くよくよするな! 心のウサが晴れる名僧のひと言
名僧の言葉は「薬」ではない。「気づき」である。 例えば《莫妄想(まくもうぞう)――――無学(むがく)》 《考えても仕方のないことをあれこれ思い悩むのは愚かなことで、いまをどう生きるかが大事》と気づかせ、力づけてくれる! 新たな人生観に目を見開かせてくれる名言集
- 書籍:定価1540円(本体1,400円)
- 電子書籍:定価1232円(本体1,120円)
- 2009.06 <![CDATA[https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-08-998468072X発行
内容
迷っている時、苦しい時、人間関係につまずく時、幸せになりたい時、そんな時に「名僧のひと言」がきっとあなたを救ってくれる!
身体をこわして入院した著者に、良寛は、「災難に遭うときは、遭うがよろしい」と語りかけてくれた。
進退窮まったときは、「人生、何とかなるもの。じたばたしなさんな」と、一遍がなぐさめてくれた。
あるいは岐路に立ち、決断がつかず逡巡する私に、法然は、「一つのものを選び取ることは、ほかのものを捨てることである」と、決断に際しての心構えを説き、背中をポンと押してくれた。
いま、あなたに必要な名言集。
前書き
人生を「引き算」で考える歳になった。
いずれ迎えるであろう年代と承知していながらも、光陰の速きに驚嘆しつつ、ふと半生を振り返り、残された人生に思いをめぐらせる。
どうやら人間は、これまで生きてきた時間よりも、これから生きるであろう時間が短いと悟ったとき、人生を俯瞰して見るもののようである。
だが、来し方を振り返って、素晴らしい半生であったと手放しで喜べる人は、そう多くはいまい。私など描いた夢の、万分の一も満たされなかった。さりとて、これから悠々自適のセカンドライフが待っていると期待するほど、世間知らずではない。
悠々自適どころか、経済的なことから人間関係、健康、趣味、生き甲斐……と、考えれば考えるほど気分は鬱屈して、「幸せとは何か」―という〝青臭いテーマ〟が、まさに現実として迫ってくるのである。
だが、私には楽観がある。
これまでがそうであったように、どんな境遇に在ろうとも、「名僧の言葉」をよりどころとして生きていけば、きっと乗り切っていけるだろうという楽観である。
目次
まえがき
第1章 迷いの底から救ってくれる言葉
「まあ、お茶でも」――そんなに生き急ぐ必要もあるまい
◆喫茶去(趙州)
「あがくな」――ジタバタしなければ、やがて浮いてくる
◆降れば濡れ 濡るれば乾く袖の上を 雨とて厭う人ぞはかなき(一遍)
煩悩にまみれた自分でいいのだ――腹をくくると光が見えてくる
◆煩悩を断ぜずして 涅槃を得るなり(親鸞)
人生さえも借りものである――清々しく生きられるコツ
◆何ものも“自分のもの”ではない、と知るのが知恵であり、
苦しみからはなれ、清らかになる道である『ダンマパダ』
考えても仕方のないことを、あれこれ思い悩むのは愚かなことだ
◆莫妄想(無学)
「それはそれでいいじゃないか」――人生を悔いてはならない
◆少年、父を捨てて他国へ奔り、辛苦、虎を描いて猫に成らず。
人有り、若し箇中の意を問わば、只是れ、従来の栄蔵生(良寛)
わからないからこそ、人生は楽しい
◆心得たと思うは、心得ぬなり。心得ぬと思うは、心得たるなり(蓮如)
「人生を面白がれ」――ワクワクしながら朝顔を洗おう
◆眠れぬ者に夜は長く、疲れた者に一里は長い。
真実を知らぬ愚者に生死の道は長い『ダンマパダ』
「老いは楽し」――「幸福」という甘い味がやっとわかってくる
◆鳥啼山更幽(王籍)
「走りきる」――人生には、勝ちも負けもない
◆願わくは勝つことを悦ばず、負くることを怒らぬ心になりて、夢の勝負を勤めずして、勝ちも負けもせぬ人たらんは如何ぞや(沢庵)
第2章 苦しいときほど「先人の知恵」が活きてくる
流されて生きてもいいじゃないか
◆行雲流水(蘇軾)
人は必要とされて生かされているのだ――自分の役割を考えてみる
◆人皆各々得たる所一つあるものなり(沢庵)
自分の歩きたい道を歩けばいいさ
◆道心の中に衣食有り、衣食の中に道心無し(最澄)
目先の一歩――人生の負債を完済する方法
◆初めて発心する時、便ち正覚を成ず『華厳経』
「どっちでもええがな」――人生には「いい加減」が必要だ
