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ブータンで本当の幸せについて考えてみました。 「足るを知る」と経済成長は両立するのだろうか?

ブータンで本当の幸せについて考えてみました。

GNH(国民総幸福)で有名になったブータン。一方で急速な近代化により、身の丈に合わない消費行動や失業問題が顕在化してきた。ブータン人の価値観のもととなる仏教の伝統と経済成長は、人々の幸福感にどんな影響を与えているのか。日本人が学べることは?

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 2013.07発行
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内容

 急速な近代化により、ブータンでは身の丈に合わない消費行動や失業問題などが顕在化してきています。その様子は、高度経済成長、バブル崩壊を経験した日本を彷彿とさせます。日本人が通り過ぎた道をあえて辿る必要があるのかと思われるかもしれません。しかし、ブータンの変わりつつある社会を見つめることで、日本が失ってしまった何かを感じ、これから何を大切に生きていくべきかを考えるきっかけとすることは可能です。
 本書は、ブータン首相の下で国民総幸福と経済を学んだマッキンゼー出身の高橋氏が経済面から、宗教人類学者で僧侶の本林氏はブータン人の価値観をつくってきた仏教面から、幸せのゆくえについてまとめています。経済成長のみに頼らない幸せを探る日本へのヒントが詰まった1冊です。

目次

はじめに 本林靖久・高橋孝郎
ブータン地図
第1章 GNH(国民総幸福)の考え方 高橋孝郎
世界一幸せな国?
GNHの原点
「国民総幸福」――小さな国の大きな挑戦
GNHの具体的な取り組み
(1)GNHの4本の柱:経済はGNHに不可欠な要素
(2)GNH委員会:予算配分も握る重要機関
(3)GNHスクリーニング:WTO加盟に待ったをかける
(4)GNH指標:幸福はどうやって測っているのか
「幸せと答えたブータン人が97%から41%に激減」は誤解を生む表現
教育水準とGNH指数の関係
(5)GNH会計:最新の取り組み
キーワードは「バランス」
第2章 「足るを知る」国で消費が拡大した理由── ブータン経済の今 高橋孝郎
ブータンの産業構造:水力発電への依存
ブータンの貿易構造:インドへの依存
国家予算:援助に頼るGNH
「幸せの国」の貧困問題
経済成長と格差の拡大
ブータンで一番幸せな職業は?
若者の失業問題と教育の関係
急速な成長と過度な消費が招いたインドルピー問題
「足るを知る」国で消費が拡大したのはなぜか
ゴミ問題に取り組む日本人
「歩行者の日」を制定
「金融リテラシー教育」がブータンの将来を左右する
金融サービスを通じた貧困削減
急務である産業育成
経済はGNHの優先課題
第3章 ブータンの仏教と伝統的価値観 本林靖久
ブータンの幸福に惹かれる理由
ブータン仏教と国民総幸福の考え方
仏教的世界観を継承しながら成長を目指す
ブータン人の行動と価値観
来世の境遇をいかによくするか
ブータン人の輪廻観
仏教の世界観に基づく民話
「わらしべ長者」と「ヘレヘレじいさん」の違い
民話からわかる死生観
『地球家族』から見えること
何をもって幸せとするか
幸福の公式を書いてみると
「死を含む幸福」で生き方を考える
ブータン人の幸せのゆくえ
第4章 ブータンと幸福論~日本が学べることは? 対談:本林靖久+高橋孝郎
ブータン経済を動かす「今の幸せ」
夜這いの文化がインフラ整備で廃れる?
ユニークな観光政策
GNH政策は小国ならではのアイデンティティ
GNHのための教育は英語で
始まったばかりの民主主義の挑戦
ブータンの歴史は仏教の歴史
「龍の話」の仏教的意味合い
日本の仏教との違い
ブータンの僧侶の役割
リンポチェという存在
小学校に瞑想の時間がある
結局、ブータン人は幸せなのか?
ブータンの幸福感から日本人が学べること
死を意識しながら生きる
日本の若者がブータンから学べること
おわりに 高橋孝郎・本林靖久
参考文献

略歴

[著者]
本林靖久(もとばやし・やすひさ)
1962 年石川県生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。真宗大谷派僧侶。現在は大谷大学、佛教大学、大阪大学等講師。専門研究分野は、文化人類学、地域社会学。1988 年に初めてブータンを訪問以降、継続してブータンを訪ねている。 2012 年にはNHK「こころの時代〜人生・宗教」に出演。著書に『ブータン・スタイル─仏教文化の国から─』(京都書院)、『ブータンと幸福論─宗教文化と儀礼─』(法藏館)など。
高橋孝郎(たかはし・たかお)
1982 年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社後、日本および海外で金融のプロジェクトに参加。退職後、米ジョージタウン大学の外交政策大学院で途上国開発の修士号を取得。卒業後、2011 年8 月から1 年間ブータン政府の2 代目首相フェローとしてブータン中央銀行で金融を通じた貧困削減に取り組んだ。その様子は朝日新聞『ひと』欄でも取り上げられた。現在は世界銀行グループ国際金融公社(IFC)にて勤務している。
●カバーデザイン/ 寄藤文平+ 吉田考宏( 文平銀座)
●本文デザイン・DTP/ 玉造能之( デジカル)
●校閲/ 鷗来堂
●表題ゾンカ語翻訳/Karma, GNHC