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モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略

カーラ・ハリス 著

堀内久美子 訳

モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略

モルガン・スタンレー資産管理部門バイスチェアマンであり、キャリアアドバイザーである著者が徹底指南!

あなたのコンテンツ(売りとなるもの)の見つけ方、成果貯金(信用・評判・強み)の使い方、人間関係貯金(昇進に必要な人脈)の貯め方と効果的な使い方を、それぞれ具体例とともに紹介。景気停滞や人間関係に左右されないキャリアをつくるために。

  • 書籍:定価1980円(本体1,800円)
  • 電子書籍:定価1584円(本体1,440円)
  • 2016.04.20発行
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内容

自分が望む仕事に近づくために必要な戦略作り、あなたはしていますか――?

1つの会社に長く居つづければ、とりわけ同じ職務を続けていれば、いずれは仕事の基盤が脅かされることになるだろう。仕事の基盤とは、報酬と影響力であり、最終的には仕事上の成功も含まれる。ただ、あなたの企業が前述した投資を行って業界トップの座を守っていくなら、あなたも同じ会社でキャリアの数単位分を働きつづける理由ができるかもしれない。どのみち一生同じ会社に勤めることはまずないだろうし、1つの仕事だけを続けることもまずなくなるだろう。あなたの職業人生では、複数の企業に勤め、業種が同じでも違っても、多くの違った仕事をする可能性のほうがずっと高いのだ。(第1章より)

 

はじめに

2009年に前著『Expect to Win(本気で成功したい人へ)』が刊行された時、アメリカでは歴史的な財政危機が始まろうとしていた。不動産バブルがはじけ、消費者の購買意欲は私の経歴の中で最も深刻と言える低迷期にさしかかり、1970年代以来の高失業率時代の幕が上がっていた。

あらゆる業界で、役職のあるなし、職種を問わず、新入社員も、幹部社員も、ブルーカラーもホワイトカラーも、じつに多くの人々が職を失い、あるいは配置転換され、仕事に行き詰まったり、収入を得るためどんな職にでも就くという事態に陥っていた。

多くの新卒者は、仕事でスキルの幅がどのように広がり、憧れの仕事やキャリアをつかむための準備がどの程度できるかを考えるより、教育ローン返済の不安を解消したいとか、労働市場からの脱落が怖いという理由から就職先を決めていた。そのため、私が各地での講演で出会った人たちの中には、どういう仕事に就けばいいのか、就職後の数年間にどう働けば最大限の効果が得られるのか、成功するためにはどのような足固めをすればいいのかわからずにいる人が大勢いた。

同じように話す機会があったのが、5年から10年の職歴があり、まわりの変化に必死に対応しようとしながら、キャリアという荒波で舵かじ取りをする方法を見つけようとしている人たちだった。会社が人員削減を図ったり、自身が降格の憂き目にあったり、職務内容が変わったり、上司が異動になったり解雇されたりした人たちだ。
自分のキャリアが卒業時や研修の修了時に思い描いたように進んでいないのはなぜだろうと悩んでいる人もいた。また多くの人たちが、企業社会で言葉よりも態度や行動で伝えられがちな、「キャリアサイン」というとらえにくいメッセージを読み取るのに苦労していることもわかった。そういう人は、仕事でも、私生活でも、自分が何によって充実感を得られるのかわからなくなり、自分自身とキャリアの方向性を見直し、態勢を整え直すことができなくなっていた。

10年から15年の職歴のある人たちとも話し合った。もともと充実したキャリアを求めていたのに、仕事が欲しくてとりあえず就職してしまい、今では「その仕事を長く続けすぎた」ため、あるいは家族を扶養するとかローンがあるなどという理由から、自分が仕事として本当にやりたいことの判断ができなかったり、思いきって何か新しいことを始めるのが怖いという人たちだ。

本書は、前著のブックツアーで出会った人たちの質問にそのまま答えるかたちで生まれた。私の願いは、若手と中堅のビジネスパーソンが、キャリアを始め、行き詰まり状態から脱却し、キャリアの方向を変え、取るべきステップを具体化し、景気や社内政治の状況に振り回されず、自分のキャリアを思いどおりに進めていく足固めをして、成功の高みへと登っていくために必要な対策と手段を本書の中で見つけていただくことだ。

本書では、まずキャリアを決めるプロセスを明らかにしていく。さらに重要な、職業人生のどの段階にあっても、自分の望む仕事の機会を逃さない態勢作りのプロセスも紹介する。誰でも、どのステージにいても、新たな機会に備えて足固めをしておくのは必要だ。
そのための手段は、初めての就職活動でも、社内で昇進をめざす場合、競合会社へ転職する場合でも、まったく新しい業界に飛び込む場合でも、成功の可能性を高め、確実にするために必要なのだ。
さらに、就職後に成果を出すためにするべきことも紹介する。就職・転職の前後では必要なことが違うからだ。つまり、就職に役立ったスキルが、仕事の成功を約束するスキルと同じとは限らないということだ。
最後に、若手と中堅クラスにはなかなか理解しづらい問題を明確にし、自分が望むキャリアに到達する戦略作りに必要な答えが出せるよう、アドバイスもしていく。

もくじ

はじめに
 
第1部 キャリアを始める

第1章 今の経済状況で
キャリアを選択するということ

第2章 自分のストーリーをいかに語り、売り込むか

第3章 成功への足固め
――身につけるべき「戦略的スキル」

第2部 ステップアップするために
 
第4章 キャリアをどう生かすか
――「成果貯金」という考え方

第5章 昇進に不可欠なもの
――「人間関係貯金」
 
第6章 効果的なコミュニケーションとサインの読み取り方

第7章 職場での自分のプロフィールを知る
 
第3部 キャリアを変えるとき

第8章 転機は必ずやってくる
 
第9章 変化を乗り切る力
 
第10章 転身する
 
おわりに――成功を楽しもう

謝辞

略歴

[著者]
カーラ・ハリス Carla A. Harris

アメリカの大手総合金融機関モルガン・スタンレーのウェルス・マネジメント(資産管理)部門バイスチェアマン、シニア顧客アドバイザー。ハーバード大学で経済学士、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得後、1987年にモルガン・スタンレーに入社。以後30年近く同社に勤務し、企業の株式公開、M&Aに携わると同時に、モルガン・スタンレー財団をはじめ多くのフィランソロピー団体の運営に関わる。2009年に『Expect to Win』(未邦訳)を刊行、キャリアアドバイザーとして全米で講演活動も行っている。2013年、オバマ大統領の指名により米国女性ビジネス協議会(NWBC)の議長に就任。プロのゴスペルシンガーとしてCDも出している。ニュージャージー州在住。

[訳者]

堀内久美子 ほりうち・くみこ
上智大学外国語学部フランス語学科卒業。訳書にコンスタンティーヌ『何度でもおかえりを言おう』(ポプラ社)、ミュッソ『天国からの案内人』(小学館)、ポスト『正統派 男の行動学』(オープンナレッジ)、マッカーサー『快楽亭ブラック』(共訳、日本翻訳家協会・翻訳特別功労賞受賞、講談社)など。
校正/円水社
翻訳協力/オフィス・カガ
本文デザイン/ next door design
装丁/松田行正