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これが答えだ! 人生の難題をことごとく乗り越える方法

これが答えだ!

本書はあなたが読む最後の自己啓発書になるだろう」(ハフィントン・ポスト)
今までいろんな自己啓発書を読んだけれど、悩みが解決したことなんてないというあなたへ。本書があなたの“最終兵器”になります。

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 2016.09.29発行
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内容

肥満なのに減量できない
きりもなくスリムになりたい
仕事を失った
子供に先立たれた
ガンを宣告された
男(女)運が悪い
いつも孤独
つらい過去を断ち切れない
なぜか性生活が嫌でたまらない、
天に見放された気がする
生きる目的を失った
死んでしまいたい
……

そんな思いに駆られたら、
この先、どうして生きていけばいいんだろう?

本書で扱われたテーマは、死や病気をはじめ家族問題、依存症、恋愛、結婚、性格、体型、トラウマなど、まさに人生普遍の“難題”をほぼ網羅している。現代社会で高く評価されている価値観(ポジティブ思考、癒やし、幸せ志向)のうさん臭さを喝破し、歯に衣着せぬ物言いで現実を叩きつけてくる“バロウズ節”が全編に炸裂。さまざまな辛酸をなめてきた著者が自ら実感したことのみを自身の言葉でストレートに語っている。
アメリカで「セルフヘルプ本のイメージと常識をくつがえす」と評判になった辛口かつ痛快な人生案内

目次

謝 辞

気分を〈ポジティブ〉にするには
否定的な気分を肯定するには
運命の人と出会うには
究極のダイエットとは
やせるのをやめるには
自分を憐れむには
自信をつけるには
失敗するには
面接に強くなるには
羞恥心を克服するには
真実の奥の真実を見抜くには
人生を終わらせるには
癒えないままで生きるには
不自由のないことは、なぜ不自由なのか
過去への執着を断ち切るには
カウンセリングに通うには
禁煙するには
酒を断つには
夢をもち続ける(あきらめる)には
愛情と暴力を見分けるには
末永く不幸せに暮らすには
後悔を軽くするには
正々堂々と怒るには
闘病生活を送るには
大切な人を看取るには
子供を先立たせるには
一人で世の中を変えるには
これが理由だ

本文より

2  否定的な気分を肯定するには

 その、とってつけたような笑顔をやめてくれ。
 とってつけたのでなければ、もちろん、いい。自然に出た笑顔なら結構。そのままで構わない。
 けれども、作り笑いを浮かべて元気でポジティブな自分を演出しようとしているなら、やめてくれ。しかめ面に戻るべきだ。
 それから、これみよがしに背筋を伸ばすのもよしてほしい。
 不機嫌や不愉快をどうにかしたいときは〈ポジティブ〉よりも〈ネガティブ〉に徹することだ。
 気が晴れるなら、鏡の前で自分を励ますのもいいだろう。しかし、次回からは理想の気分ではなく、実際の心境を言葉にしてみる。
 声に出してみると、かなり響きが悪いはずだ。言葉を見つけるのに時間がかかるかもしれない。しかし、それが自分にかけてやるべき言葉だ。
 そうすることで、自分の正直な気持ちに触れることができる。
 「私は取り柄はないし、太っているし、頭が悪い。そう思うこと自体がダメなのかもしれない。明るく前向きに振る舞おうとすると、腹が立つ。腹が立つのは私がおかしいからだわ。だって、ほかの人はポジティブになれるんだから」
 それが偽らざる心境なら、どれほど否定的であっても、自分にとってのスタートラインだ。現在地を正確に把握したことになる。ときに人は、自分でも認めたくないくらいにネガティブになったり、へこんだり、寂しくなったりすることがある。しかし、その気持ちをごまかしたり、無視したりせず、観察することが大切だ。
 そうした気持ちを一つひとつ検証するといい。
〝どうして前向きになろうとすると……いつも腹が立つのかしら?〟というふうに。
 なぜ同じ反応を繰り返すのか考えてみる。時間をさかのぼり、似たような状況で初めてその気持ちになったときを思い出してみる。自分の心情とその背景を探る作業は今後の役に立つだろう。元気と唱えるだけでなく、心の底から元気になるためには何が必要なのか分かるかもしれない。
 前向きでいなければと思うのは、周囲に(カラ)元気でいることを期待されているからではないか。そんな期待はクソ食らえだ。こっちは精神安定剤じゃない。
 人目を無視して自分の気持ちに素直になると、ネガティブな気分が和らぐことがある。ネガティブな気分を表に出して自由に遊ばせ、体力を消耗させるという作戦だ。毎日を比較的機嫌よく、満ち足りた気分で過ごすには、楽観的に構えることが欠かせない。しかし、楽観は、鏡に向かって自分を励ましても手に入らない。
 楽観は実感から生まれる。人生の舵を取っているのは過去の出来事ではなく、周囲の人間でもなく、〈自分自身〉という実感だ。人生の舵を取るとは自分の心の動きにも責任をもつことである。否定的な感情を受け入れるだけではなく、その背景を探り、根本から変えるにはどうしたらいいのか検証することだ。
 本物の楽観は自分に檄を飛ばすことではない。楽観は心の大掃除によって得られる。
 心の大掃除とは、自分の胸に尋ねることだ。この良からぬ感情は一時的なものなのか。あるいは、何年も前から心の闇鍋でグツグツ煮込んできたものなのか。
 ネガティブな感情や言動は、時間とともに衝動や習慣に変わる。俺の経験から言うと、その種の感情は断ち切るものであって、深追いするものではない。その種の感情が定着すると、心のパワーが奪われる。
 俺は友達に何年も腹を立てていた。ところが、あるときバカバカしくなった。腹を立てたり、恨んだりすることに嫌気が差した。だから、自分の胸に聞いてみた――ちょっと、待て。今でもあのころと同じくらいに怒っているのか? 本当に?
 俺の心が出した答えは、無味乾燥な、ひからびたわびしさだった。そして、あきらめだった。もう怒りはどこにもない。憎らしいはずの相手に哀れみを覚えたくらいだ。
 その真実にたどり着くまでに俺がしたことは、相手に対する今の思いを自分に問い、答えが出るのを待っただけである。
 本心を認めようとしないのは、感情を自分の一部と思うからだ。怒りや嫉妬を認めることは体の欠点をさらすのに等しいと思っている。だから、特定の感情を否定する。要するに、自分の家はきれいだと信じたいから、ベッドの下をのぞかないようにしているのだ。
 しかし、どれほど強烈で〈卑しい〉感情でも、自分の一部ではない。感情とは、心が手持ち無沙汰のときに聴くラジオである。感情は移ろう。コロコロ変わる。
 感情は〈最初から備わっている〉ものではなく、〈あとから出てくる〉ものだ。魅力、口内炎、自論と同じである。
 憤懣、心痛、後悔、恨みつらみは人格ではない。むしろ、発想の転換を促している。古傷に触れ、苦い過去を蒸し返すようなマネはやめるように説いているのだろう。

