「自分の殻」を打ち破る ハーバードのリーダーシップ講義
リーダーシップとは、磨き続けなければならない技術である!
生まれながらのリーダーシップなど必要ない。だから自分はリーダーに向いていないなどと悩むことはないのだ。ハーバード・ビジネス・スクールの教授で、過去にはゴールドマン・サックスの副会長を務めたカプラン教授が、自身の経験や教え子たちの葛藤を踏まえて書いた、渾身のリーダーシップ論。
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 2016.08.18発行
内容
ハーバードシリーズ第3弾、誰もがリーダーのように考え、行動するための教科書。
あなたの信念は何ですか?
人に質問できますか?
自分をさらけ出せるほど、信頼し尊敬できる相手がいますか?
リーダーシップは団体競技である。
チームが成功するには、メンバーたちに経営者マインドを根づかせ、
あなた自身がメンバーとの間に信頼関係を築かねばならない。
ハーバード・ビジネススクールの教授として、
リーダーシップを研究し、数多くのアドバイスを送ってきた著者が教える、
リーダーであり続けるための極意。
はじめに(抜粋)
リーダーシップは習得できる?
この数十年間学者や専門家は、リーダーシップを学びたい人々のために、リーダーシップに関する研究を幅広く行ってきました。リーダーシップの重要な要素は何かを説明し、リーダーはどんな問題に直面するかを調べ、さらにはリーダーとしての能力を伸ばすためにこうしなさいと提案するものもあります(巻末資料にリーダーシップの関連書のリストを掲載しました)。おまけにこの五〇年間でリーダーシップの能力を育てて伸ばすプログラムが次々とでき、何万人もの学生が一流大学のクラスに登録したり、企業が主催するリーダー養成プログラムに参加したりしています。
リーダーシップに関する優れた研究、研修、アドバイスがこれほど豊富にありながらも、リーダーシップは習得できないと思い込む人がまだ大勢います。「生まれながらのリーダー」とか「天賦のリーダー」などという言葉もしばしば耳にします。まるでリーダーシップのスキルは、生まれながらの個性――カリスマ性や外向性など――で決まると言わんばかり。私が知る限り、素質があっても優れたリーダーになるとは限りませんし、ある資質が欠けているから優れたリーダーになれない、というわけでもありません。
何年もの間私は、リーダーについてよりいっそう理解してもらうため、リーダーシップとは何かをわかりやすく説明しようと努めてきました。授業で取り上げ、研究者が書いた本や論文を読み、さまざまなビジネスプロジェクトに参加し、ときには自らプロジェクトを率いるなどして、企業や非営利組織のリーダーたちの統率力の向上をサポートしてきました。その間、私は二冊の本(『ハーバードの自分を知る技術』『ハーバードの〝正しい疑問〞を持つ技術』小社刊)を執筆しました。リーダーとしての能力を向上させるための本と、自分をもっと知るための本です。私の目標は、実践しやすくて役に立つ手引きを提供することであり、人々がもっとスムーズにキャリアを築き、組織を運営し、それぞれの能力を開花させられるようサポートすることでもありました。
しかし、企業幹部や野心的なリーダーたちと働くうちに、私は大勢の人々が「リーダーシップは習得できるのか?」さらには「自分はリーダーの器か?」と疑問を抱く理由がわかるようになりました。つまり、「リーダーシップ」の意味が人によって違うのです。意識する・しないに関係なく、人々はリーダーシップの定義やリーダーの役割について異なる考えを持っているのです。
何がきっかけだったにせよ、個々人の頭のなかで形作られた概念はそれぞれの行動に大きく影響します。固定した考え方やリーダーシップに関する思い込みのせいで、能力があるのになかなか伸びない人を私は大勢見てきました。――そのなかには私の前書を読んだ人もいました。
もくじ
はじめに ――誰でもリーダーになれる
リーダーシップは素質の問題?
リーダーシップは習得できる?
あなたにとってリーダーシップとは?
