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学校を変えれば日本は変わる
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学校を変えれば日本は変わる 強い国・日本は公立改革で生み出す

学校を変えれば日本は変わる

日本の子どもたちに、グローバル化の時代を生き抜く力を身につけてもらいたい――。大阪教育改革を牽引する元米国弁護士と、元ジャーナリストの若き横浜市議が徹底的に語り合った。学校を変えれば日本は変わる。では「学校」はどうやって変えていくか?

★★立ち読み版・無料公開中!★★
~第6章 強い国・日本は公立改革で生み出す より~

・教育にコンピュータを取り入れるべきか
・中国・韓国の先進的なICT活用

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  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 2013.03発行
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内容

 

いじめ・体罰はゼロにできるか?
優れた教師をどうやって増やすか?
公立は私立に勝てるようになるか?
大阪教育改革を牽引する元米国弁護士・中原 徹
      ×
元ジャーナリストの若き横浜市議・伊藤大貴
【教育改革の提言】
●出席停止等いじめ加害者への対策を徹底する
●小学1年から英語をやり6年で英検5~3級取得を目指す
●責任者不在の教育委員会制度を解体する
●民間人校長を増やし権限と責任を強化する
●習熟度別授業で授業崩壊を食い止める  etc.
藤原和博氏(元杉並区立和田中学校長)推薦!

はじめに (伊藤大貴)

2010年秋、ある経済誌で見かけたのは、国際弁護士としてハリウッドで成功を収めていた一人の人物が、民間人校長として大阪で奮闘しているという記事でした。衰退していく日本を海の向こうから見ていて、居ても立ってもいられなくて日本に戻ってきた中原徹さん、当時40歳。
かたや私は、元「日経エレクトロニクス誌」の記者。世界で競争力を失っていく日本企業のありさまを見続けるなかで、「今こそ教育改革が必要だ」という思いを強くして横浜市議に転身した身で、当時33歳でした。いつでも直感を大切にしている私は、「この人に会いたい」と思うと、すぐさま中原さんに連絡を取りました。
中原さんからの返事は、「明後日の朝9時であれば時間が取れる」というもの。場所は岸和田。私の住む横浜からは始発の新幹線に乗っても間に合わないので、新宿から出ている新大阪行きの夜行バスで向かいました。当時、私が書いたツイッターを読み返してみると、中原さんとは初対面でありながら、昼食も含めて4時間にわたって日本の教育が抱えている問題について意見交換をしたと記録が残っています。
私と中原さんの付き合いはそれ以来、続いています。横浜と大阪。距離が離れ、お互い忙しい立場でもあり、なかなか会うことはできません。ただ、日本の教育に対する危機感、問題意識は共有しているので、これまでにも電話やメールなどで何度も意見交換を重ねてきました。
教育は誰に聞いても大事だと言うし、みんなそれなりに関心を持っています。しかし関心があっても、こと選挙となると教育は争点にならないと言われています。特に近年、小泉元首相の登場以来、政策をひと言で表現するいわゆる「ワンフレーズ・ポリティクス」が主流となってしまい、教育政策は訴えるのが難しいテーマの一つとなりました。
だからこそ、なんとか世論を喚起したい、議論の遡上に乗せたいと考え、中原さんに共著で出しませんかと打診して、実現したのが本書です。
私たちは、教育委員会制度の問題点から、学力を身につけるために取り組むべき課題、大阪で進行している教育改革など幅広く議論をしました。本書を執筆中に大阪では桜宮高校の体罰事件が起こり、連日、テレビでも大きく報道されました。大津のいじめ事件もまだ記憶に新しいところであり、本書をより時宜を得たものにしようと、急遽、章立てを可能な限り変更して、読んでいただきやすい構成にしました。
また本書を脱稿する間際に、「大阪府の教育長に中原氏」という1本のニュースが飛び込んできました。この稿の執筆時点では、大阪府議会に教育長人事の議案は提出されていませんし、中原さんがその提案を受けるかどうかもわかりませんが、この本が出版される2013年春には中原さんの去就も決まっていることでしょう。
彼にどんな道が待っているにせよ、私は横浜から、中原さんは大阪から、教育を変えていきたいと思って徹底的に議論しました。日本を代表する二つの都市、横浜と大阪の教育が変われば、日本の教育は必ず変わります。
世界に目を転じれば、インターネットが今、教育環境に大きな変化をもたらしています。Massive Open Online Courses、通称MOOCs(ムークス)の登場です。これはスタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学など、アメリカの名門大学が提供を始めた無料のオンライン講座のことで、2012年の登場以来、急速な勢いで広がっています。日本でも2013年に入って、東京大学が参画を表明しました。
MOOCs の普及が意味するところは、教育環境のボーダーレス化です。英語さえ使えれば、世界のトップレベルの授業を自宅で受けられるようになる。これまで学費が高過ぎてアメリカに留学できなかった、物価が高過ぎて日本に留学ができなかった、そんな世界中の子どもたちが、ネットを通じて世界最高水準の教育を享受できる時代に突入したのです。必要とされているのは、学習意欲とちょっとの語学力だけ。経済のグローバル化により、日本を除くアジア諸国が急速に語学力をつけ、一方で日本企業ですら積極的に外国人を採用しようと舵を切り始めているなかで、このMOOCs もまた無視できない潮流です。子どもたちの将来の雇用に直結する問題。私たちの子どもが生きるのは、そういう時代なのです。
政治家とは縁もゆかりもなかったけれど、ひょんなことから勤めていた日経BP社を退職して横浜市議会議員になった私は、これまで教育行政に特に力を注いできました。私が議員として教育に注力してきた理由と、いま本屋さんでこの本を手に取り、購入するかどうか迷っているみなさんが考えていることはたぶん同じです。そして、この本のもう一人の主人公、中原さんが考えていることも。
時代を生き抜く力が今こそ必要――。私は議員になってから、ずっとそのことを考えてきたんです。
本書では紙面を割けませんでしたが、教育は経済政策でもあり、雇用政策でもあり、福祉政策でもあります。だからこそ、どんな政策よりも重要だと私は思っています。
日本の子どもたちに時代を生き抜く力を身につけてもらいたい、これが私の変わらない想い。この本が子どもたちの未来を切り開く、日本の未来を切り開く、一つの道しるべになれば、望外の幸せです。

