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ハーバードの自分を知る技術 悩めるエリートたちの人生戦略ロードマップ

ハーバードの自分を知る技術

学生や社会人が、今日も悩み相談に訪れる。就活、転職、人間関係、昇進……。「自分は何がしたいのか、本当にわかっていますか?」ハーバード・ビジネススクールの“キャリア相談室長”が教える、“ハーバード流”人生戦略の立て方。

  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 2014.07発行
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内容

ハーバード・ビジネススクールの
“キャリア相談室長”が教えます

就活、転職、人間関係、昇進……

「自分は何がしたいのか、本当にわかっていますか?」

あなたにとって「成功」とは何ですか?
それをどうやって手に入れますか?

ゴールドマン・サックスで副会長まで務めた
ハーバード・ビジネススクール教授。
学生や社会人が
ひっきりなしに訪れる彼の部屋は、
さながら“キャリア相談室”だ。

個人の成長、人間の可能性、
リーダーシップについて研究してきた
ロバート・スティーヴン・カプランは、
『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に
これらのテーマで寄稿もしている。

誰にだって
「どうしていいかわからない」ときがある。
“ハーバード流”の人生戦略の立て方、
お教えします。

「ロバート・カプランは長い間、企業幹部や若いプロフェッショナルのメンターやコーチを務めてきた。彼以上にコーチングに優れた人はいない。自分をよく知り、潜在能力を発揮しようとする人にとって、この本は最良のガイドとなるだろう」
―― ヘンリー・ポールソン
(元米財務長官、元ゴールドマン・サックス会長兼CEO)

まえがき(抜粋)

「成功」とは何でしょうか? あなたはどうやって夢をかなえるつもりですか?
 成功とは、次々とすばらしい実績を積み上げることですか? 桁外れの財産、身分、地位、権力を手に入れること? あるいは両親、家族、友人を喜ばせることでしょうか?
 私がこの本を書いたのは、これらの問いについて考えるためであり、あなたが自分の願いをかなえられるよう、道筋を作るためでもあります。
 私は三〇年以上、このテーマに取り組んできました。そうして確信したのは、あなたの願望を成就するカギは、「成功する」ことではない、むしろあなたにしかない潜在能力を引き出すことだ、ということでした。
 そのためには、周囲が〈成功〉だと言うものを鵜呑みにせずに、あなたが自分で〈成功〉とは何かを定義する必要があります。
 この道筋をたどるのは容易ではありません。というのも、この道筋を進むには、自分を知らなければならず、また仕事や人生に関する一般常識や他人の意見をシャットアウトする必要があるからです。
 あなたが自分の納得のいく選択をすると、家族や恋人、友人、同僚からバカにされるかもしれません。周囲の心配(または反対)をかわす鈍感力を身につけた方がいいでしょう。
 この本では、常識とは異なる道筋を紹介します。最終的には、この道筋の方がより充実感を得られると私は信じています。私は、多くの人に対して、それぞれの潜在能力を引き出せるよう指導・アドバイスしてきました。この道筋は、私が指導するなかで得た教訓と私自身が仕事や人生で体験したことをベースにして作ったものです。
 この方法を実践するには勇気と努力が必要です。実践したからといって、明白な答えが得られるわけでも、目的地にたどり着けるわけでもありません。それどころか、一生階段を上り続けなければなりません。また、今までとは違った思考様式を習得し、新しい習慣を身につけることも必要です。
 私がはじめてこのテーマについて話したのは、金融業界で企業経営に関わっていたときのことでした。二〇年以上にわたって、私は世界各地で多くの事業を主導しました。困難な状況に何度も直面し、さまざまな人を管理し、アドバイスを提供しました。
 こうした体験を通して、私はリーダーシップの役割、個人の成長、人間の可能性というものについて、深い洞察を得るようになったのです。
 二〇〇五年の秋にハーバード大学の経営学部に赴任すると、私はこれらのテーマを体系的に考えるようになり、また教えるようになりました。『ハーバード・ビジネス・レビュー』の二〇〇八年七~八月号に、このテーマに関する論文も寄稿しました。
 すると、この論文を読んでその実践方法に興味をもった人たちから、電話やメールが来たり、訪問を受けたりするようになりました。
 二〇〇九年には、ハーバード・ビジネススクールで「本物のリーダーとは」という講座を教えることになりました。
これはメドトロニック社の元CEO、ビル・ジョージが、その名著『リーダーへの旅路─―本当の自分、キャリア、価値観の探求』(邦訳・生産性出版)を基に創
設した講座です。
 この講座をもったことで、私の思想はよりはっきりと形作られ、さらにはリーダーシップを発揮する活動やアドバイスにも深みが増すようになりました。