◆両忘『景徳伝灯録』
明日で間に合うことは、今日やるな――人生はビジネスとは違う
◆無可無不可『論語』
平凡がいちばん――日常の小さな行いをおろそかにしない
◆平常心是道(馬祖道一)
いい人生も悪い人生もない。あるのは「自分の人生」だ
◆人は阿留辺幾夜宇和と云う七文字を持つべきなり(明恵)
うまくいかないのが人生、うまくいったらみっけもの――希望はいつもそこにある
◆水を掬すれば月手に在り
花を弄すれば香衣に満つ(虚堂智愚)
人生には「経験」はあっても「挫折」はないのだ――道は必ず開ける
◆雪裡梅花只一枝(如浄)
生きているだけで丸儲け――どんな日もかけがえのない一日だ
◆日日是好日(雲門文偃)
自分の足でトコトコ歩くのが楽しい
◆宇宙無双日 乾坤只一人『嘉泰普灯録』
第3章 善人ほど人間関係につまずきやすい
「我は我なり」――自分らしく振る舞うのがいちばん
◆客に接するは独りおるがごとく、独りおるは客に接するがごとし(釈宗演)
負け馬に乗る――他人を選り好みするな
◆重重無尽『華厳経』
相手の心を読もうとするから悩むのだ
◆人を罵れば罵りを得、怒りを施せば怒りを得『ダンマパダ』
最後の砦――自分の人生を肯定する力を持とう
◆自分を与えるな。自分を捨てるな『相応部経典』
一歩退く生き方――心おだやかに生きる知恵
◆もろもろの庶類のために不請の友となる『無量寿経』
「口中の斧」を使うな――自分を苦しめない言葉を語れ
◆自分を苦しめない言葉、また、他人を傷つけない言葉のみを語れ『スッタニパータ』
「自分が悪くない」と思うとき、「相手も悪くない」と心でつぶやく
◆われは悪しと思う人なし(蓮如)
「嫉妬」は自分を空虚にするばかりだ
◆自分の得たものを軽んじてはならない。
他人の得たものを羨むな『ダンマパダ』
「無功徳」――「心の平静」をもたらせる極意
◆無功徳(達磨)
「無財の七施」――「日々の処し方」を布施とする
◆七施あり。財物を損せずして大果報を得ん『雑宝蔵経』
第4章 心を豊かにし、幸せを呼び込む言葉
「過去を追うな、未来を願うな」――いまを生きよう
◆過去を追うな、未来を願うな『中部経典』
命は限られたものであると自覚して生きよう
◆いずれの時か夢のうちにあらざる。
いずれの人か骸骨にあらざるべし(一休)
幸せは、それに気づく人だけに訪れる
◆田あれば田を憂え、宅あれば宅を憂う。
田なければ、また憂えて田あらんことを欲う。
宅なけばまた憂えて宅あらんことを欲う『無量寿経』
「好悪」で人を評価せず、人生を「損得」で判断せず
◆歩歩是道場(趙州)
自分勝手な思い込みを笑い飛ばそう
◆愚者が「私は愚かだ」と知れば賢者である『ダンマパダ』
苦しくとも「無常」を信じて笑っていれば、いずれ道が開けてくる
◆すべては無常である。
怠ることなく実践し、それを完成しなさい『長部経典』
「選ぶ」から「捨てる」へ――「未練」を断ち切る生き方のコツ
◆選択とはすなわちこれ取捨の義なり(法然)
リセットできれば、ふたたび真っ新な人生が始まる
◆放下著(趙州)
「恨みに対して、恨みを返すな」――一つ赦せば、一つ心の平安を得る
◆もろもろの怨みは、怨み返すことによっては決して鎮まらない『ダンマパダ』
世間体という「こだわり」を捨てよう
◆自灯明 法灯明『涅槃経』
「知足の人」にこそ幸福が訪れる
◆知足の人は地上に臥すと雖も、猶お安楽なり『仏遺教経』
後悔は「愚か」、反省は「甘え」――この覚悟で気が楽になる
◆地獄は一定すみかぞかし(親鸞)
著者
向谷匡史(むかいだに ただし)
1950年広島県生まれ。拓殖大学卒業。作家。浄土真宗本願寺派僧侶。日本空手道「昇空館」館長。その人間社会を鋭くとらえた観察眼と切れ味の良い語り口には定評がある。
主な著書に、『良寛 清貧に生きる言葉』『釈迦が教える“ビジネスの知恵”』(ともに青志社)、『道は目前にあり』(ディベロップ東京)、『ビジネスを動かす「ウソの技法」』(情報センター出版局)、『30代いま、何をすべきか』(グラフ社)、『人はカネで9割動く』(ダイヤモンド社)、『「できる男」の話し方』(三笠書房)、小説に『花一輪』『検校の首』(ともにベストセラーズ)など多数がある。
[向谷匡史ホームページ] http://www.mukaidani.jp/
●ブックデザイン/熊澤正人+天野絵梨菜(パワーハウス)
●イラスト=/上田みゆき