半径50メートルのセカイ 超日常的アイデア発見法
- ビジネス・自己啓発
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デザインオフィス nendoのチーフデザイナー、佐藤オオキ。
2020東京五輪の聖火台デザインで世界を驚かせたことで知られるが、
ビジネス界からも絶大な信頼を得ている。
最近では、東急ハンズ⇒ハンズのリブランディングを手がけ、
漢字の「手」をモチーフにした新しいロゴも絶賛された。
2025年に開催される大阪・関西万博 日本館の総合プロデューサー/総合デザイナーも務め、建築から展示まで全てのクリエイションを統括。
そんな彼の発想は、半径50メートルの中で生まれる。
佐藤オオキのアイデア発見法には、たくさんのヒントが隠されているのです。
- 書籍:定価1760円(本体1600円)
- 2022.12.01発行
はじめに
あれって、ハンバーグ、パスタ、サラダなど、やたらと色々なものの上にのせられている印象がありますが、一度流出しはじめると歯止めが効かなくなりますよね、バァーってお皿じゅうに広がっちゃって。
そのロスの多さには、いつもながら愕然とさせられます。果たして自分は何%の黄身を失ったんだろうか、と。世の人々はこの事実をどのように受け止め、自身を納得させているのでしょうか。
「卵を絡めながらお召し上がりください」っていわれても、アスパラガスなんてツルツルの円筒形状で、そもそも「絡める」ような形をしていない。
小籠包がサーブされる時に「熱いうちにお召し上がりください」の場合と、「お熱いので気をつけてお召し上がりください」というケースのどちらもがあって、ダブルスタンダードとまではいいませんが、早く食べた方がいいのかゆっくり食べた方がいいのかがわからなくなる、あれと似た理不尽さを感じます。
とにかく、どうしても黄身のことが気になって仕方がないのです……って、なんだか語感だけはロマンティック。
すき焼きなんかも酷いですよね。はなっから卵を使い切ることなんて想定していない、もはやディップ扱い。月見うどんに至っては、最初に麺に絡めた一口以外は跡形もなく溶解し、瞬時につゆと一体化してしまいます。
本書は、こんな具合に日々気になっていることをそのまま書き記したものです。
「半径1メートルのセカイ」は自分の頭の中で考えていることや、身体で感じていること。
「半径5メートルのセカイ」は基本的に自分の部屋の中の話。
そして、「半径50メートルのセカイ」はオフィスや犬の散歩など、自分の部屋の外にいる時に気づいたことについて触れています。
内容があるかないか、でいうと、どちらかというとないかもしれません。あまりにもとっ散らかっているその感じは、さながらポケットの底に眠っている、いつ書き散らしたかも定かではない、外に出すつもりのなかった、メモの寄せ集めのようなもの。
日常における些細な出来事や、現在進行中のプロジェクトのこと。抽象度の高い思考過程から、超微細なディテールの話まで。
それこそ溶け出した卵の黄身のように、テーマは無作為に広がりながら、話は脈略もなく日常生活の隙間にまで入り込んでいきます。書いているうちにそもそも何について考えていたかを忘れてしまい、月見そばのつゆよろしく、当初のテーマが見る影もなくなっていることもあります。
そんな中にも、なにかしらの気づきやヒントとなる言葉が、一口か二口分くらいはあることを期待して、読者の皆さんが普段意識していることや感じている課題などと「絡めながら」お召し上がりください。
佐藤オオキ
もくじ
はじめに
Chapter1 半径1メートルのセカイ
やりたいこととやれること
中途半端
常識と非常識
ラグビー
濁った水
2匹目のゴキブリ
アンケートの「どちらでもない」
テトリスの細長い棒
鼻歌
膝カックン
赤くない赤
ペットボトルのキャップ
部分と全体
40代
Chapter2 半径5メートルのセカイ
気持ちの悪い椅子
コップのホコリ
脱ぎ捨てた服
ミニマル
トイレマット
右膝
サラダ感覚
ゴミ袋の袋
レンズのピント
ホコリセンサー
ウォシュレットのボタン
コロコロ
Chapter3 半径50メートルのセカイ
聖火台
馬鹿と限界と大阪万博
イトー・ト・リモート
AI
ラーメン屋さんの法則(前編)
ラーメン屋さんの法則(後編)
黒酢あんかけ炒め
レッサーパンダと親子丼
池の水
ワイングラスと牛乳
フォーク
こだわり
宅配便のお兄さん
少年と自転車
マスク
タルタルソース
バッシーとiPad
ビギナーズラックと深づめ
不安
窓と鏡
あとがきにかえて 半径51メートルのセカイ 伊藤明裕
著者略歴
佐藤オオキ
デザインオフィス nendo チーフデザイナー
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院修了後、デザインオフィス nendo設立。建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと多岐にわたってデザインを手がける。作品はニューヨーク近代美術館(米)・ポンピドゥー・センター(仏)・ヴィクトリア&アルバート博物館(英)など世界の主要美術館に多数収蔵されている。TOKYO2020の聖火台をデザインし、現在は2024年稼働予定のフランス高速鉄道TGV新型車両のデザインに取り組むほか、2025年大阪・関西万博 日本政府館 総合プロデューサー/総合デザイナーを務める。
ブックデザイン TYPEFACE(AD:渡邊民人、D:谷関笑子)
校正 株式会社 麦秋アートセンター