誰もが唯一無二の存在

 置かれている状況とは無関係に、人間にはその人にしかないスキルや個性があります。これまでの人生、長所、短所、夢、悩みもそれぞれ違います。
 だとしたら、理想の道も人それぞれ違うと思いませんか? なぜ私たちは他人をまねるのですか? 画一的に定義された〈成功〉をめざすのはなぜですか?
 あなたの知り合いのなかで、人と違う道を選んだ人を思い浮かべてください─会社を立ち上げた人、儲かりそうにないキャリアに足を踏み出した人、非営利団体に就職した人、「流
行っている」企業や「かっこいい」企業など気にせずに就職先を選んだ人など。
 こうした人たちの多くは無名の存在です。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのように、類希な成功者としてビジネス誌の表紙を飾る人もいますが、彼らが大学を中退してガレージで事業をはじめたときは、誰も彼らを応援しようとはしませんでした。
 彼らはなぜ勇気を出して人と違う道を選ぶことができたのでしょうか? きわめて有能だったので、どんなキャリアを選ぼうが絶対に成功すると確信していたのでしょうか? それとも、特殊な習慣と思考様式を身につけていたので、直感に従って行動できたのでしょうか?

あなたが生まれもった使命とは?

 ある思考様式を身につけ、特定の行動が取れるようになれば夢を実現しやすくなると、私は確信しています。
 自分に対する理解が深まる習慣、能力アップにつながる習慣、信念を貫き通しやすくなる習慣もあります。さらに、人生やキャリアを切り開くのに役立ちそうな方法もあります。
 この本は、物質的な豊かさ、地位、権力を手に入れるための指南書ではありません。
これは、自分自身を発見するための本です。自分のスキルを認識したり、自分を再発見したり、何がやりたいのかを見極めたりするのを手助けするための本なのです。
 各章では、演習を伴うプロセスを紹介します。これはスピリチュアルなプロセスではありませんし、一般的な回答や安易な解決策を提供するものでもありません。精神科医や心理学者のようなメンタルヘルスの専門家によるサポートの代わりにもなりません(メンタルヘルス関連のサポートが必要だと思う方は、専門家に相談することをお勧めします)。
 目的はむしろ、あなたの自己啓発系の筋肉を鍛え、新しい筋肉をつけるのをサポートすることです。

潜在能力を発揮するために

 私の前著What to Ask the Person in the Mirror: Critical Questions for Becoming a More Effective Leader and Reaching Your Potential(鏡のなかの自分に訊く―─優れたリーダーとなり、潜在能力を発揮するための質問力)のときと同様に、本書でも読者は自分に問いかけ、たくさんの演習を行うことになります。
 前著では、影響力の強いリーダーとなって組織を改善するには、何を自問すればいいかを解説しました。この本では、あなたが自分自身への理解を深めて独自の潜在能力を引き出すには、何を問いかけ、どんな行動を取ればいいかを考えます。
 繰り返しますが、これは多くのお金、高い地位、大きな権力を得るためのノウハウを伝授する本ではありません―─もっとも、本書が指し示す道筋をたどると、結果的にそうなるケースが多々ありますが。
 この本の目的はむしろ、あなた個人の成長を促し、充実感を味わい続けられるような道筋を築き上げることなのです。
 本書は8章から成り、その全体像は図1-1のような構成になります。各章の内容は以下の通りです。

