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有名人の成功のカギはドラッカーの『マネジメント』にあった
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有名人の成功のカギはドラッカーの『マネジメント』にあった

有名人の成功のカギはドラッカーの『マネジメント』にあった

成功者はみんな優秀なマネジャーだった! 古今の著名人から「成功するマネジメント力」を抽出、誰でもすぐに使える成功へのヒントを示す。ドイツで2010年度マネジメント・ベストブックに選出された話題作!

  • 書籍:定価1980円(本体1,800円)
  • 2011.05発行
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内容

成功者はみんな優秀なマネジャーだった!?
さまざまな著名人の成功から「マネジメント」の神髄を学ぶ。

ビル・ゲイツ、ソロモン王、フィリップ・ナイト、マイケル・ジャクソン、ウォーレン・バフェット、ココ・シャネル、パリス・ヒルトン、スティーブ・ジョブズ、マドンナ、カラヤン、ミケランジェロ、ミハエル・シューマッハ、チャーチル、オバマ、スティーブン・ホーキング、ロジャー・フェデラー、バーンスタイン、ピカソ、ムハマド・ユヌス……
古今のアーティスト、政治家、起業家、科学者ら、成功者のミニ伝記が浮き彫りにする「成功するマネジメント力」。どんな分野でも、卓越した成功者は卓越したマネジャーでもある。本書は成功者のマネジメント力を「組織」「イノベーション」「人材」の3分野に分けて紹介。それぞれの成功者から学べるマネジメントの要素を抽出し、誰でもすぐに使える成功へのヒントを示す。ドイツで2010年度マネジメント・ベストブックに選定!

「マネジメントは社会のあらゆる領域に応用されている。美術、音楽、スポーツ、医療、軍事、学問、政治、そしてもちろん経済。業績と成果があがっている場ではどこでも、マネジメントの知識が役立っているのだ。各分野の専門知識は違っていても、「マネジメントの知識」は共通なのである。偉業を達成した人たちの経歴をたどってみると、そうした知識がいかに偉大な効果を発揮したかがわかる。彼らの行動をたどれば、効果的なマネジメントを実施する方法はたくさん習得できるのだ。」 ………本書「まえがき」より

訳者より

本書の登場人物はマドンナやミハエル・シューマッハ、ココ・シャネルやオバマなど有名人ばかり。これってホントに「マネジメント本」? はい、まちがいなくマネジメント本です。

たとえばX線の発見者レントゲンが登場する19章に出てくる文章。
「予期せぬことが起こったら、真剣に受け止めなければならない。(……)いや、それだけでなく、自分とどういう関係があるか、真剣に突きとめる必要がある」
今回の大震災は自然が引き起こした予期せぬことではあろうが、その後、被災者をはじめとして日本人が取った態度、行動の美しさは、全世界からショックと呼ばれるほど見事なものだった。ドラッカーの著書や本書をお読みになった読者なら、そうした日本人の心に通底するものこそ、マネジメントのキーワードとされる「真摯さ」だとおっしゃるかもしれない。
だがこの美は、繰り返しになるが、予期せぬことが起こったから発現した美であり、大震災が起こる前の日本人は、自分たちがモラルやマナーの点で世界じゅうから驚嘆されるとは思っていなかったのではないだろうか? だからこそ、「予期せぬことが起こったら、真剣に受け止めなければならない。いや、それだけでなく、自分とどういう関係があるか、真剣に突きとめる必要がある」のである。
今度の震災を通じて私が、いや、世界じゅうの人々が切実に願うのは、日本の人たちが「予期せぬことで自覚した真摯さ」をいつまでももちつづけることである。それが実現すれば、復興というイノベーションは最大の成功を収めることになるだろう。