 〈つづく〉

略歴

[著者]
オーガステン・バロウズ AUGUSTEN BURROUGHS
1965年10月23日、クリストファー・リヒター・ロビンソンとして米ペンシルベニア州ピッツバーグに生まれ、マサチューセッツ州西部で育つ。12歳のとき、大学教授の父親(アルコール依存症)と作家の母親(統合失調症)が離婚し、両親の主治医だった精神科医が後見人になる。17歳でIT関係の専門学校コントロール・データ・インスティテュートを修了。19歳でカリフォルニアに移り、サンフランシスコ史上最年少のコピーライターになる。その後、マンハッタンの広告業界で成功を収め、一流企業のキャンペーンやブランド戦略を手がけた。
34歳で処女小説「Sellevision」を発表。その2年後に作家に転身し、2002年刊行の回想録「Running with Scissors」(邦訳『ハサミを持って突っ走る』バジリコ刊)で特異な幼少時代を告白。保護者なき青春時代や年上男性との関係などを赤裸々に綴り、文壇にセンセーションを巻き起こす。同書は刊行以来、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに3年間ランクインし、2006年にはアネット・ベニング、アレック・ボールドウィン主演により映画化された(日本では『ハサミを持って突っ走る』の邦題でDVD発売)。以降、自身のアルコール依存やドラッグ依存をテーマにした回想録「Dry」、エッセイ集の「Magical Thinking」「Possible Side Effect」、父親との確執をテーマにした回想録「A Wolf at the Table」、クリスマスを題材にしたエッセイ集「You Better Not Cry」などを発表。2016年3月に刊行された新刊「Lust&Wonder」では自身の恋愛関係をテーマにし、ニューヨーク・タイムズのベストセラー上位につけた。
英ガーディアン、豪シドニー・モーニング・ヘラルドなどアメリカ内外の新聞雑誌にも多数寄稿。独特の“バロウズ語録”は小説、ミュージックビデオ、トーク番組などで頻繁に引用される。タイムやピープルといった雑誌で特集が組まれ、エンターテイメント・ウィークリー誌の恒例企画“全米でもっともユニークな人物”の一人に2度選出される。その他、大学の講師、ラジオのパーソナリティ、脚本家として多方面で活躍。2013年にラムダ文学賞を受賞、ジョージア州サバンナ芸術大学より名誉博士号が贈られた。
プライベートでは写真(www.augustenphotography.com)、動画、ミュージックビデオ演出に加え、幼いころから興味のあったジュエリーのデザインやコレクションにも精力を注ぐ。
2009年に交際を始めた出版エージェントのクリストファー・シェリングと2013年に入籍。現在はコネチカット州郊外で夫と4頭の愛犬とともに暮らす。
 
公式ウェブサイト www.augusten.com
ツイッター @augusten https://twitter.com/augusten
フェイスブック @AugustenBurroughs https://www.facebook.com/AugustenBurroughs
インスタグラム @AugustenBurroughs https://www.instagram.com/augustenburroughs/
タンブラー augusten.tumblr.com

[訳者]
永井二菜 ながい・にな
翻訳家。主な訳書に『社会を動かす、世界を変える:社会貢献したい人のためのツイッターの上手な活用法』『夫婦仲の経済学:皿洗いからセックスライフまで、妻と夫の不満は経済理論で解決』(いずれも小社刊)など。書籍のほかに映像翻訳や雑誌の連載、海外タレントのインタビュー等の活動も行う。

●装丁/萩原弦一郎(ISSHIKI)
●校正/円水社