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誤解さえしなければ認知症は怖くない! 2万人の認知症患者を診てきた専門医が「45の誤解」を解く

誤解さえしなければ認知症は怖くない!

NHK「あさイチ」出演(5/12)ほか各紙紙でも話題の認知症学会専門医・指導医が、「認知症」「認知症の人」への世間とマスコミのさまざまな誤解を解き、どう理解し、どう対応すればいいのかをできるだけわかりやすく解説します。

  • 書籍:定価1540円(本体1,400円)
  • 電子書籍:定価1232円(本体1,120円)
  • 2014.05発行
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内容

認知症は治らない病気だ
認知症の薬は効かない
認知症になると人格が崩壊する
認知症は心の問題だ
認知症の人は、自分が認知症だと思っていない
認知症とうつ病は全然違う病気である
認知症の人には「脳トレ」が有益

・・・・・・これらはすべて誤解です!

本書ではすべての「誤解」について、

①なぜこのような誤解が生まれたのか?
②誤解を解く!
③明日のために理解する

の3ステップでわかりやすく解説しました。

今の私には、長い診療経験から、ある一つの確信があります。それは、認知症は、周囲の人々が正しく理解し対応できれば、恐るるに足らず!」ということです。
認知症の方とそのご家族を苦しめているのは、認知症そのものではありません。実は、認知症に対する誤解なのです。
その誤解を解くことができれば、必ず活路が見いだせます。日常での暮らしが劇的に楽になります。超少子高齢社会の風向きも良い方向に向かいます。
まさに「認知症、恐るるに足らず!」となるのです。―――奥村 歩

目次

はじめに

第1章 認知症への基本的な誤解誤解

誤解1 認知症は歳のせいだからどうすることもできない
誤解2 認知症は心の問題である…
誤解3 認知症といえばアルツハイマー病のことである
誤解4 人の名前が出てこなくなると認知症? …
誤解5 認知症の人は社交的ではない
誤解6 認知症の人は「自分は認知症かもしれない」とは思っていない

第2章 認知症は「絶望の病」であるという誤解

誤解7 認知症は珍しい病気である
誤解8 認知症は治らない(症状が悪くなる一方で良くならない)病気である
誤解9 認知症になると感情が平坦になる
誤解10 認知症になるとすべての記憶がなくなる
誤解11 認知症になると、自分の子どもの顔さえわからなくなる
誤解12 アルツハイマー病は、進行して重症になると、妄想や徘徊、暴言や暴力というような困った症状が出てくる厄介な認知症である
誤解13 認知症は、ボケるだけでなく「死に至る病」である

第3章 認知症医療への誤解

誤解14 「うちの親、認知症かな?」と思ったら、いち早く「もの忘れ外来」を受診するべきだ
誤解15 「もの忘れ外来」はどの病院で受診しても大差ない
誤解16 心配な「もの忘れ」。認知症専門医にかかれば、すぐに早期の認知症かどうかがわかる
誤解17 認知症とうつ病は全然違う病気である
誤解18 MCI(軽度認知障害)とは、軽度の認知症のことである
誤解19 レビー小体型認知症の幻視は「行動・心理症状(BPSD)」である
誤解20 アルツハイマー型認知症の根本原因はアミロイドβである
誤解21 アミロイドβの沈着を描出したり、脳循環代謝を画像にするPET/SPECTによる認知症診断は、確定(科学性が高い)診断である
誤解22 脳血管性認知症は、何回も脳卒中を繰り返すうちに徐々に進行する認知症である

第4章 介護対応での誤解

誤解23 認知症の人には、わかりやすく子どもに話しかけるような口調で話してあげるのがよい
誤解24 認知症の人が薬を飲み忘れず、自力で正しく服薬できるようにするためには、その日に飲む薬をカレンダ―に貼り付けるとよい
誤解25 認知症になった親から何度も同じことを言われたり、何度も同じことを尋ねられた時には、事実関係を説明して理屈で説得する
誤解26 認知症の親が、ずっとやっていたゲートボールなどに行かなくなってしまった場合は、再び行くように勧める
誤解27 認知症の人には、計算ドリルなどのような「脳トレ」を積極的に行ってもらうのが有益だ
誤解28 父が認知症と診断されたが、車の運転はまだ危なそうではないし、車を取り上げると認知症が進んでしまうかもしれないから、このままで……
誤解29 「もの盗られ妄想」は人間関係が悪い場合に発生する
誤解30 「徘徊」とは、認知症の本人が意味もなくさまよい歩くことである。徘徊を防ぐためには、家の鍵を厳重にかけることである
誤解31 認知症が軽度の場合は、デイサービスなどの介護資源は使わないで、家族の力でなんとかするべきだ
誤解32 「親が認知症であることを世間に隠した方がいい」「親が認知症であることを公表した方がいい」