2011年4月   畔上 司

序文

マネジメント知識は、個人と組織、そして社会が成功を収めるためのカギである。組織内で働いている人は全員が、マネジメントの基礎知識をもっている必要がある。人間と組織の業績と効率を左右する方策について、基礎知識をもっている必要があるのだ。そうした知識をもっていれば、成功を自分で作り出すことができる。
肝心なのは、目標を定めて、それを達成することだ。まさにそのことが、マネジメントの知識で可能になるのである。分野を問わず、そうした知識を基盤としてこそ、業績と成果を上げることができるのだ。マネジメント知識は、成功にいたる知識である。その知識は信頼できるし、堅実である。すでに実証済みであり、効果は抜群なのだ。
マネジメント知識をもっていれば、自己の目標を実現できるだけではない。組織内でも業績と効率を上げるうえで相応の貢献をなすことができる。偉人たちの業績を調べてみると、そのことがとくにはっきり見てとれる。彼らは自分の分野、自分のプロジェクト、あるいは自分の会社でそうした知識を十二分に活用したからだ。
社員全員にマネジメント知識を与えようとする組織は、そうした知識を活用しない組織よりも競争力が明らかに上回る。そうした優れた組織は能力が高いだけでなく、リスクも最低水準になる。この二つの利点は、変転が激しい時代においてはいくら高く評価しても評価しすぎることはない。
マネジメントの知識を備えた個人および組織は、業績と効率が上がるだけでなく、社会の安定化にも役立つ。現代社会においては、すべての社会的使命は実質的には組織内部で組織によって果たされている。現代社会は「組織の社会」なのだ。
組織は、それ自体が目標ではない。組織は一定の社会的使命を果たす存在であり、組織の目標は、個人と社会のために具体的な貢献をすることにある。業績と効率を上げ、責任感に満ちたマネジメントをおこなえば、強力で健全な組織になる。そしてその組織は、業績を通じて社会の安定化に資することになるのだ。だから現代社会は、有能なマネジメントに最大限の関心を抱かなければならない。
成功を収める方法は誰でも習得できる。目標に到達する方法を学ぶことができるからだ。そして目標達成に必要な知識こそ、マネジメント知識なのである。その知識があれば、あなたも自分の能力と専門知識を駆使して成果を上げることができるようになる。
あなた個人であれ、あなたのチームであれ、あるいは小規模な組織や大コンツェルンであれ、その知識がサポートしてくれるのだ。マネジメントの効果は、大半の人々が思っているよりもはるかに広範なものである。序の冒頭で記したように、マネジメントの知識は、個人と組織、そして社会が成功を収めるためのカギなのだ。

本書のコンセプト

私は以前から、多くの人々がマネジメントに関心を抱いてくれる本を書いてみたいと、心の底から思っていた。ふだんはそうした本をまったく手に取らないような人たちにも関心をもってほしかったのだ。マネジメントというのはきわめて興味深いテーマである。あなたも、すぐに活用できる有益なパワーを与えられると、たちどころに現実的な成功を収めることが容易になるのだ。あなたがそうした成功を収め、効果的なマネジメントへの関心をいっそう深めてくれるようになれば、本書の重要な目標は達成されたことになる。
私は幼いときから伝記にも興味をもっていた。人はどのようにして業績を上げ成功を収めるにいたったか? そうした伝記からどのような教えを得ることができるか? そうした教えのどれかを自分でも応用できるか? そういうことを、夢中になって考えていた。
いつだったか、マネジメントへの関心と伝記への関心は、たがいに緊密に結びついていることに気づいた。伝記を読んでいくうちに、「業績を達成することができたのは、効果的なマネジメントを用いたからだ」と気がついたからである。
こうして焦点は一つに絞られた。マネジメント知識が最も明確に発揮されるのが企業経営であることは事実だが、その知識は実は、業績や成果を上げたり目標を達成するさいにはいつでもどこでも活用できるのである。マネジメント知識は「成功を収めるための知識」であり、社会のあらゆる分野に通用するのである。
だから、効果的なマネジメントに関心を抱けば、成功を収める確率が高くなる。仕事でも、それ以外のさまざまな領域でもそうなのだ。

