の大安売り?「日本版グリーンカード」
外国人が日本で会社を興すには?
したたかを絵に描いたような外国人経営者たち
浅草で着物屋になったフランス人
白タクをめぐるあれこれ
「帰化」と「永住者」はどう違う?
究極の目的は永住権を持って帰国すること!?
ハングリーで優秀な外国人労働者たち

第4章
「特定技能」導入で露呈した
日本の強みと弱み

新設された「特定技能」という制度
「日本人と同等以上の報酬」が採用をためらわせている
外国人を入れると賃金が下がる?
手厚い生活支援制度が雇用を阻む?
日本語という大きな壁
「技人国」も「留学生」も日本語に困っている? 
もう一つの大きな壁、英語
英語が通じないのは日本最大の弱みである
「技能試験」の怪 
お金をかけて技能試験をする必要があるのか
「特定技能」労働者は移民か?
日本政府の「移民対策」 
外国人は労働者であり消費者でもあるというあたりまえのこと 
永住への道は遠く険しい
日本は移民を受け入れるべきか
産業別受け入れ制限について
改正入管法は「出稼ぎ外国人保護法」?

第5章
外国人をめぐる諸問題

外国人の人権を考える
外国人をめぐる9つの問題
外国人の立場から問題をみてみると
万国共通の願いは、たくさん働いて稼ぐこと
世界一高度な社会保険こそ日本国の実力
ニホンゴハナシマセン、部屋は貸せません
「来た時よりも、もっと日本を好きに。」

第6章
「共生」への処方箋 ――私の考え

言われないから気がつかない、怒られないから直さない
日本人は本音を伝える必要がある
「共生」と「同化」のあいだ
カギは日本語にあり 
日本語が話せる外国人をもっと評価しよう
外国人が理解しやすい日本語を
外国人への日本語教育を充実させる 
外国人の子女も「義務教育」にすべき理由 
外国人のための教育制度は社会インフラである 

第7章
10年後の同僚は外国人ばかり?

外国人が同僚になり、上司になる日
労働者受け入れの新しい動き
ホワイトカラーの職種にも外国人が進出する
3ヵ国語が求められる時代
すでに進んでいる、外国人材の積極的採用活動
確実にやってくる、上司が外国人になる日
外国人を使えなければ仕事にならない
「出稼ぎ労働者」でなく「定住者」とその家族を受け入れた方がいい理由
「永住」より「帰化」を促す施策を 
難民の受け入れについて思うこと
外国人が私たちの国の一員になる

あとがき

略歴

細井 聡(ほそい・さとし)
1957年生。東京都出身。南山大学独文科卒。
さまざまな国のさまざまな外国人を受け入れ、彼らの就職や起業などの支援に携わり、現場の最前線で業務に当たっている行政書士(大江戸国際行政書士事務所)。大学卒業後、大手電器メーカーにて飲料メーカーへの販売促進業務に携わり10年勤務。1990年、起業して長年の夢であった音楽業界へ進出。音楽書籍の企画制作販売、海外アーティストのCD 制作や招聘などを手掛ける。2010年リタイヤ。2011年、東京電力福島原子力発電所のコールセンターにて賠償業務に携わることとなり、事業賠償の責任者として勤務。すぐに法律の重要性を思い知り、行政書士資格を取得、現事務所開業に至る。主業務は、企業からの依頼による外国人の在留資格取得業務、外国人の日本での起業支援、そしてこれらに伴う許認可、契約書等の作成。著作権が含まれる契約書を得意としている。ビザ免除国ではない国の人のビザ申請も引き受けている。
https://edopolis.jp

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