第5章 認知症の薬への誤解

誤解33 認知症の薬は効かない
誤解34 認知症の薬の目的は、認知症の進行を遅らせることだけである
誤解35 抗認知症薬の効果は大差ない。どれでも同じだ
誤解36 抗認知症薬には、たいして副作用がない
誤解37 抗認知症薬の貼り薬は、飲み薬ではないので消化器系の副作用がない
誤解38 市販の風邪薬・花粉症の薬・胃薬などは、認知症の症状には影響しない

第6章 認知症に対するマスコミの誤解

誤解39 認知症はここ数年で爆発的に増加している
誤解40 認知症になると人格が崩壊する
誤解41 認知症は環境が変化すると(配偶者が入院するなど)急速に悪化する
誤解42 幻視がなければレビー小体型認知症ではない
誤解43 前頭側頭型認知症(ピック病)は珍しい認知症である
誤解44 アルツハイマー型・レビー小体型・脳血管性などは、それぞれ全然違う認知症である
誤解45 特発性正常圧水頭症は、手術で治る認知症である

おわりに

はじめに

 私は認知症の専門医として、これまでに2万人以上の認知症の方の診療をしてきました。私の診療の大きな柱はご家族の生活相談にあります。そして、今の私には、長い診察経験から、ある一つの確信があります。それは、「認知症は、周囲の人々が正しく理解し対応できれば、恐るるに足らず!」ということなのです。
 認知症の方とそのご家族を苦しめているのは、認知症そのものではありません。実は、認知症に対する誤解なのです。みなさんの最大の敵は、認知症自体ではなく、認知症への偏見なのです。
 認知症に対する誤解・偏見という罠には、誰もが陥ってしまう可能性があります。この蟻地獄のような罠に、認知症のご本人やご家族、その周囲の方々、そして、マスコミや社会全体もひっかかってしまっているのです。
 その誤解を解き、偏見を排することができれば、必ず活路が見いだせます。日常での暮らしが劇的に楽になります。超少子高齢社会の風向きも良い方向に向かいます。まさに「認知症、恐るるに足らず!」となるのです。
 本書を執筆するにあたり、認知症へのさまざまな「誤解」をいろいろな角度から検討してみました。その結果、「誤解」を6つのグループに分けることにしました。
 その6つのグループを、そのまま章にしています。第1章「認知症への基本的な誤解」、第2章「認知症は『絶望の病』であるという誤解」、第3章「認知症医療への誤解」、第4章「介護対応での誤解」、第5章「認知症の薬への誤解」、そして第6章「認知症に対するマスコミの誤解」です。
 各章に振り分けた「誤解」は、「誤解1」から「誤解45」まで、全部で45種類あります。この45種類の「誤解」ごとに、「なぜこのような誤解が生まれたのか?」→「誤解を解く!」→「明日のために理解する」という構成にしています。一話完結です。その時その時で一番気になる「誤解」を選んでお読みください。
 さあ、ご一緒に「認知症800万人時代」を恐れることなく生き抜いていきましょう。

略歴

奥村 歩(おくむら・あゆみ)
医療法人三歩会 おくむらクリニック院長。
1961年生まれ。88年岐阜大学医学部卒業、医師免許を取得。98年岐阜大学大学院医学博士課程修了、医学博士(テーマは高次脳機能の神経画像解析)。同年、米国North Carolina Neuroscience Instituteに留学。2000年1月、岐阜大学附属病院脳神経外科病棟医長併任講師。2008年7月、おくむらクリニックを開設。木沢記念病院脳神経外科部長、岐阜大学客員医学講師も務める。
現在は、脳神経外科医の視点から「もの忘れ外来」を中心とした認知症診療を展開。岐阜にあるおくむらクリニックの「もの忘れ外来」には全国から毎日平均100人が受診、これまでに2万人以上の患者さんの診療を行っている。
脳神経外科学会(評議員)・日本認知症学会(認定専門医・指導医)・アルツハイマー病研究会(運営委員)・日本磁気共鳴学会・日本うつ病学会・日本核医学会(PET認定専門医)などの学会に所属。
一般向けに認知症の予防や早期発見、治療や介護等について啓蒙する出版・講演・テレビ出演も多数(最近ではNHK「あさイチ」、NHK「認知症フォーラム」、BSフジ「家族の医学」、「週刊東洋経済」など)。認知症シリーズの前著『「もの忘れ外来」100問100答』(阪急コミュニケーションズ)も「具体的でわかりやすい」「認知症が心配な多くの人の気持ちに応える」「認知症に対する不安や誤解が解消する」と好評で、昨年台湾版も発売された。

●企画編集/蔭山敬吾(グレイスランド)
●装丁/轡田昭彦・坪井朋子