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「最高の上司」は嫌われる 最強の部下とチームをつくるリーダーの条件

「最高の上司」は嫌われる

「いい人」では、「最高のリーダー」にはなれない。

「最高のリーダー」に求められるものとは何なのか。
たとえ嫌われようと、時には部下にプレッシャーをかけたり、質問を投げかけたりしながら、部下自身がリーダーとしての考え方を持つように導く。わかりやすいケーススタディを交え、どのように部下と接するべきか、具体的かつ実践的なノウハウを示します。

  • 書籍:定価1870円(本体1,700円)
  • 電子書籍:定価1496円(本体1,360円)
  • 2016.06.30発行
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はじめに

「いい上司」と呼べる人はたくさんいるが、「最高のリーダー」と呼ぶにふさわしい人物に出会ったためしはほとんどない――これが、本書を執筆しようと思ったいちばんの理由だ。 私は管理職向けにリーダーシップに関するセミナーやトレーニングを開催しているが、参加者の多くは、最近のビジネス書でもてはやされ、世間から模範とされているリーダー像をまねしようと躍起になっている。気さくな上司として部下を理解しよう。たとえ、部下がミスをしても何か褒められる部分を探そう。
 
 理想のリーダーの最新トレンドをひとことで表すと、「部下のやる気を引き出す明るいリーダー」、あるいは「理解力のある父親のような上司」となるだろう。しかし私には、それが間違いであるように思える。
 
 誤解しないでいただきたい。昔のような威厳たっぷりで偉そうな上司のほうが優れていると言いたいのではない。ただ、摩擦のない人間関係に重きを置いたチームづくりでは業績も上がらないし、人も育たないのだ。上司と呼ばれる立場にある人なら、だれもがうなずけるのではないだろうか?調和を求め、摩擦を避けようとするあまりに、居心地のいい環境をつくりあげると、可もなく不可もない中途半端な状態に陥りやすくなるからだ。これが理想的な状態で
ないのは明らかだろう。
 
 では、どうすればいいのだろうか? 部下に対して友人のようにやさしく接し、明確な目標を掲げ、できる限りの指揮・指導を与え、事あるごとにフィードバ
ックを伝え、間違いや失敗を恐れない空気をつくりだす――これで十分だろうか? 私に言わせれば、これらすべてを実践している上司は「いいリーダー」だ。「優れたリーダー」と言えるかもしれない。しかし、それでもまだ「最高のリーダー」ではないだろう。最高のリーダーはさらに先を目指す。
 上司がいなくても自立して働ける権限と能力を部下に授けるのが、最高のリーダーだ。そのためには、部下の統率方法を大きく変える必要がある。
 
■調和を求めるのをやめ、必要なら部下にプレッシャーを与える。
■ (旧世代の経営陣に特徴的だった)非人道的な重圧を部下にかけるのをやめ、部下ひとりひ
とりの潜在能力を引き出し、個人的な成長を目指す。
■部下のモチベーションを高めるだけでなく、彼らの情熱に火をつける。

 要するに、「いい人」であっても「最高のリーダー」にはなれない。
 すばらしい業績を上げるために必要とされるのは、部下の個性を大切にしながら臨機応変に行動でき、しかも、ぶれないリーダーだ。そうしたリーダーは、部下にとっては扱いにくい司と言える。だから、時には嫌われることもあるだろう。しかし、この方法が正しいことは業績が証明してくれるに違いない。

 
 
 本書を参考にして、あなたも「いい上司」から「最高のリーダー」に変わっていただきたい。

目次

 
はじめに 
愛され上司、嫌われ上司 
 
 
第1章 情熱
与えられた以上の仕事をする部下を育てる方法
 
部下の短所、癖、気質 
 
【ステップ1】 話せばわかる――部下の人となりを知る 
【ステップ2】 成功ブレーキを解除する 
【ステップ3】 長所を活かす 
まとめ 
 
第2章 企業の代弁者
「最高の上司」が他人に厳しいわけ
 
【ステップ1】 モチベーションの維持 
【ステップ2】 無駄な話の洪水を制御する 
【ステップ3】 立ち位置を理解させる 
【ステップ4】 部下を見殺しにしない 
まとめ 
 
