もしかして、適応障害? 会社で“壊れそう”と思ったら
適応障害(職場のうつ)の原因は、外部環境のストレスです。
つらい時期を乗り越えるために、知っておきたいこと。
過重労働、転勤、異動、パワハラ──。
背景にあるストレスはさまざまですが、いま適応障害は急増しています。
その数は、なんと100万人以上。
本書では、著者の30年にわたる臨床経験に基づき、読者の方々が薬に頼りすぎることなく、適応障害をセルフチェック・セルフコントロールするための考え方、方法をお伝えします。
- 書籍:定価1650円(本体1500円)
- 2019.11発行
はじめに
適応障害をめぐる医療の何が、いったい問題なのでしょうか。
一つ目は、薬です。適応障害で病院にかかると、必ずといっていいほど、抗うつ薬、睡眠薬、精神安定剤といった薬が処方されます。しかし、適応障害において、薬は必ずしも必要ではありません。ストレスをどうコントロールするかということこそが重要であり、ただ漫然と服薬して改善するものではないのです。
二つ目は、自宅安静です。適応障害の治療では、ストレス源である職場からいったん離れることが重要ですが、離れればそれでよいというものではありません。離れたあとに、どう過ごすかこそが重要です。しかし残念ながら、多くの医療機関でその指導はなされていないのです。
三つ目は、カウンセリングです。適応障害を発症する要因として、外部環境のストレスとともに、それをどう感じるか、どう対処するかという患者さん自身の内面の問題があります。
カウンセリングは、この葛藤対処能力を高めてくれ、再発予防という点から重要なのですが、じつは、そもそもカウンセリングすら行っていない医療機関が多いのです。カウンセリングは保険診療の対象でない、専門のカウンセラーの数が少ないなど、現代医療の構造的な問題もありますが、そのしわ寄せは確実に患者さんにいくのです。
適応障害の医療は、このように決して万全ではありません。解決すべき問題が多々あります。こうした問題の存在を知り、適応障害を未然に防ぎ、また、かかってしまったらどうすればいいかを、ビジネス現場の最前線におられるみなさんは知る必要があります。
目次
第一章 「仕事に行けない」にはワケがある
第二章 「もしかして適応障害?」と思ったら
第三章 適応障害にかかりやすい人
第四章 ストレス反応がもたらす症状
第五章 職場というストレスにどう対処するか
第六章 適応障害はセルフコントロールできる
第七章 医者とうまくつきあうには
第八章 自宅安静の過ごし方
第九章 復職者としていかに振る舞うか
著者略歴
森下克也(もりした・かつや)
1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。
久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて永田勝太郎先生に師事、漢方と心療内科の研鑽を積む。浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細やかな治療で応じている。
『お酒や薬に頼らない「必ず眠れる」技術』『決定版「軽症うつ」を治す』『薬なし、自分で治すパニック障害』(角川SSC新書)、『うつ消し漢方』(方丈社)など、著書多数。
ブックデザイン:TYPEFACE(AD.渡邊民人、D.清水真理子)
校正:株式会社 文字工房燦光