おまけの人生
生物学の視点で現代社会をみれば、閉塞感を突破する糸口がみえてくる。『ゾウの時間 ネズミの時間』著者で「歌う生物学者」が贈る、目からウロコのエッセイの数々。
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 2005.06発行
内容
たった一度の生を、 丁寧に悔いなく生きるには――
スピード至上主義の始原をニュートンに遡り、
善く生きるヒントを『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』に探る。
現代社会を生物学の視点から縦横無尽に斬る、
『ゾウの時間 ネズミの時間』著者が贈る待望のエッセイ集!
目次
海鼠の如く
美人量保存の法則
一人にひとつの子守歌
漱石とナマコ
はじめてナマコを食べた人は……
子規とナマコ
ナマコの如き子の名前
アリストテレスと日本むかしばなし
コペルニクスと鉄炮伝来
ニュートン教時代
ものをつくろう
生きものに学ぶ
生物学を学ぶ意義
子供時代に考えていたこと
CDブック『歌う生物学必修編』
豊かさの転換
理科を学ぶ意義
一億総理工系時代
理科離れ――もう一つの視点
作ること・作っている現場を見せることの大切さ
理科の言葉
日本の科学は寿司科学
普遍と個別
道元の時間
道元の時間――生物学の視点で読む『正法眼蔵』
沖縄の時間
ナマコの時間
ネズミの心臓は早い、ゾウの心臓はゆっくり打つ
動物の時間は体重の1/4乗に比例する
時間が違えば世界が違う
時計の時間の落とし穴
ニュートンの絶対時間
科学は現代人の宗教である
科学はいい加減だから成り立つ
不立数字
ニュートン教では救われない
時間の重層性
一生の間に食べる量は同じ
時間の質
老いの時間は違うもの
生きものはエネルギーを使って時間を生み出す
ネズミは時なり――道元の時間論
道元は今を大切にする
尽力経歴
人間の時間・悟りの時間
前後裁断した時間
ゆっくりの老後を楽しむ
ハイテクライフと時間のむさぼり
老いてからこそ尽力経歴
時間の主人になる
生命の時間
著者
本川達雄(もとかわ・たつお)
東京工業大学大学院生命理工学研究科教授。
1948年仙台に生まれる。東京大学理学部生物学科(動物学)卒(1971)。東京大学助手(1975-1978)。琉球大学講師、助教授(1978-1991)。Duke大学visiting associate professor(1986-1988)。東京工業大学教授(1991-)。
海の無脊椎動物の生理学、形態学を中心に研究し、それとおして、かれらがどんな独自の世界をつくりあげているかを理解しようと努めている。 棘皮(きょくひ)動物(ナマコ、ヒトデ、ウニ、ウミユリの仲間)特有の「キャッチ結合組織」の研究や、群体性のホヤをもちいたサイズの生物学、サンゴの生物学などが研究テーマ。
著書 『サンゴ礁の生物たち-共生と適応の生物学』『ゾウの時間 ネズミの時間-サイズの生物学』(中公新書)、『時間-生物の視点とヒトの生き方』『生きものは円柱形』(NHKライブラリー)、『ヒトデ学-棘皮動物のミラクルワールド』(東海大学出版会)、『歌う生物学 必修編』『ナマコガイドブック』(阪急コミュニケーションズ)ほか
●装幀/熊澤正人