アステイオン80
特集「第一次大戦100年」中西 寛/エリック・ゴールドスティン/戸部良一/藤波伸嘉/ヤン・シュミット/山田登世子 [論考]野中尚人/遠藤晶久+ウィリー・ジョウ/三浦雅士 [座談会]鷲田清一+佐々木幹郎+山室信一 [連載]「リズムの哲学ノート」山崎正和ほか
- 書籍:定価1100円(本体1000円)
- 2014.05発行
内容
特集 第一次大戦100年
ちょうど100年たったから何だというのか。
99年や101年とどこが違うのか。
それでも、あの大戦による破壊と影響の巨大さを考えれば、
改めてその意味をかみしめるのに
100年の歳月が必要だったのかもしれない。
それはかみしめることのできる過去、
つまり「歴史」となったことを
100年の区切りは象徴しているのかもしれない。
進歩の最先端にあると自負していたヨーロッパは、
これによって空前の人的・物的破壊を経験した。
四つの伝統ある帝国、ロシア、ハプスブルク、ドイツ
そしてトルコが、地球上から消滅した。
文明としてのヨーロッパそのものが、深い懐疑に沈んだ。
そしてヨーロッパで始まったあの大戦だが、
世界の人々の運命を大きく変えた。
もちろん日本人も例外ではない。
その後100年、人類は教訓を学ぼうとし、
多くの試みを繰り返してきた。
改めて100年前の大惨禍を想い、
断罪も正当化も超えた何かを探ってみよう。
あの大戦は意外にまだ我々の身近にあるのかもしれないのだから。
目次
●特集 第一次大戦100年
「再臨、あるいは失われた可能性の時代」
・・・・・・中西 寛(京都大学大学院法学研究科教授)
「『ホットライン』なき世界の戦争」
・・・・・・エリック・ゴールドスティン(ボストン大学国際関係学部教授)
「欧洲大戦と日本のゆらぎ」
・・・・・・戸部良一(帝京大学教授)
「オスマン帝国の解体とヨーロッパ」
・・・・・・藤波伸嘉(津田塾大学国際関係学部准教授)
「第一次世界大戦下日本の報道と『戦後』論」
・・・・・・ヤン・シュミット (ドイツ・ルール大学講師)
「女たちのモード革命」
・・・・・・山田登世子(愛知淑徳大学メディアプロデュース学部教授)
●論考
「『自民党システム』の形成と特質─リーダーシップを妨げるもの」
・・・・・・野中尚人(学習院大学法学部教授)
「若者にとっての『保守』と『革新』─世代で異なる政党間対立」
・・・・・・遠藤晶久(早稲田大学政治経済学術院助手)&ウィリー・ジョウ(筑波大学人文社会系非常勤研究員)
「芸術終焉理論は正しいか?──アーサー・ダントを悼む」
・・・・・・三浦雅士(文芸評論家)
●写真で読む研究レポート
「芝居町道頓堀をCGで描く」
・・・・・・ 藪田 貫(関西大学大阪都市遺産研究センター長・文学部教授)
●グラヴィア 地域は舞台
「芸術家の美意識と地域文化との融合─イサム・ノグチ庭園美術館」
・・・・・・桑田瑞穂(写真家)
●世界の思潮
●時評
「『徳川文明展』の構想」
・・・・・・芳賀 徹(静岡県立美術館館長)
「美人の顔」
・・・・・・高階秀爾(大原美術館館長、西洋美術振興財団理事長)
「第一次大戦の亡霊─歴史的アナロジーという誘惑 」 ・・・・・・細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
「『芸術作品』をめぐる虚実皮膜の間―『佐村河内事件』の一側面」
・・・・・・渡辺 裕(東京大学文学部教授)
「柿の不幸」 ・・・・・・藤森照信(工学院大学建築学部教授)
「日本の若者にとって未来は暗いか」
・・・・・・奥本大三郎(ファーブル昆虫館館長)
●連載
「リズムの哲学ノート 第3、4章」
・・・・・・山崎正和(劇作家)
●座談会
「可能性としての『日本』」
・・・・・・鷲田清一(大谷大学文学部教授)&佐々木幹郎(詩人)&山室信一(京都大学人文科学研究所教授)
●アステイオン編集委員会委員
委員長 田所昌幸
池内 恵
苅部 直
張 競
細谷雄一
鷲田清一
顧 問 山崎正和
●ブックデザイン/熊澤正人+尾形 忍(POWERHOUSE)
●翻訳協力/斉藤裕一、ジャネット・アシュビー
●校閲/竹内輝夫
●編集協力/林晟一、阪急コミュニケーションズ書籍編集部