第3章 翼を授ける
チームを自立させる方法
 
【ステップ1】 責任をもって責任を負わせる 
肩越しの観察 
オープンな姿勢――相談相手になる 
【ステップ2】 コーチとしての上司 
【ステップ3】 同僚に相談する 
【ステップ4】 部下のミスとうまくつきあう 
部下の失敗は、リーダーの失敗でもある 
まとめ 
 
第4章 ボーナス? それとも……
部下のモチベーションを上げるもの
 
ボーナスは慰謝料 
内的モチベーションと外的モチベーション 
【ステップ1】 やりたいことをやれ――内的モチベーションを育てる 

【ステップ2】 チームボーナスを導入する 
【ステップ3】 ボーナスを廃止する 
まとめ 
 
第5章 山を動かせ
ハードルは高いほうがいい
 
【ステップ1】 意志決定――実行するか、しないか 
【ステップ2】 フレームワーク――不可能を可能にする
【ステップ3】 部下の情熱に火をつける 
【ステップ4】 忍耐――困難に直面してもあきらめない 
【ステップ5】 失敗は認め、代償を払う 
まとめ
 
第6章 垣根を取り払え
一丸となって目標よりも大きな成果を残す方法
 
【ステップ1】 ネットワークを構築する 
【ステップ2】 チーム間の協力 
【ステップ3】 部下にネットワークをつくらせる 
【ステップ4】 協力関係にチームを導く 
まとめ 
 
第7章 ノーと言える部下
全力を尽くす部下はいらない
 
部下の状態を把握する
【ステップ1】 そこまで! 仕事時間を制限する 
【ステップ2】 ゴールにイエス、回り道にノー 
【ステップ3】 部下の手本となる 
まとめ 
 
第8章 対戦相手
リーダーにもフィードバックが必要
 
評価の目隠し 
尊敬の落とし穴 
【ステップ1】 批判的なフィードバックと信頼 
【ステップ2】 フィードバック文化を成熟させる
まとめ 

第9章 夢をつかめ
小さなプロジェクトにサヨナラ
【ステップ1】 プロジェクトの選別 
エネルギーの浪費 
食べるための仕事 
ドリームプロジェクト 
【ステップ2】 イノベーション工場をつくる 
まとめ

 
第10章 バックアップ
「最高の上司」は毎日がホリデー
【ステップ1】 君の仕事だ――日常業務には手を出さない 
【ステップ2】 だれもがリーダー 
リーダーとしての考え方を伝授する 
実行ではなく指揮する 
個人的な成長目標をもつ 
【ステップ3】 未来の指揮者――代理を育てる 
まとめ 
 
リーダーとチームがひとつになった日 
 
 
 
 
 

略歴

著者
マルクス・ヨッツォ
MARKUS JOTZO
 
ハンブルク在住。国際企業ユニリーバで8年間管理職を務めた経験を活かし、「リーダーシップ・デベロップメント研究所」を設立。
リーダー育成のコーチ、トレーナーとして活躍。著書に『Loslassen für Führungskräfte: Meine Mitarbeiter schaffen das( リーダーが手を引くとき 部下に仕事を任せる方法)』があり、ジャーマン・スピーカーズ協会から2013年の「トレーナー書籍大賞」を授与された。

訳者

長谷川 圭(はせがわ・けい)
 
1993年に高知大学を卒業、同年に渡独。ドイツのイエナ大学でドイツ語と英語の文法理論を専攻し、1999年に修士号取得。卒業後、翻訳家および日本語教師として活動。訳書に『さらば、食料廃棄 捨てない挑戦』(春秋社)、『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか 爆発的な成長を遂げた驚異の逆張り戦略』(日経BP社)、『FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争』(角川書店)などがある。
 

●ブックデザイン/竹内雄二
●校正/円水社

●翻訳協力/リベル