本書を読むにあたって

あなたには、マネジメントに関心を抱き、喜びを感じながら本書を役立てていただきたい。本書は冒頭から読んでもかまわないし、特定の偉人、特定のテーマにとくに関心を抱いていたらそこから読みはじめてもかまわない。各章は独立しているので、それぞれが読者に重要な考え方、刺激を与えてくれると思う。
さらに各章の末尾にある「実践してみよう」に積極的に取り組んでいただければ、効果と能率はあっというまに上がるだろう。
本書は、組織を運営するうえでマスターしなければならない三分野から構成されている。
第一は「組織のマネジメント」そのものだ。組織を動かすうえで中心となる考え方がまとめられている。
第二は「イノベーションのマネジメント」である。これは他の二分野、つまり「組織のマネジメント」と「人間のマネジメント」とも、ある程度関連する考え方だ。イノベーションは孤立したものではなく、「組織のマネジメント」にも「人間のマネジメント」にも適用されるからである。どのような組織であれ、イノベーションを産みだす能力は中心的なパワーとして必要なのだ。
第三は「人間のマネジメント」である。ここでは「人事管理」と「自己管理」がテーマだ。人間をいっそう活躍させる各種の措置は、他の二分野でも効果を発揮する。それも当然で、組織の経営だけが重要なのではなく、「人間のいる組織を経営すること」、そしてその逆に「人間が組織を管理すること」も重要だからである。
読者がある分野に関して効果的なマネジメントをマスターすれば、他の二分野にもポジティブな影響がおよぶ。だが逆に、一分野をいいかげんに扱えば、他の二分野にも悪影響がはっきり出てしまう。
効果的なマネジメントを見くびるのは非常に危険だ。逆に、効果的なマネジメントを見事に実践すれば大きなチャンスが訪れる。

終わりにあたり、本書に登場する偉人たちについて付言しておく。
登場人物の選定にあたっては、さまざまな分野の有名人を選んでみた。候補者が二人いる場合には、経歴が印象深い人物のほうをつねに選んだ。
だが、人物の一面だけを取りあげたわけではない。特定の考え方がはっきり浮き立っている状況ももちろん述べたし、まさにその考え方がその人物の一生を特徴づけている例もあるにはあったが、だからといって、その人が「いつも」そうした行動をとっていたということではない。大きな弱点をもっていた偉人も大勢いた。山が高ければ、谷も深いのだ。
しかし、そうした弱点を述べるのはやめにした。「誰それが何もかもできたわけではない」と言うのはとても簡単だ。しかしそれよりはるかに重要なのは、強みを認識し、その強みを正しく「活用する」ことである。本書では人間の強みを中心に据えて、そこから学ぶべきことは何か、それを明示することにした。
その結果、本書はポジティブな本になっただけでなく、視線が要点に集中することになった。要点とは、チャンスと効果のことである。人物を正しく描写すれば、弱みは自然にどうでもよくなってくるのである。
私は、本書の内容と多くの実例が「マネジメントという魅力的な世界への旅」を興味深く楽しいものにしてくれることを、そして読者が本書の内容を効果的に実践してくれることを願っている。

目次

まえがき

第I編  組織のマネジメント

[1章]「企業の使命」を有効に活かす ビル・ゲイツ
[2章]顧客の役に立つ ルイス・ガースナー
[3章]正しい妥協をする ソロモン王
[4章]まずやってみよう!──正しい戦略に沿って前進しつづける フィリップ・ナイト
[5章]自分の強みを重視し、中心となる能力を強化する マイケル・ジャクソン
[6章]顧客のために献身する マイケル・デル
[7章]生産性を高める ウィンズロー・テイラー
[8章]効果的なマネジメントを追求する ウォーレン・バフェット
[9章]利益を得る方法を理解し、一本立ちをめざす ココ・シャネル
[10章]メディアを活用する パリス・ヒルトン
[11章]情報を活用する ポール・ジュリアス・ロイター
[12章]転換点を認識し、重要な事業目標を設定する アンドルー・グローヴ
[13章]フィードバック体制を確立する ジェームズ・ワット