目次

はじめに 伊藤大貴

第1章 いじめ・体罰をゼロにするために

今こそ日本を変えるための教育を
いじめに対処できないのはなぜか
いじめの基準は先生にだってわかりにくい
体罰事件で露呈した問題の核心
橋下市長が入試中止を迫った背景

第2章 教育委員会制度を解体せよ

教育委員会制度の何が問題か
なぜ教育委員会制度を変えられないか
法改正を待たずにできること
君が代斉唱時の口元チェック事件の顛末
教育は政治から中立となり得るか
教育委員会制度解体の先にあるもの

第3章 大阪から始まる小学校英語改革

なぜ小学校の英語は評価指標がないのか
教育振興基本計画の改革
大阪英語改革の障壁になるのは何か
誰が英語教育改革を牽引できるか
教育関連条例成立までの道のり

第4章 ゆとり教育の失敗を乗り越えて

小学生の7割しか学習内容を理解していない?
統一テストの結果は公開すべきか
なぜ学校の先生は書類作りで忙しいのか
理科離れを解消する方法はあるか
ゆとり教育か詰め込み教育か
海外比較で落ちている学力をどう伸ばすか
君が代・日の丸は戦争につながるのか
意見の対立=個人の人格否定ではない

第5章 優れた先生を量産する仕組み

現場から教育を変えていく方法はあるか
使われていない「民間人教員」制度の活用
民間人校長をどうやって増やすか
企業に民間人「先生」を派遣してもらう
教員の頑張りをどう評価するか
学区に縛られず学校を選べるようにすべきか
公立中学の授業崩壊をどう解決するか
保護者の声を学校運営にどう反映させるか
優れた先生の資質とは何か

第6章 強い国・日本は公立改革で生み出す

教育にコンピュータを取り入れるべきか
中国・韓国の先進的なICT活用
教育の力で貧困家庭をどう救うか
クラブ活動と勉強のバランス
学校の先生は暇か働き過ぎか
先生は仏陀やキリストのような聖人ではない
教師は「なぜ茶髪がダメか」を説明できるか
生徒・保護者を満足させることの難しさ
道徳教育を学校に任せていいのか
公立が私立に勝つにはどうすればいいか
サイレント・マジョリティの声を拾う

おわりに 中原徹

略歴

[著者]
中原 徹(なかはら・とおる)
1970年生まれ、横浜市出身。早稲田大学法学部を卒業後、弁護士として東京永和法律事務所に勤務。その後渡米し、ミシガン大学ロースクールを卒業、大手法律事務所ピルズベリー・ウィンスロップ・ショー・ピットマン法律事務所のロサンゼルス・オフィスに10年間勤務する。日本帰国時の役職はパートナー(共同経営者)だった。大阪府教育委員会が公募した民間人校長職に応募し、2010年4月、帰国して府立和泉高等学校の校長に就任。全国最年少校長として、TOEFLを英語教育の中心に据えるなど大胆な教育改革に乗り出す(任期は2013年3月まで)。大阪市の教育振興基本計画の策定委員も務め、大阪の教育改革を牽引してきた。著書に『国際的日本人が生まれる教室』(祥伝社)がある。

伊藤大貴(いとう・ひろたか)
1977年生まれ。横浜市議会議員。みんなの党横浜市会議員団政策調査会長。早稲田大学理工学部、同大学院理工学研究科を修了後、日経BP社に入社。「日経エレクトロニクス」誌の記者として5年間勤務する。その後、同社を辞めて江田憲司衆議院議員(現みんなの党幹事長)の門を叩き、2007年、地盤も看板もないまま横浜市議選に立候補、当選を果たす。2011年、2期目当選。横浜サイエンスフロンティア高校の発展に尽力するなど、横浜の教育改革、行政改革に特に力を入れている。2児の父。

ウェブサイト  http://hiro-chan.net/
ツイッター   @hirochan

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ブックデザイン/AD渡邊民人(タイプフェイス)、D小林麻実(タイプフェイス)
●編集協力/東 雄介
●写真/大村 享
●校閲/円水社