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バブルさん 30代を悩ます迷惑上司の生態と対処法

バブルさん

バブル時代のおいしいところだけを味わってきた40代前半の世代「バブルさん」。20~30代にとって、その軽さ、薄さ、いい加減さは驚異的!目の上のタンコブ、バブルさんの生態と対処法を教えます。

  • 書籍:定価1430円(本体1,300円)
  • 電子書籍:定価1144円(本体1,040円)
  • 2010.06発行
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内容

20~30代のビジネスマンをいま悩ませているのが、40代前半の世代「バブルさん」。現在、管理職やリーダーの立場にあるバブルさんだが、バブル時代のおいしいところだけを味わってきた彼らの軽さ、薄さ、いい加減さは驚異的!
実際に“被害”を受けた若手社員が明かすエピソードをもとに、バブルさんの生態を解説。目の上のタンコブ、バブルさんの対処法も教えます!

「はじめに」より

「バブルさん」とはどんな人たちなのか。詳しく説明する前に、まずバブル景気のことを簡単に振り返ってみたい。
1985年のプラザ合意を機に円高が急激に進み、それに伴って行われた政府の低金利政策等によって、ダブついた資金が土地や株に流れていった。日本企業は海外の不動産に手を出し、外国の老舗企業を買収。個人も財テクに精を出し、億万長者が幾人も誕生した。その象徴として今でも語られるアイコンが、フェラーリに代表される外車、トレンディドラマ、ディスコなどなど。バブルを知らない世代からすれば、虚飾だらけの浮かれ切った世界が20年前の日本にはあった。
「バブルさん」とは、このバブル景気の「おいしいところだけを味わってきた人」だ。あえて具体的に定義すると、

バブル景気の1986年~1991年の間に、大学生、短大生、専門学校生、さらには入社3年目までの時期を過ごした人。ここでは特に1965年(昭和40年)~1970年(昭和45年)に生まれた人

となる。この「学生、または入社3年目まで」というのがポイントだ。この世代の多くの人たちは、バブルが崩壊した時には、まだ会社の中心として働くまでには至っていなかった。その上の世代が、
「日に日に周りの顔が青ざめていった。いつのまにか会社から『消えている』奴もいた」(49歳、♂)
と、浮かれた分のツケを払わされて悪夢を見た一方で、バブルさんの多くはまだ「新人」「学生」といった楽なポジションでのほほんとしていられた。すなわち、「天国と地獄」を味わっているバブル時代謳歌組と、「天国」だけを味わったバブルさんとは大きな意識のギャップがある。

(中略)

バブルさんが受けた「恩恵」の大きな1つが「超余裕の就職市場」だ。1つの指標として「有効求人倍率」(求人数を求職者数で割った数字)をみると、1989年~1992年までは1を超え、以降は1どころか、1999年には0.39、さらに2009年には0.38と過去最低を更新している(パートタイムを除く)。もちろん景気がよかっただけに、採用者数だって多い。これだけでも、バブルさんがバブルを他人事のように言うのは筋違いだとわかる。

そんなラクチンな就職活動をしてきたバブルさんたちは年齢上、今まさに企業の屋台骨となる管理職やリーダーなどの立場にいる。
一方、僕ら30代前半の就職氷河期で苦しんできた世代は、まさにそのバブルさんの下、現場の最前線で働いている。
そしてバブルさんと僕らとの間には、決して埋められない大きな溝がある。
それは筆者が感じるだけでも、仕事への取り組み方だったり、金銭感覚だったり、人間関係に対する考え方だったり、遊びのスタイルだったりする。その相容れない価値観を僕らは時に理不尽に押しつけられて、暗澹たる気持ちになってしまう。
本書を執筆するにあたり、改めて同世代に話を聞いてみたのだが、バブルさんに関する仰天エピソードが次から次へと出てくる……。

(中略)

あなたが会社人間として生きていくならば、バブルさんとは嫌でも付き合っていかなくてはいけない。たとえ彼や彼女が、先輩や上司としてまったく尊敬できない人たちだったとしても。バブルさんがあなたの敵になるのか味方になるのかはわからないが、その長所や弱点を知っておくことは、社会で生き残っていく上では必要なことになってくるだろう。
本書のエピソードを語ってくれたのは、おもに筆者と同世代の20代後半~30代前半の人たちだが、ぜひ社会に出たばかりの人たちにも読んでいただきたい。
新社会人のみなさんは、社会に出てからほどなくしてバブルさんの洗礼を受けることになると思う。20歳近く離れたバブルさんの価値観は、みなさんにとって理解できないものだろう。この本のエピソードを、滑稽すぎて誇張されたものだと思う人も多いかもしれない。しかし、これはあなたが身を投じる場所のありのままの姿だ。
バブルさんを侮るな。
もしかしたら、気付いたころにはあなたもバブルさんの「被害者」になっているかもしれない。

目次

はじめに

第1章 「カッコよく」なきゃ意味がない
横文字乱用の無意味さにうんざり
ルックス第一主義でふるいにかける
難関「手みやげテスト」を切り抜けろ
村上春樹LOVEの微妙な立ち位置
底が知れちゃうエコ・エクスタシー
お子さんの名前、なんて読むんですか?

COLUMN バブルさんをもっとよく知るためのキーワード01

第2章 ついていけないズレた感覚
三度のメシより人事が好き
経費天国が日本経済を滅ぼす
新入社員を襲う「6月病」の悲劇
姑息な踏み絵に気を付けろ
「やりたいこと」中毒にさせる罪深さ
読み間違えば大ケガする社内恋愛相関図
お受験戦争のA級戦犯たち
キャバクラはバブルさんとともに消える

COLUMN バブルさんをもっとよく知るためのキーワード02

第3章 その薄っぺらさ、上司失格!
不毛すぎる「忙しい」ナルシシズム
はったりだけはメジャー級
テキトーな労務管理の被害者たちへ
まるで子どもな言い訳&開き直り
哀しきハンパなアゲアゲ感
英語格差という悩ましい問題
「理想の上司」はどこにいる?

COLUMN バブルさんをもっとよく知るためのキーワード03

第4章 勘違いのプライドと許せない傲慢さ
もはや消せない選民思想
汚れ役は他人におまかせ?
おしゃべりなサムライはカッコ悪い
○○さんって、いったい誰?
めくるめく小武勇伝が止まらない
マニュアルは好き、チェンジは嫌い
驚愕!バブルさんのゾッとする話

COLUMN バブルさんをもっとよく知るためのキーワード04

第5章 遊びに恋愛、異常なエネルギー
君はバブルカラオケの洗礼を受けたか
バブルさんはみな踊る
仕事の質も恋の行方次第
リゾートブームはバブルさんが支えてきた
会社の祭りにのめりこんじゃう
「草食系」よりも「装飾系」
自己管理を放棄したイケイケのツケ

COLUMN バブルさんをもっとよく知るためのキーワード05

おわりに

著者

斎藤 啓(さいとう・けい)
1979年生まれ。出版社に在籍中、同世代の若者の流行やライフスタイルを取材。その後、週刊誌やカルチャー誌などで執筆し、就職や転職、ビジネスに取材活動のフィールドを広げたことが本書のきっかけとなる。

●カバーデザイン/渡邊民人(TYPEFACE)
●本文デザイン・DTP/荒井雅美(TYPEFACE)
●イラスト/都築 潤