〈中略〉

この先の道のりについて

 あなたの目標を達成する正しい道は一本だけではありません。
 誰もが、たくさんの道筋をもっています。世界は絶え間なく変化し、人生はしばしば何段階にもわたって展開します。世界が進化する一方で、私たち自身も学び、成長し、能力を伸ばし続けていけば、私たちの潜在能力も進化していくでしょう。
 潜在能力を発揮することは、ただの夢でも理想でもありません。それは特定の行動、訓練、規律、勤勉さが求められるプロセスなのです。そのプロセスは困難ではてしなく続きますが、やり甲斐のあるものです。
 私は願っています―─あなたがこのプロセスには価値があると気づいてくれることを。それからこのプロセスが、あなたの人生とキャリアに大いなる満足感と充実感をもたらしてくれることを。

目次

まえがき
――あなたの潜在能力を引き出すために

誰もが唯一無二の存在
あなたが生まれもった使命とは?
潜在能力を発揮するために
この先の道のりについて

第1章
あなたが生まれもった使命
――はじめの一歩

就活で職業選択に悩む、ある大学院生の話
壁に直面した、ある営業課長の話
あなたの成功を定義するのは誰か
あなたの基準を定めるのは誰か
責任をもって人生の選択をしていますか
五つのルール

第2章
自分の長所と短所を知ろう
――自分の能力は自分で伸ばす

なぜ自分の長所や短所は気づきにくいか
自分の短所がわからない、ある会社員の話
具体的なスキルについて話す
スキルのチェックリストを作る
「しない」のか「できない」のか
仕事で求められるレベルを基準に評価する
求められる能力は時と共に変わる
今すぐスキル評価をはじめよう
すべてをそつなくこなす必要はあるか
コーチングはなぜ必要なのか
なぜコーチングをあまり行わないのか
出世した途端に評価が下がった、あるCEOの話
スキルのミスマッチをどうするか
上司に相談して難局を乗り越えた、ある若者の話
すべてにおいて万能である必要はない
ボランティア活動でスキルを磨こう
あなたが責任をもってやるべきこと

第3章
あなた本当にやりたいこと
――夢をみよう

あなたは何に情熱を抱いているか
ジレンマを抱えた、ある医師の話
新しい筋肉を鍛える演習
職業選択に悩む、ある優柔不断な学生の話
メンタルモデルを使う
治療法を探し求める、ある三人姉妹の話
妥協という問題
うまくいかないのはなぜか
夢をもとう

第4章
自分を理解しよう
――心の声の影響力について

第一段階:自分史を書く
第二段階:勝者の口調と敗者の口調で書く
第三段階:心の声の影響力を理解する
親の期待に応えようとする、ある女性の話
あなたの場合はどうですか
不当な目に遭った体験を思い出す
納得いかない体験をした、あるTVプロデューサーの話
ベストな自分を思い出す
仕事にうんざりした、あるシェフの話
自己認識と「ねばならない」という意識
自己認識の役割

第5章
チャンスを活かす方法
――仕事力とキャリアマネージメント

理想の仕事について考えていますか
非現実的なキャリアをめざした、ある男性の話
理想の仕事を人に話すことの大切さ
南米でのキャリアを夢見た、ある女性の話
計算高い奴だと思われないだろうか
三つの最重要タスク
プロダクト・マネージャーに昇進した、ある男性の話
仕事で求められる役割が変わっていませんか
時代に取り残された、ある営業マンの話
紙に書く演習
あなたの進路を阻めるのはあなただけ
失敗に対処する方法を学ぶ
不当な扱いに対処する
判断を急いではいけない
頭のなかの時計を意識する
選んだ仕事で最善を尽くす

