「村上春樹」を聴く。 ムラカミワールドの旋律
デビュー作『風の歌を聴け』から『海辺のカフカ』『東京奇譚集』まで、村上春樹作品に登場する全楽曲・アーティストを網羅して解説。そのうち印象的な12曲をオリジナルのギターアレンジでCDに収録。村上文学をより深く理解し楽しむために、必読の1冊!
- 書籍:定価1760円(本体1,600円)
- 2007.03発行
内容
村上春樹の小説からはさまざまな音楽が流れてくる。
物語と音楽はふかいところでつながっている。
登場人物たちは実に多くの場面で音楽を聴き、メロディを口笛で吹き、音楽について語る。クラシック、ジャズ、ロック、ポップス、イージーリスニング――ジャンルの垣根はない。そしてときに音楽は登場人物を(そして読者を)、思いもよらない遠くへ連れ去ってしまう。
もちろん、登場してくる音楽のことをまったく知らなくても、村上春樹の小説は十分に楽しむことができるだろう。だけど、読みながらそこに流れてくる音楽を思い浮かべることができれば、あるいは、登場人物が聴いている響きと同じ音楽を実際に聴きながら読めば、物語を受けとめる感触はたしかに変わってくる。
そこで、その音楽に近づくために、ひとつひとつ解説・紹介することを試みたのが本書である。
本書が、村上春樹文学とそこで響く音楽をより深く楽しむためのひとつの手がかりとなれば、また、そこからさらに音楽を広げて聴いていくきっかけのひとつになれば幸いである。
(本書「はじめに」より)
CD収録曲
1 California Girls
カリフォルニア・ガールズ
2 WHITE CHRISTMAS
ホワイト・クリスマス
3 On A Slow Boat to China
オン・ア・スロウ・ボート・トゥ・チャイナ
4 GAROTA DE IPANEMA The Girl From Ipanema
イパネマの娘
5 A Hard Rain's A-Gonna Fall
激しい雨
6 Norwegian Wood
ノルウェイの森
7 Dance Dance Dance
ダンス・ダンス・ダンス
8 SOUTH OF THE BORDER
国境の南
9 La gazza ladra
泥棒かささぎ序曲
10 Das Veilchen K.476
歌曲「すみれ」
11 Piano Trio No.7 "Archduke
ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調「大公」
12 FIVE SPOT AFTER DARK
ファイブスポット・アフターダーク
掲載作品
風の歌を聴け
1973年のピンボール
羊をめぐる冒険
中国行きのスロウ・ボート
カンガルー日和
螢・納屋を焼く・その他の短編
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
回転木馬のデッド・ヒート
パン屋再襲撃
ノルウェイの森
ダンス・ダンス・ダンス
TVピープル
国境の南、太陽の西
ねじまき鳥クロニクル
夜のくもざる
レキシントンの幽霊
スプートニクの恋人
神の子どもたちはみな踊る
海辺のカフカ
アフターダーク
東京奇譚集
その他の短編
著者
小西慶太(こにし・けいた)
1960年、大阪府生まれ。法政大学社会学部社会学科卒業後、タウン誌編集を経て85年からフリー。以後、雑誌、単行本ほかにジャンルを選ばず執筆する。主な著書に『ボブ・ディラン――60年代を挑発した風』『白と黒のアメリカ~キング牧師の闘争と夢の記録』(以上、メディアファクトリー)、『音楽がわかる』(中経出版)などがある。
●編集協力/ことぶき社
●歌詞翻訳/大屋尚子
●本文デザイン/富永三紗子
●DTP/SOL design
●カバーデザイン/Ti-Works 伊藤 猛
●CD制作/インサイドアウト