ヒキガエル君、カウンセリングを受けたまえ。
他人の期待に応えるのではなく自分の生きたい人生を始めるために。ヒキガエル君と一緒に本書のカウンセリングをぜひ体験してみてください。英国でベストセラーになったカウンセリング入門の古典、待望の邦訳!
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 2014.08発行
内容
英国で子ども向けの古典としておなじみの物語“The Wind in the Willows”(邦訳『たのしい川べ』)の「後日譚」という形をとった、読んで楽しいカウンセリング入門。
わがままで好奇心旺盛なヒキガエルがすっかり落ち込んでしまい、仲間のモグラ、ネズミ、アナグマが、彼にアオサギのカウンセリングを受けさせる。10回にわたるセッションで、ヒキガエルはどう変わっていくのか――
愉快なキャラクターたちの物語を楽しみながら、スリリングなカウンセリング体験ができるユニークな1冊。
【英国でベストセラーになったカウンセリング入門の古典、待望の邦訳!】
●登場キャラクター
ヒキガエル:気まぐれでうぬぼれ屋。親から受け継いだ屋敷に住む資産家。
『たのしい川べ』では自動車泥棒をして捕まるが、洗濯婆さんに化けて脱走。あの手この手で追手を逃れて川辺に戻ったはいいが、今度は屋敷がイタチたちに乗っ取られ、アナグマをリーダーに仲間たちと力を合わせて屋敷を奪還。これまでの行いを反省する。
モグラ:おひとよしで世間知らず。
ネズミ:友だち思いだが少々お節介。
アナグマ:社交嫌い。いざというとき頼りになるが、話が冗長。
アオサギ:カウンセラー。本書でヒキガエルと10回のセッションを行う。
目次
1 打ちひしがれたヒキガエル
2 持つべきものは友?
3 カウンセラーとの初顔合わせ
4 なぜヒキガエルは落ちこんでいるのか
5 “自然な子ども”と“順応した子ども”
6 ヒキガエル、幼少時代と向き合う
7 「怒り」について考える
8 アナグマ氏の不意の来訪
9 不安と混乱、そして“批判的な親”
10 ネズミの家で昼食会
11 ヒキガエル、“成人の自我”と出会う
12 テオフィロス・ヒキガエル、真実の歴史を語る
13 幼少期、人生の脚本、四つの立場
14 勝者のいない「ゲーム」
15 最後の面談
16 別れ、そして新たな旅立ち
訳者あとがき
巻頭文
『たのしい川べ』(ケネス・グレーアム作、石井桃子訳/岩波少年文庫)の言わずと知れたキャラクター、ヒキガエルは、ひどく意気消沈していて、親友のネズミとモグラとアナグマは、ばかげたまねをするのではないかと案じている……。
三人はまずヒキガエルを優しく介抱し、次に力強い励ましの言葉をかけ、その後、めそめそしないでしゃんとしたまえと叱り飛ばした……。ついには、アナグマが怒りを爆発させた。だれもが一目置くアナグマは、説教が長く、気が短い。「いいか、よく聞くんだ、ヒキガエル。我慢にも限度ってものがある」アナグマは厳しい口調で申し渡した。
「残る道はたったひとつ。カウンセリングを受けるんだ」
川辺の生きものたちを描いた『たのしい川べ』の続編とも言えるこの作品では、ヒキガエルと彼の友人たちが再び生き生きと動きだし、カウンセラーのアオサギは、交流分析の用語と概念を用いてカウンセリングを行う。面談は十度におよび(本書の十章分)、ヒキガエルはアオサギとの対話を通じてみずからの気分を分析し、自分の感情を上手にコントロールする能力、つまり、心の知能を向上させるすべを学んでいく。その過程で“怒れる子ども”と出会い、“成人”と向き合ったヒキガエルは、本書が結びを迎えるころにはかつての活気をとり戻して、心機一転、新しい冒険に乗りだしていく。
ヒキガエルのカウンセリング体験を魅力的な物語に仕立てあげた本書は、カウンセリングとカウンセリングの手法に関心を寄せる方々のために書かれました。ヒキガエルと一緒に学びながら、読者も自分自身に対する理解を深め、心理的な成長・進化への道を歩み始めるでしょう。
略歴
[著者]
ロバート・デ・ボード Robert de Board
イングランド中部の町、ヘンリー・オン・テムズを拠点に活動するカウンセラー。ヘンリー・マネジメント・カレッジの客員教授も務める。著書にCounselling Skills, The Psychoanalysis of Organizationsがある。「ヒキガエルの経験は、カウンセリングの専門家としてひとびとと向き合ってきたわたしの20年におよぶ実体験に基づくものです。実際、Counselling for Toads(本書)は、わたしが関わった数多のカウンセリングの融合物であり、そこには現場で学んだまぎれもない真実が含まれているのです」
[訳者]
水野 恵 みずの・めぐみ
1970年北海道生まれ。翻訳家。インターカレッジ札幌にて翻訳を学ぶ。英米の娯楽小説を主として翻訳。訳書にアンドリュウ・ガーヴ『殺人者の湿地』、パトリック・クェンティン『巡礼者パズル』、『悪魔パズル』、C・S・J・スプリッグ『六つの奇妙なもの』(以上論創社)、ロバート・リテル『CIA ザ・カンパニー』(共訳、柏艪舎)などがある。札幌市在住。
●カバー・扉イラスト/井上まさこ
●装丁/轡田昭彦+坪井朋子
●編集協力/企画JIN(清水栄一)