1つでもあてはまるものがある人は、ぜひこの本を読んでノウハウを実践してほしいと思います。そして、7つすべてあてはまる人も心配無用。決して深刻な状態ではなく、行動パターンを少し変えるだけで改善できるでしょう。
書店には、話し方や会話術の本がズラリ並び、コミュニケーションをテーマにした講演・セミナーも頻繁に行われていますが、これらはいずれも「積極的に話しかける」タイプのものばかり。デジタルコミュニケーションが主流となり、よりシャイになった現代人にはハードルが高いものなのです。
そこでこの本は、「『無言』か『ひと言』のみで会話を盛り上げ」て、「相手から好かれる」というコンセプトで書きました。会話はよいスタートが切れて、1度でも盛り上がることができれば、成功したも同然。決して積極的に話しかけたり、冗舌に話し続けたりする必要はないのです。
「話しかける」より「話しかけられた」ほうがうれしい
日ごろ私はコミュニケーションに関わるさまざまな相談を受けていますが、ここ数年間、会話に関する執筆や相談依頼が増えています。しかもその大半が、「何を話したらいいかわからない」という〝自分から話しかけられない人〞をターゲットにしたものでした。
自分から話しかけられない人たちは、口をそろえるように「うまく話す自信がない」「嫌な顔をされたくない」と言いますが、それも仕方がありません。
そもそもほとんどの人は、「自分から話しかけるより、相手から話しかけられたい」「そのほうが気楽だし、うれしい」と思っているからです。
また、最近は「見たいものを見たいときに見られる」「ほしいものをほしいときに買える」など簡単な手続きや安価で、希望がかないやすい時代になりました。そのため人間関係においても、「どうしても手に入れたいもの」=「わざわざ話しかけてまで仲よくしたい人」と思えなければ話しかけられるのを待つだけ、という受け身のスタンスを取る人が多数派になっています。
しかしそれは見方を変えれば、「お互いに〝話しかけやすい状況〞を作れていない」というだけ。その状況さえ整えば、どちらからともなく話しかけられるし、笑顔のまま会話が進んでいくものです。もちろん、ただ待っているだけではダメなのですが、無理に頑張って話しかける必要はありません。
この本に書かれているのは、どれも簡単で「誰でも」「今すぐ使える」シンプルな方法ばかり。もしあなたが「周りの人から話しかけられたい」と思っているのなら、迷わずこの本の方法を使ってみてください。
話が上手くなるほど嫌われる
数えきれないほどの会話本がある中で、こちらを手に取ったあなたは賢い人。その理由は、「どんなに話が上手くなっても、人から好かれることにはつながらない」からです。
話の上手い人とコミュニケーションの上手い人は、似ているように見えて、実はまったくの別物。話の上手い人は〝伝達能力の高い人〞である一方、コミュニケーションの上手い人は〝人から好かれる人〞であり、大きく異なるのです。
たとえば、あなたは話の上手い人を好きでしょうか? それとも「話は上手いけど、どこか好きになれないな」と思ったことはないでしょうか? あるいは、話の上手い後輩をかわいがっていますか? 話の上手い上司に気を許せますか?
実際のところ、話が上手くなればなるほど、「思っていたほど好かれない」どころか、「何かいけ好かない人」と思われるなど、好感度は下がっていくのです。
そんな話の上手い人よりも好かれるのは、感じのいい人。決して話の上手さでも、ましてや口数の多さでもなく、「思わず話しかけたくなる」「あなたとは気持ちよく話せる」という人なのです。
特にネットでのコミュニケーションが増えた今、最も必要とされているのは、〝うまく話すための会話スキル〞ではなく、〝円満な関係を築くためのコミュニケーションスキル〞。もともと会話は両者をつなぐコミュニケーションツールの1つですが、このスキルに格差があると心の距離は遠くなってしまうので、あまりテクニックを身につけすぎないほうがいいのです。だからこそこの本は、円満な関係を築くためのノ
ウハウに絞って書きました。
どんなに話が上手くなっても、周りの人から好かれないのであれば意味がありません。だからこそ、みなさんには、話の上手い人ではなく、コミュニケーションの上手い人になってほしいと思っています。
「口ベタの人こそチャンス」の時代
コミュニケーションの上手い人になるためには、必ずしもあなたが話す必要はありません。前項で書いたように、むしろ話すほど嫌われるリスクが高くなるので、あまり話さないくらいのほうがいいのです。
ゆえに、もし今あなたが自分自身を「口ベタ」と思っていたとしても問題ありません。この本に書かれた88のノウハウは、いずれも「無言」か「ひと言」のみのシンプルなものばかり。「自分にできるかな」と不安を感じることも、「覚えなきゃ」と力む必要もなく、ただ実践するだけで、周りの人から〝好かれて話しかけられる人〞になれるのです。
周りの人から好かれて話しかけてもらえるようになれば、当然会話の機会は増え、公私を問わず笑顔やチャンスの数が増えるでしょう。
「人に好かれようとする」と書くと、「あざとい」と感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。人間の脳には、「自分のことを好きになってくれる人を好きになる」という〝好意の返報性〞があるため、「相思相愛のムードで話しやすくなる」極めて理にかなった方法なのです。
既存の会話本は、「会話上手と思われたい」「言葉で相手をコントロールしたい」という自己顕示欲をベースにしたものばかり。「みなさんそんな人になりたいのかな?」「そんな人とは仲よくなりたくないのでは?」、長年そんな違和感を覚えていた私はようやくこの本を書くことができました。
大事なことなので、もう1度言わせてください。
「会話なんて上手くなくてもいいんだよ」
「上手くなりすぎると、むしろ好かれないよ」
あなたの人生が、多くの人々に囲まれて、笑顔であふれたものになるように、少しでも役立てばいいなと願っています。