あなたのセックスによろしく 快楽へ導く挿入以外の140の技法ガイド
愛の国フランスで大ベストセラー!
ワンパターンなセックスはもうたくさん!
創造力に満ちた「これからの性」の話をしよう。
本書は「セックスは他者同士が体で行う最も親密な行為。だから、相手の心と体に敬意を持たなくてはならない」という基本姿勢のもとで書かれた、自分とパートナーの体とこころをもっと深く知るためのガイドブックです。
フランスで85万人のフォロワーをもつ(2021年5月現在)インスタグラムアカウント“ジュイサンス・クラブ”のポップなイラストと解説を書籍化。すべての人がより創造的で豊かなセクシュアリティを開花させるための考え方とティップスをお伝えします。
【フランスでの読者の声】
・下品にならずシンプルな説明。後ろめたさなどがまったくない、非常にオープンな本。
・自分たちの体について学び、テクニックを磨くための必読書! 一人でも、カップルで読むのもおすすめ。
・学生や高校生、ティーンの性教育として読ませたい。(女友達や姪など、周囲にプレゼントした)
・老若男女、ジェンダー、ヘテロor ゲイorバイなどの性的傾向も問わず、すべての人への愛に溢れている。
- 書籍:定価1760円(本体1600円)
- 電子書籍:定価1408円(本体1280円)
- 2021.5発行発行
ジュイサンス・クラブへようこそ
私の本を手に取ってくれて、どうも有難う。この本を選んだということは、あなたはとても誠実な人。だからきっと成熟した性生活と大きな祝福を得ることだろう。
「フェミニズム」とは決して下品な言葉ではないこと、そして、女性にも男性と同じだけの敬意が払われるべきだということを知ったのは、かなり遅くなってからだった。なにしろ、「女は運転がヘタだ」「女の子みたいな走り方をするな」「天才は男だと決まっている」「お母さんと一緒に片付けをしろ」といったセリフや女性蔑視の卑猥な冗談ばかりを浴びせられたので、女性はあらゆる面で男性より劣ると信じ込んでいたからだ。いいえ、それどころか、無意識にこの考えを広めてもいた。フェミニストを猛烈に非難することで……。「フェミニスト」になるなんて、考えもしなかった。「ヒステリー女」と呼ばれて馬鹿にされたいなんて、いったい誰が思う? でも、いまは確信している。これまで出会った男性たちもまた、家父長制の犠牲者だったのだと。こう思うと、深い苛立ちを感じることもままあるけれど……。
そう、だからこそ、戦うべきだ。叫んで、怒って、はびこっている社会通念を燃やしてしまうべきだ。いまの私は、戦う彼女たちを尊敬している。人が聞きたがらないことを敢えて声高に主張する、その勇気と力を賞賛している。私たちは大きなチームを組んで、それぞれのやり方で勝利を目指しているのだと思いたい。サッカーチームだったら、私のポジションはフォワードよりもミッドフィルダー。私には仲介役が向いている。怒りにやさしさと好意を結びつければ、どんな相手でも考え方を変えさせることができると信じているから。私はフェミニストとして、すべての人の善意と知性を信じている。それに、私たちが力を合わせなかったら、どうやって難局を乗り切ることができるだろう? だから私のフェミニズムは、女性のためだけの戦いではないし、女性だけによる戦いでもない。時と共に変化したので、いまは「ヒューマニズム」と呼んだほうがいいかもしれない。はっきり言えるのは、フェミニストとは、あらゆる形の差別と戦う存在だということ。シスジェンダー* のためだけに戦っているわけじゃない。(ところで、シスジェンダーという言葉を知っている? もしもあなたが、生まれつきヴァルヴァ[外陰部]をもっていて、割り当てられた「女性」という性を認めているならば、つまり、あなたは女性のシスジェンダー)。戦いに序列をつけたくもない。すべての戦いが重要なのだから。それを認めなかったら、あるカテゴリに属する人たち(この場合は、性的マイノリティ)はいまだに、そしてこれからもずっと劣っていることになってしまう。それは絶対にダメ!
そんな考え方はしたくない。「そういう主張はまだ早い」とか「優先順位が低い」とか「もっと差し迫った問題がある」などと言って、マイノリティの人々から目を背ける人間の仲間にはなりたくない。
間違えたり失敗したりしながらも、私は少しずつ、「人間」を優先することを学んでいる。この「人間」とは、一定のカテゴリに属する人間を指すのではなく、広い意味での単なる「人間」のこと。どんな人でも結局は「不平等」という同じ相手と戦っているのだから。
ところで、本書ではなるべく「男性」「女性」という言葉を使わないようにした。《世の中は男性と女性の二つの性からできていて、ペニスがあるのが男性で、ヴァルヴァがあるのは女性だ》と思いたがる人が大多数だとしても、この社会にはインターセックス* やトランスジェンダー* やXジェンダー* やジェンダーフルイド* やジェンダーレス* やこれらの複数に属する人たちがいるからだ。もっとも、この多様さに私たちの習慣がついていけずにいるけれど……。トランスジェンダーの人たちが目立たないとしたら、それはマイノリティだからであって、存在しないからではない。そのことを忘れないで。私はすべての人に、おだやかな気持ちでこの本を楽しんでほしい。だから、「ペニスを持つ人」とか「ヴァルヴァを持つ人」とかいった表現を使うことにする。わかってくれた?
そしてフェミニズムに対するのと同じくらい、私が情熱を傾けているのが、「セックス」。恥ずかしいと思わずにこう言えるようになるには、随分時間がかかってしまった。というのも、世間では、セックスが好きな女性はふしだらで淫乱で感染症にかかっているとみなされるから。でも、この考えは間違っている。私は梅毒にかかったことは一度もないけれど、かかったとしても、そのことで絶望するつもりはない。でも、感染症の話はここまで! 皆さん、あまり関心がなさそうだから。とにかく、ここまで読んでくれたのだから、この本が何を語っているのかはわかってくれたはず。それでは先に進みましょう。
目次
あなたのセックスによろしく
さあ、セックスしましょう
おわりに
略歴
JÜNE PLÃ
マルセイユ出身。オンラインゲームのキャラクターデザイナーをしている。何よりも好きなものはセックスと2000 年代R&B。問題は、ずいぶん前からセックスが単調になっていたことと、「♯MeToo」運動のさなか、R.ケリー*にひどく失望させられたこと。これを解決するにはどうすればいい? R & B については、まだデスティニーズ・チャイルド* がいるから大丈夫。でも、セックスに関しては、挿入だけが人生ではないことをパートナーたちにわからせるには、絵を描くほかに手段がなかった。そこで、イラスト付きの考察をインスタグラムに投稿したところ、これが大変な人気を呼んだ。1年半で、インスタグラム“ジュイサンス・クラブ” が獲得したフォロワーはなんと30 万人! つまり、みんなが悩んでいたということ?
翻訳者
吉田良子/よしだ・よしこ
監修者
高橋幸子/たかはし・さちこ
装丁・本文デザイン:月足智子
校正:円水社