オーケストラ・モデル 多様な個性から組織の調和を創るマネジメント
強烈な個性をもつ音楽家たちの集団=オーケストラでは、摩擦や緊張は日常茶飯事。だが、いざ本番となれば全員が心を一つにする。リーダーたる指揮者は、どのようにして彼らをまとめるのか。指揮者にして経営コンサルタントの著者が説く、オーケストラ式チーム理論。
- 書籍:定価1870円(本体1,700円)
- 2014.06発行
内容
明確な役割とヒエラルキー、
揺るぎないリーダーシップ、
全員が同じゴールを追う意識。
強烈な個性をもつ音楽家たちの集団=オーケストラでは、摩擦や緊張は日常茶飯事。だが、いざ本番となれば、リーダーの指揮のもと、全員が心を一つにして同じ目標へ向かって全力を尽くす。なぜ、企業ではそれができないのか。なぜ、彼らにはそれができるのか。リーダーたる指揮者は、どのようにして彼らをまとめ上げているのか。
演奏家として指揮者として、複雑なオーケストラ組織を知り尽くし、プロデューサー、経営コンサルタントとしてビジネス現場でも活躍する著者が説く、オーケストラ式チーム理論。
「はじめに」より
書評
――ロルフ・ドベリ(『なぜ、間違えたのか?』著者)
経営に関するハウツー本といえば、教師ぶって上から教えようとするものが圧倒的に多いのだが、この本はそうではない。それが新鮮な喜びだった。
著者クリスティアン・ガンシュは、オーケストラの日常業務をいきいきと描写しながら、自分のやり方を反省して、いろいろな方法を試す方向に読者を導く。著者は一流の音楽家、指揮者としてヨーロッパ諸国で長年にわたって活躍した。その経験を活かして、多くの著者仲間よりもはるかにビジネス界の現実に肉迫している。
オーケストラには、リーダーシップについて学べることが本当にたくさんある。この手のハウツー本が次から次へと出される時代にあって、珠玉の著書といえるだろう。経営管理についての誤った考え方を、ガンシュが打ち崩してゆくのは小気味がよい。ステージに立って指揮するかのように、読者を情熱的に導く。彼が重視するのは、チームワーク、真の実力、インスピレーションといったテーマだ。
彼の描くオーケストラの日常業務はとにかく面白い。そして、そこに彼なりの論証をはめ込んでいく。
実業家にしろ、経営者にしろ、企業内のリーダーにしろ、リーダーシップやコミュニケーションをこれまでとはまったく異なる観点から見たいという人に、ぜひ読んでもらいたい本だ。
目次
オーケストラのグループ力学
3 理想のチームワーク
平等はありえない
4 指揮者のマネジメント術
指揮者の役割とは
5 インスピレーション、そしてイノベーション
はじめに(抜粋)
略歴
[著者]
クリスティアン・ガンシュ Christian Gansch
1960年、オーストリア生まれ。指揮者としてイギリスBBC交響楽団、ドイツ交響楽団、ロシア・ナショナル管弦楽団、NHK交響楽団など、多くの国際的管弦楽団でタクトをとる。81〜90年はミュンヘン交響楽団の主席指揮者。またドイツ・グラモフォンの音楽プロデューサーとして、ピエール・ブレーズやクラウディオ・アバド、アンナ・ネトレプコ、庄司紗矢香など世界的アーティストと190枚以上のCDを制作し、4度のグラミー賞ほか数々の賞を受賞。2003年、音楽とビジネスという2つの世界で培った経験をもとに、経営コンサルタントとしての活動を開始。ヨーロッパやアメリカの多くの大企業に、オーケストラにおけるコミュニケーションとメンバーのもつ独特の意識を、企業構造に生かす方法を説いている。講演やセミナー活動も積極的に行い、本書のほかに2冊の著書がある。
[訳者]
シドラ房子 しどら・ふさこ
新潟県生まれ。武蔵野音楽大学卒業。翻訳家。主な訳書に『愛する家族がガンになったら』(講談社)、『名もなきアフリカの地で』(愛育社)、『運命には法則がある、幸福にはルールがある』『ヌードルの文化史』(柏書房)、『縮みゆく記憶』『絵画鑑定家』(武田ランダムハウスジャパン)、『その一言が歴史を変えた』『元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術』『元ドイツ情報局員が明かす 心を見透かす技術』(阪急コミュニケーションズ)などがある。
●装丁/岡本健+