第II編  イノベーションのマネジメント

[14章]アイデアを実行に移す スティーブ・ジョブズ
[15章]イノベーションは決して歓迎されない ギュスターヴ・エッフェル
[16章]定説をすべて疑う ニコラウス・コペルニクス
[17章]変化の先頭に立つ マドンナ
[18章]徹底的にイノベーションを推進する トマス・アルヴァ・エディソン
[19章]予期せぬ事柄に注目する ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン
[20章]計画的に廃棄する ヘルベルト・フォン・カラヤン
[21章]「創造的な破壊」を実行する ヨーゼフ・シュンペーター
[22章]新技術のチャンスを活用する ラリー・ペイジ
[23章]すでに起こった未来を認識する レイ・クロック

第III編  人間のマネジメント

[24章]一つだけの使命に集中する ミケランジェロ
[25章]結果を絶対視する ミハエル・シューマッハ
[26章]強みを活かす アルバート・アインシュタイン
[27章]目標管理を実行する グスタフ・マーラー
[28章]慎重に計画を練る ナポレオン・ボナパルト
[29章]自分の価値観に合致した行動を取る ウィンストン・チャーチル
[30章]周囲に優秀な人を擁する ジャック・ウェルチ
[31章]人材を育成する デイヴィド・パッカード
[32章]教育に投資する アレクサンダー・フォン・フンボルト
[33章]賢明な話し相手を見つける カミーユ・ピサロとポール・セザンヌ
[34章]効果的な協力関係を確立する ジョゼフ・バイデン
[35章]最大級の昇進を認識する バラク・オバマ
[36章]真摯に生きる ジョージ・マーシャル
[37章]女性の潜在能力を活かす ヒラリー・クリントン
[38章]時間を賢く使う スティーヴン・ホーキング
[39章]独自の「仕事の進め方」を決める ベンジャミン・フランクリン
[40章]信頼を築く リーバイ・ストラウス
[41章]人生設計──あなたにできる最大の貢献は何か? ピーター・F・ドラッカー
[42章]絶えずモチベーションを高める ロジャー・フェデラー
[43章]仕事に喜びを見出す レナード・バーンスタイン
[44章]責任感をもって行動する ヒポクラテス
[45章]高齢になって創造力を活かす パブロ・ピカソ
[46章]責任を引き受ける ハリー・トルーマン
[47章]能力の維持について考える ジェイミー・オリヴァー
[48章]ほかの人のために全力を尽くす ムハマド・ユヌス

あとがき

著者

フランク・アーノルト(Frank Arnold)
経営コンサルタント。経済学博士。ハーマン・サイモン、フレートムント・マリク、そしてピーター・ドラッカーに師事。1973年生まれ。アメリカ、フランス、スペイン、中国に各1年間滞在。2003~08年、マリク・マネジメント・センター(スイス)で研究、うち2年間は企業の管理職としてマネジメントの現場を体験した。現在アーノルト・マネジメント代表。コンサルタントおよびマネジメント関連のオピニオンリーダーとして活躍している。ヨーロピアン・ビジネス・スクール(ドイツ、EBS)の非常勤講師も務める。ドイツ誌『マネジャー・マガジン』『シュピーゲル』などのオンライン版にコラムを寄稿。本書はドイツで2010年度のマネジメント・ベストブックに選ばれた。

訳者

畔上 司(あぜがみ・つかさ)
1951年、長野県生まれ。東京大学経済学部卒。日本航空勤務を経て、現在ドイツ文学・英米文学翻訳家。おもな訳書に『アメリカで大論争!! 若者はホントにバカか』『だれでも1日200回はウソをつく!』(共に阪急コミュニケーションズ)、『5000年前の男』『アンネの伝記』(共に文藝春秋)、『ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ? なに?』(主婦の友社)などがある。

●装丁/轡田昭彦・坪井朋子
●編集協力/編集室カナール(片桐克博)