第6章
〈優秀な人〉と〈一流の人〉の違い
――品格とリーダーシップ

潜在能力を発揮したがった、あるスター社員の話
ふさわしい思考様式(マ インドセット)とは
リーダーシップとは何か
信念はなぜ重要なのか
意見を言わなかった、あるアシスタントの話
「これは私の仕事ではない」本当にそうですか
経営者マインドの威力
地位が高くなっても自分を見失わないこと
保身をはかるようになった、ある店長の話
価値観、境界線、独自の哲学
品格とリーダーシップ

第7章
人間関係の重要性
――すべてを一人でやることはできない

道徳的な過ちを犯しそうになった、ある男性の話
関係とは何か
信頼関係を築いていなかった、あるCEOの話
人間関係力を鍛える演習
コミュニケーション手段を選ぶ
関係構築に苦労する、ある営業マンの話
あなたはどんなサポートを求めているか
会社を辞めたくなった、ある共同経営者の話
サポートグループを作る
人間関係の穴を見つける
人に相談しにくいときは
次なるステップ
人との関係は時と共に進化する
潜在能力を発揮するのに人間関係は欠かせない

第8章
なりたい自分に近づくために
――それぞれの道を歩む

道は他にもある
この本のテーマはあなたです
前進する
あなたの潜在能力を引き出す
次なるステップ
最後に

謝辞

略歴

[著者]
ロバート・スティーヴン・カプラン
Robert Steven Kaplan

 
ハーバード・ビジネススクール教授、上級副学部長。他にも、インダバ・キャピタル・マネージメント社の共同設立者にして現会長、ドレイパー・リチャーズ・カプラン基金(ベンチャー・フィランソロピー企業)の共同議長を務める。カンザス州出身。カンザス大学で学士号を、ハーバード・ビジネススクールでMBA を取得した。
 
専門は経営実務。ハーバード大学のMBA プログラムではさまざまなリーダーシップ講座を担当しており、管理職向けのプログラムでも教えている。著書に、What to Ask the Person in the Mirror: Critical Questions for Becoming a More Effective Leader and Reaching Your Potential (ハーバード・ビジネス・レビュー・プレス、2011 年)がある。ハーバード・ビジネススクールのリーダーシップ関連のケースを数多く執筆。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌で発表した2 本の論文“What to Ask the Person in the Mirror”と“Reaching Your Potential”は高い評価を受けた。
 
2005 年にハーバードで教鞭を執りはじめる前は、ゴールドマン・サックスに22 年間勤務し、さまざまな管理職を歴任。副会長としてグローバル投資銀行部門と投資運用部門の監督責任を担った。また、同社で若手リーダーの育成にも尽力している。副会長になる以前は、グローバル投資銀行部門の共同部長、コーポレート・ファイナンス部部長、アジア太平洋投資銀行部門(拠点は東京)部長として活躍。1990 年に同社のパートナー(共同経営者)となり、現在もシニア・ディレクターとしてとどまっている。
 
一方で、非営利団体や地域団体でも幅広く活躍。ハーバード・ニューロディスカヴァリー・センターでは諮問委員会の初代副委員長を務めた。他にも、〈プロジェクトALS〉会長、TEAK フェローシップ初代共同会長、フォード財団理事などを務めている。また、米大手金融機関ステート・ストリートの取締役、グーグルの投資顧問委員会委員長を務める他、数多くの企業に顧問として携わっている。
 
キャリアを通じて、若手から中堅まで、数多くのプロフェッショナルのコーチングを行ってきた。現在では“キャリア相談室”さながらに、学生だけでなく社会人までもがハーバード大学のカプラン教授の部屋を訪れ、キャリアや人生について相談を行っている。
 
[訳者]
福井久美子(ふくい・くみこ)
 
英グラスゴー大学大学院英文学専攻修士課程修了。英会話講師、社内翻訳者を経て、現在はフリーランス翻訳者。主な訳書に『最強スパイの仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『バビロンの大金持ちの教え』(PHP 研究所)などがある。

●装丁/宮﨑謙司、加納友昭 lil.inc(ロータス・イメージ・ラボラトリー)
●校閲/円水社