リーダーシップの定義
リーダーシップの共通認識を求めて
問題点
リーダーシップの基本は経営者マインド
さあ、始めよう
第1章 経営者マインドをもつ――経営者になったつもりで考え、行動する
経営者マインドとは
意思決定者になったつもりで考える
確信を実行に移すには
価値創造に注力する
リーダーに幻滅するとき
地位も肩書きも関係ない
リーダーがいない?
リーダーシップになくてはならない要素
第2章 自分の殻を破る――意欲的に学び、〝正しい疑問〞をもち、アドバイスを求め、孤立を避ける
成長の分岐点
質問しますか? 助言を求めますか?
積極的に学び続ける姿勢
孤立というリスク
自分をさらけ出すのが怖い
孤立に気づくとき
練習あるのみ
第3章 リーダーとしてのスキルを伸ばす――二つのプロセスをマスターする
二つのプロセス
ビジョン、優先事項、方向性の確認
二番目のプロセス――自分を知ること
嘘をついてもいいですか?
二つのプロセスを行う意味
第4章 真の人間関係を築く――自分をさらけ出し、グループの力を活用する
孤立のリスク
人間関係で重要な三つのこと
頼れる人がいない
人間関係の築き方
知っているようで実は知らない
フィードバックを求める
孤立する起業家
昇進のジレンマ
グループの力
多様な人材をそろえる
ブレインストーミングの力
白紙の状態から構想を練る演習 第二弾
人と協力して働くことを学ぶ
第5章 終わりなき旅をする――もう一段階上のリーダーをめざして
自分の人生に責任をもつ
「正しい行為は報われる」と信じる
価値創造に目を向ける
学習意欲を妨げる壁
窮地を脱するには
より良いリーダーになるためのツール
世の中はあなたを必要としている
略歴
ロバート・スティーヴン・カプラン
Robert Steven Kaplan
ハーバード・ビジネススクール元教授。2015 年より、ダラス連邦準備銀行総裁。他にも、インダバ・キャピタル・マネージメント社の共同設立者にして現会長、ドレイパー・リチャーズ・カプラン基金(ベンチャー・フィランソロピー企業)の共同議長を務める。カンザス州出身。カンザス大学で学士号を、ハーバード・ビジネススクールでMBA を取得した。
専門は経営実務。ハーバード大学のMBA プログラムではさまざまなリーダーシップ講座を担当し、管理職向けのプログラムでも教えていた。著書に、『ハーバードの自分を知る技術』『ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術』(小社刊)がある。
2005 年にハーバードで教鞭を執りはじめる前は、ゴールドマン・サックスに22 年間勤務し、さまざまな管理職を歴任。副会長としてグローバル投資銀行部門と投資運用部門の監督責任を担った。また、同社で若手リーダーの育成にも尽力している。副会長になる以前は、グローバル投資銀行部門の共同部長、コーポレート・ファイナンス本部長、アジア太平洋投資銀行部門(拠点は東京)部長として活躍。1990 年に同社のパートナー(共同経営者)となった。
一方で、非営利団体や地域団体でも幅広く活躍。ハーバード・ニューロディスカヴァリー・センターでは諮問委員会の初代副委員長を務めた。他にも、〈プロジェクトALS〉会長、TEAK フェローシップ初代共同会長、フォード財団理事などを務めている。また、米大手金融機関ステート・ストリートの取締役、グーグルの投資顧問委員会委員長を務める他、数多くの企業に顧問として携わっている。
訳者
福井久美子(ふくい・くみこ)
英グラスゴー大学大学院英文学専攻修士課程修了。英会話講師、社内翻訳者を経て、現在はフリーランス翻訳者。主な訳書に、『ハーバードの自分を知る技術』『ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術』(以上小社刊)『スピーチ世界チャンプの魅惑のプレゼン術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『パリジェンヌ流 デュカン・ダイエット』(講談社)などがある。
アートディレクション/宮崎謙司 lil.inc(ロータス・イメージ・ラボラトリー)
デザイン/加納友昭 清水孝行 lil.inc(ロータス・イメージ・ラボラトリー)
校閲/円水社